6 みずでっぽう
衣「上がりました。次の方どうぞ」
『…ぐは…すごいエレガント…』
衣「どうかしましたか?」
『いえ、どこかの自称エレガント☆コウモリは何だったのかと』
衣「自称?」
『いえ、なんでもないです。魔理沙ー、お風呂空いたよー』
魔「よし、入ってくるか」
フ「うん」
『すぐご飯食べられるようにしとくからね』
魔「わかった。頼んだぜ」
すたすた
天「で、唐揚げは?」
『作るから! 作るからもう黙ってて!』
天「なによもう。私がうるさいみたいに」
衣「総領娘様、あまり迷惑をおかけしてはいけませんよ」
天「迷惑なんてかけてないわよ!」
『………』
天「なによ」
『…元気だね』
………
天「ああーひまー」
衣「寝そべらないでください」
天「だってひまなんだもー」
衣「なんだもー、と言われましても…」
天「しかし風呂場が騒がしいわね」
衣「楽しそうでいいじゃないですか」
天「なんかしゃくに障るわ」
衣「その性格は直した方がいいですよ」
天「ほっといてよ。で、衣玖はひまじゃないの?」
衣「ゆっくり過ごすのもいいと思いますけど」
天「えー、なんか年寄りみたい」
衣「………」
天「そっちのあんたは、ひまじゃないの?」
輝「………」
天「ちょっと、聞いてるの?」
輝「………」
天「ねえってば」
輝「…ぐぅ…ぐぅ…」
天「座ったまま寝てる!」
衣「すごい特技ですね」
輝「…ぐぅ…ぐぅ…」
天「信じられないわ」
衣「いたずらしたらいけませんよ」
天「………」
衣「いけませんよ」
天「…ちょっとだけ…」
フ「魔理沙すごーい!!」
天「うわ、何!?」
衣「お風呂場からですね」
天「ちょっと見に行ってく…」
『ご飯できたよー』
天「あ、ご飯だって」
衣「ええ、そのようですね」
輝「…ぐぅ…ぐぅ…」
天「ほら、ご飯だってば」
ゆさゆさ
輝「…はっ! 私寝てた?」
天「がっつり寝てたわよ」
輝「いやー、疲れてるのかしらね」
天「あんた、ゲームしかしてないじゃん」
輝「で、何か用事?」
天「ご飯だってさ」
輝「ああ、はいはい」
すたすた
天「じゃ、早速食べるわ」
衣「全員揃うまで待ちませんか?」
天「えー、もうお腹へったんだけど」
『まだ魔理沙たち、上がってないの?』
衣「はい」
天「お風呂ではしゃぐ声が聞こえるでしょ」
『じゃあ、もう少し待ってみるか』
輝「それがいいわね」
『………』
輝「どうかした?」
『…輝夜さん、寝起きですか?』
輝「どうして?」
『…よだれ、たれてますよ』
輝「………」
………
フ「魔理沙、すごい!」
魔「まあな」
フ「もう一回やって!」
魔「いいぜ」
びゅっ
フ「わたしもみずでっぽうやる」
魔「手をこうするんだ」
フ「こう?」
魔「すき間を作らないと、水が出ないぜ」
フ「こう」
魔「よし、それで水を出すんだ」
フ「えいっ」
魔「違う違う。こうやって押すんだぜ」
びゅっ
フ「こう?」
魔「ちょっと手を貸してみな。こう」
フ「こう」
魔「そうそう」
フ「えいっ」
びゅ
フ「できた!」
魔「よかったな」
フ「うん。でも魔理沙のほうがとぶね」
魔「フランも、すぐ飛ぶようになるって」
フ「ほんと?」
魔「ああ。そのためには練習あるのみだ」
フ「あしたから練習する」
魔「のぼせないようにな」
『…すいませーん、ご飯できてますけどー』
魔「あ、悪い悪いー。今上がるぜー」
フ「ごはんの時間ね」
魔「長湯しすぎたか」
ガラガラ
フ「きょうはかわいいパジャマを持ってきたのよ」
魔「そうか。その前にちゃんと体を拭こうな」
フ「うん。魔理沙、背中ふいてあげる」
魔「お、サンキュー」
フ「ふけたよ」
魔「次は私の番だな」
フ「うん、おねがい」
魔「任せてくれ…よっ、拭けたぜ」
フ「ありがとう」
魔「じゃ、パジャマ着て、ご飯を食べに行くか」
フ「うん。これがわたしのパジャマよ」
魔「花柄か。かわいいと思うぜ」
フ「うん。魔理沙のもかわいい」
魔「そうか。ありがとうな」
フ「それじゃ、ごはんね」
魔「そうだな」
ガラガラ
魔「上がったぜ」
『ずいぶん長かったね』
魔「悪い悪い。ちょっと時間を忘れてた」
天「まったく。ご飯が冷めちゃうところだったじゃない」
衣「まあ、そう言わずに…」
『フランちゃん、お風呂は楽しかったかい?』
フ「うん!」
『それはよかった』
輝「それじゃあ、そろそろ食べましょ」
『そうですね。みんな準備はいい?』
魔「オッケーだぜ」
『それでは、みんな仲良く、いただきます』
魔「いただきます」
フ「いただきます」
天「いただきます」
衣「いただきます」
輝「いただきます」
天「お、ちゃんと唐揚げがあるわね」
『たくさん作ったからね』
天「なかなか気が利くじゃない」
『あはは、そりゃどうも』
魔「もぐもぐ」
フ「もぐもぐ」
『どう、おいしい?』
魔「まあまあだな」
フ「おいしい」
『そかそか』
輝「私も唐揚げもらうわね」
『どうぞどうぞ。衣玖さんも遠慮せず食べてくださいね』
衣「ありがとうございます」
天「あ」
『どうしたの?』
天「………」
『………』
天「えっと、今起こった出来事なんだけどさ」
『うん』
天「唐揚げあるでしょ?」
『あるね』
天「唐揚げを…」
『うん』
天「床に落とした」
『おい、掃除しろ』




