3 ちょうせん
衣「申し訳ありません。土足禁止と存じ上げなかったもので…」
『いえ、いいんです。お気になさらず』
天「そうそう。気にしない気にしない」
『てんこちゃんは、もっと反省しようか』
天「はいはーい」
『…反省してないな』
衣「本当にすみませんでした」
『気にしないでください。雑巾がけまで手伝って頂きましたし』
天「そんなことより飲み物ちょうだい」
『そんなことって…』
天「ジュースがいい。炭酸じゃないやつね」
『まったくもう…わがままなんだから』
衣「ご迷惑をおかけして、すみません」
『あ、いえいえ。大丈夫ですよ』
天「なんで衣玖には優しいのよ」
『…当たり前だと思うなぁ』
天「ははぁん。さては惚れたのね。うわ、キモ」
『………』
衣「すみません。幼児だと思って無視してください」
『…はい』
天「誰が幼児よ!」
『…くっそ、うっとうしい…』
………
『はい、オレンジジュース』
天「遅い」
『それはすみませんね!』
天「まあ、いいけど」
『衣玖さんもオレンジジュースでよかったですか?』
衣「あ…実は私…その…」
『え、はい』
衣「大変申し上げにくいのですが…」
『…な、なんでしょうか?』
衣「オレンジジュースは…」
『オレンジジュースは?』
衣「大好物です」
『…ああ、そうですか…紛らわしい…』
衣「では、いただきます」
『フランちゃんと魔理沙も同じでいいよね?』
フ「うん」
魔「いいぜ」
『はい、どーぞ』
フ「ありがと」
『…えへへ…どういたしまして』
魔「ロリコンめ」
『いや、違うよ。そういうのじゃなくてさ』
魔「なんだよ」
『子供の純粋さが…ほら、ね?』
魔「お前よりも、ずっと年上だけどな」
『まあ、とにかく、魔理沙も飲みなよ』
魔「仕方ない。そうするか」
『はいよ』
魔「サンキュー」
『輝夜さんもオレンジジュースでいいですか?』
輝「ええ、いいわよ」
『どうぞ』
輝「ありがとう」
『ふう、俺も飲むとしよう』
ごくごく
天「ねえ」
『ん?』
天「何か面白いものはないの?」
『マンガならあるよ』
天「そう。じゃあそれを読むわ。貸して」
『そっちの本棚にあるからね』
天「はいはーい」
フ「ねぇ、魔理沙ー」
魔「ん、どうした?」
フ「わたしも読みたい」
魔「あー…フラン向きのマンガってあったか?」
『うーん、多分ないかな』
魔「そうだよな…」
フ「ないの?」
魔「しいて言うなら、これぐらいか」
フ「これ?」
魔「とりあえず読んでみるか?」
フ「うん、読んでみる」
天「へぇ。それ、面白そうね。貸して」
『………』
魔「………」
輝「………」
衣「………」
フ「うん、いいよ。はい」
天「よし。じゃ、あんたはこれでも読んでなさい」
フ「うん。ありがとう」
『………』
魔「………」
輝「………」
衣「…恥ずかしい限りです…」
『なんとコメントしたものやら…』
魔「天人って、皆あんななのか?」
衣「いえ、まさか」
輝「なかなか豪胆ね」
『…なんか先が思いやられる』
魔「頑張れよ」
『ありがとう』
魔「さて、私も何か読むか」
『新しいマンガが右の方にあるから』
魔「お、じゃあそれにしよう」
衣「私も、本をお借りしていいですか?」
『あ、どうぞどうぞ』
衣「では、お借りします」
輝「ところで、私も何かしたいのだけれど」
『あ、はい。マンガでも読みます?』
輝「いや、ゲームがしたいわ」
『どんなのがいいんですか?』
輝「プロパワあるんでしょ? それやるわ」
『…野球ゲームやるんですか?』
輝「ええ。何かおかしい?」
『いえ、まあ、とにかく今準備しますんで』
輝「対戦しましょ。あなた強いの?」
『初心者よりは強いと思いますけど』
輝「ふふふ。私をナメてるわね」
『いえ、ナメてるというか…』
輝「まあいいわ。始めましょ」
『電源入れますよ』
輝「ええ、楽しみだわ」
『ってか、パーティーなのに二人用のゲームやってて大丈夫ですかね?』
輝「私がゲームしたいんだから、いいんじゃない?」
『…さすがお姫さまですね』
輝「とにかくプレイボールね」
………
『…強すぎ…』
輝「もうちょっと頑張ってほしかったわね」
『二桁得点完封勝利って強すぎ…』
天「あはは、負けてやんの」
『だって輝夜さん強いんだもん』
天「持ち主でしょ。頑張りなさいよ」
『じゃあ自分がやってみなよ』
天「いいわね。そうするわ」
輝「やる?」
天「ええ」
輝「ふふ、受けて立つわ」
天「私がコテンコパンコにしてやるわ」
『「コ」はどこから来たんだ…』
輝「で、やり方わかるの?」
天「知らないけど、すぐできるようになるわ」
輝「…どこから来る自信なのかしら」
天「それで、やり方は教えてくれるの?」
輝「いいわよ」
天「そうねぇ、じゃあ、まず…」
輝「まず?」
天「まずわからないのは…」
輝「ええ」
天「あんた誰?」
輝「帰れ、お前」




