2 ひじょうしき
フ「ろりこんって何?」
魔「こういうカッコ悪い男のことだぜ」
『………』
フ「なるほど」
『ああ、納得しちゃうんだ…』
魔「こんなやつには近寄らないで、私と遊ぼうな」
フ「うん!」
『…くっ、俺の何がいけないというんだ』
魔「全部だな。全部」
フ「ぜんぶだなぜんぶ」
『…ひどい』
魔「絵本でも読むか」
フ「どんなの?」
魔「確か本棚に…あったあった」
フ「ふーん。こんなのがあるのね」
魔「どうだ?」
フ「キライじゃないわね」
魔「…レミリアみたいな言い方だな」
フ「ねこの話ね」
魔「ああ、そうだったな」
フ「ふーん」
魔「面白いか?」
フ「きょーみぶかい」
魔「それならよかったぜ」
ピーンポーン
『お?』
魔「来たか。ちょっとそれ読んでてくれ」
フ「うん」
『今出まーす』
魔「私も出るぜ」
『ほいほい』
すたすたすた
ガチャ
輝「こんばんはー」
『輝夜さん!』
永「こんばんは」
『八意先生!』
魔「ようやく来たか」
輝「ようやく来たわよ」
『…まさかの輝夜さんだ…』
輝「ちゃんともてなしてよ?」
『が、頑張ります』
輝「お姫様なんだからね」
『はい、頑張ります』
輝「それはそれは極上の待遇を…」
永「はいはい。いいから自分で布団を持ってください」
輝「お姫様に布団持たすかね」
永「はぁ…ここまで運んだのは誰だと思ってるんですか」
輝「ふふ、冗談よ。ありがと」
永「じゃ、私はこれで」
魔「え、帰るのか?」
永「ええ、用事が入ったのよ。ごめんなさいね」
魔「うーん…じゃあ仕方ないか」
『八意先生も参加する予定だったの?』
魔「そうだったんだけどな」
永「ま、おてんば姫をよろしく頼むわ。じゃ、また」
すたすた
輝「まったく。誰がおてんばよ」
『お二人とも仲いいんですね』
輝「そう? べつに普通よ?」
魔「とりあえず中に入ろうぜ」
『そうだね』
バタン
『それにしても、輝夜さんが来るとは』
輝「こう見えても結構ヒマなのよ」
魔「まあ、ちゃんとヒマそうに見えてるけどな」
『この間の、おまけでの活躍はすごかったですね』
輝「ああ、聞いたのね、その話」
魔「苦情が殺到しなくてよかったな」
フ「ねー、つぎのページまだー?」
天「待って。私はまだ読んでるの」
輝「布団はどこに置けばいいかしら?」
『あ、その辺りにどうぞ』
輝「はいはーい」
フ「あ、もどってきた」
魔「戻って来たぜ」
天「ねえ、飲み物ちょうだい」
『あ、うん、わかったー』
すたすた
『…って、てんこちゃん!?』
天「なによ」
『待って! どうしているの!?』
天「だって今日はパーティーなんでしょ」
『え…あれ? 魔理沙が呼んだの?』
魔「…全く呼んでないぜ」
天「じゃあ何よ、呼ばれなかったら来ちゃダメなわけ?」
『いや、そこまでは言わないけどさ』
魔「…というか、普通はダメだけどな」
『まあ、それは百歩譲るとしてもさ』
天「なによ」
『どっから入って来たの?』
天「どっからって、そんなもん…」
『そんなもん?』
天「窓から」
『不法侵入!』
天「まあ、許しなさいよ」
魔「…上から目線なところがイラッとくるな」
『ってか…窓から入るって…』
天「なによ?」
『うーわ、土足じゃん!!』
天「それが?」
『「それが?」じゃないよ!』
天「何、大声出してんのよ」
『足跡ついちゃってるじゃん!』
天「うん」
『…くっ…こいつ…』
天「何か文句あんの?」
『あるよ!』
天「あるの!?」
『いや、何で驚くの!?』
天「えー…なんか私が悪いみたいな言い方…」
『いや、悪いよ!』
ピーンポーン
『え、あ、はーい』
たったったっ
ガチャ
衣「どうもこんばんは」
『え、あ、衣玖さん、こんばんは…』
衣「あの…総領娘様が勝手にお邪魔してませんか?」
『はい、勝手にお邪魔してます』
衣「すみません。私の監督不行き届きで」
『いえいえ。衣玖さんは全然悪くありませんよ』
衣「いえ、すみませんでした」
『…まあ、それよりその小脇に抱えてるパジャマらしきものが気になるんですけど』
衣「あ、これはネグリジェです」
『あ、そうでしたか…あははは…』
衣「では、お邪魔します」
すたすたすた
『…って、え?』
とてとて
『…もうなんでもいいや…』
天「あら、衣玖」
衣「ああ、やっぱり…」
天「衣玖も窓から入ればよかったのに」
衣「いけませんよ、そんなこと」
天「えー、いいじゃーん」
衣「もっと行儀よくお願いします」
天「面倒だなぁ」
衣「床もこんなに汚して…」
天「ああ、そうね」
衣「靴をそのままで入ったらダメですよ」
天「へえ、知らなかったわ」
衣「いいですか、総領娘様」
天「何よ」
衣「人の家にお邪魔するときはですね」
天「ときは?」
衣「靴は、こういう風にですね…」
天「こういう風に?」
衣「泥を落とすんです」
『って、衣玖さんも土足かよ!』




