13 ガールズトーク
レ「オッケー? 準備はオッケー?」
魔「いいぜ」
橋「いい」
ナ「いいよ」
咲「オッケーです」
『オッケーだよ』
レ「こほん。それでは…」
レ「レミリア・スカーレットのカリスマティック女子会フィーチャリングガールズトークを始めるわ!」
『…見づらい』
ナ「…フィーチャリング?」
橋「なんでテンション高いのよ」
咲「他との交流が滅多にないからじゃないかしら」
『強者の悩み…か』
魔「それで、何を話すんだ?」
レ「女子っぽいことよ。上げるわよ、女子力」
ナ「私は、チェダーよりゴルゴンゾーラが好きだ」
レ「なんでチーズの話なのよ!」
ナ「女子はチーズが好きじゃないか」
レ「はい、あんた、女子力5」
ナ「5段階評価だよね」
レ「100点満点よ」
ナ「………」
レ「はい、他の話題」
橋「最近、暑い」
レ「そうね」
橋「終わり」
レ「…無理にしゃべり出さなくてもいいわよ」
魔「この前、山の方まで行ってきたぜ」
レ「へぇ、何か用事でもあったの?」
魔「珍しいキノコでも探そうと思ってな」
レ「はい、下ネター。下ネタは女子力ゼロー」
魔「…し…下ネタ?」
ナ「キノコを下ネタとか言うのが下ネタじゃないか」
レ「はい、ほら、次」
『あ』
レ「はい、あんた女子力ゼロー」
『…え…男の子だもん…』
レ「はい、次ー」
咲「私が紐パンを初めて買ったのは…」
レ「咲夜!?」
咲「はい?」
レ「そんなセクシーな話じゃなくていいのよ!」
咲「女の子らしい話ですよ?」
レ「女の子らしければ何でもいいわけじゃないのよ」
咲「難しいですね」
レ「…この子、危ないわ」
魔「文句ばっかり言うなら、自分で話してみたらどうだ?」
レ「そうねぇ…やっぱりオトコの話かしら」
ナ「ありきたりじゃないか」
レ「ありきたりでいいのよ」
橋「男」
『あ、俺?』
魔「かろうじてな」
『いや、バリバリの男ですけど』
咲「イケメン(笑)」
『…まあ、イケメンではありませんね』
レ「とにかく、理想の男性像について話すわよ」
ナ「当然だが、財力、知力、権力、イケメン力は欠かせないな」
魔「…イケメン力ってなんだよ」
『そういえば、恋愛っていいの? ほら、宗教的に』
ナ「さあね。ちゃんと訊いたことはないな」
咲「そんなものなのね」
ナ「でも、問題ないと思うよ」
レ「何でそう思うのよ?」
ナ「いざというときに頼れる人がタイプだって、ご主人様も言っていたからね」
『え、言った覚えないよ?』
ナ「いや、いつから君は私の主人になったんだ!!」
『あ、主人って俺のことじゃないの?』
ナ「当然じゃないか!」
『てっきり俺のことかと』
ナ「…君は本当に気持ちの悪い人間だね」
『てへ』
魔「もうお前は黙ってろ」
レ「…はい、他の理想の男性像は?」
橋「ん」
ぴっ
『…え、お…俺?』
橋「こくり」
『いや…そんな…』
橋「この真逆がいい」
『………』
咲「ああ、わかるー」
『………』
レ「…あまりいじめたら駄目よ」
魔「私は…」
レ「私は?」
魔「一緒にいて疲れない奴がいいな」
レ「なるほど。初のまともな意見だわ」
魔「あと、イケメンで家事ができて金持ちで強くて優しくて楽しくて…」
レ「…贅沢ね」
魔「あと、何かあったかな?」
レ「もういいわよ。はい、次」
咲「私は、高橋くんがタイプです」
『誰!?』
咲「惚れる」
『いや、誰その人!?』
咲「あ、間違えた」
『でしょうね。そんな人知りませんもん…』
咲「高橋くんじゃなくて…」
『なくて?』
咲「ツルハシくん」
『ツルハシ!?』
咲「掘れる」
『ダジャレじゃん!』
レ「…咲夜がボケを担当するとは」
『あ、関係ないんだけど、ワニってタマゴの孵化する温度で雌雄が決まるらしいよ』
魔「へぇ」
橋「へぇ」
ナ「へぇ」
咲「へぇ」
レ「どうでもいいわよ! タイミングおかしいでしょ! あんたらも感心すんな!」
『…すみません』
魔「文句ばっかり。お前はどんな男がいいんだよ」
レ「そうねぇ、やっぱり強くなければいけないわ」
橋「何が」
レ「何って…戦闘が、でしょ」
ナ「力があることが、本当の強さなのかい?」
レ「…はっ!」
咲「本当の強さとは、大切な人を守り抜く、意志の強さのことではないでしょうか。力はその一部に過ぎないのかもしれません」
レ「…そう…そうだったのね…私…間違ってた」
ナ「だからさ、大切な人を守ろうとする意志なら、この人間が一番だ」
『…え? 俺?』
橋「ほら、本当に強い人よ」
レ「う…うん。あ…あのね、人間…」
『ひゅい!?』
レ「私…その…あなたみたいに強い人が…えっと…す…す…す…」
『………』
レ「…好き…です…」
『………』
レ「ってバカヤロー!!」
ガシャン
『ああ、リモコン投げないでくださいよ!』
レ「何言わせんのよ!! 好きなわけないでしょうが!!」
魔「ノリツッコミだな」
橋「楽しそうだったじゃない」
ナ「ノリノリだったね」
咲「輝いてましたわ」
レ「好きなわけあるか!! こんな何の取り柄も無い、至極残念な男を!!」
『………』
咲「お嬢様、もっと言ってやってください」
魔「…泣くから、そのくらいにしてやろうぜ」
レ「はっ、夜だからついテンションを上げてしまったわ」
橋「ねぇ」
レ「な、なによ?」
橋「眠い」
レ「はっ、何を軟弱なことを言ってるのよ。今夜はオールナイトよ」
橋「………」
ナ「やはり、ヴァンパイアは夜行性なんだな」
魔「ネズミもだろ」
ナ「私は昼も活動できるよ」
魔「ふーん」
『ん? そういえばレミリアさん、よく夕方に来られましたね』
魔「たしかに。いつもは寝てるんじゃないのか?」
レ「え…ええ。今日のために昼夜の生活を逆転させたわ」
『どうやってですか?』
レ「べ…別に、普通によ」
魔「普通?」
咲「どうやら前日はワクワクして、昼に全く眠れなかったそうで…」
レ「咲夜! それは秘密って言ったのに!」




