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もっと東方寝巻巻。  作者: もっぷす
第2回
47/173

義理2

橋「バレンタイン回が二回で終わると思った? 浅ましい。浅ましいわ。あなたの単純で短絡的な脳みそが妬ましいわね。ふはははは」

ガチャ



橋「久しぶりね」


『ああ、パルスィ、久しぶり』


橋「パルパルしてる?」


『えーと何の話かなあ』


橋「白々しいわね。世間一般では最高に妬ましいイベントよ」


『本命にはハナから期待してないから大丈夫』


橋「本当?」


『え?』


橋「本当に大丈夫だと言い切れる?」


『最初から期待してなければ少し楽だよ』


橋「絶対に本命は来ない、と?」


『うん、だって俺だからね』


橋「本当にそうかしら」


『………』


橋「心のどこかでは期待してるんじゃなくて?」


『…くっ…』


橋「今の時代、チョコを渡す理由なんていくらでもある。例えば、義理チョコや友チョコ、針入りチョコとかね」


『…たぶん最後おはぎ…』


橋「あなたのもとを訪れる者もゼロではないかもしれない」


『でもそれは義理だってちゃんとわかって…』


橋「いいえ」


『いや、わかってるって』


橋「もし誰かが来たら、あなたはこう思うはずよ」


『どう思うの?』


橋「わざわざ家まで足を運んでくれるなんて、俺に特別な感情を抱いているに違いない」


『お、思わないよ』


橋「好きまではいかなくても、好意はあるんだ、とね」


『…ぐぬぬ』


橋「そして次に、その子の表情を見てこう思うはずよ」


『どう?』


橋「あれ、なんかちょっと照れてない? え、まさか…まさかの?」


『…いや…』


橋「ってか、この子、こんなに可愛かったっけ? 恋する乙女はうんぬんかんぬんって…、とね」


『………』


橋「さらに、渡されたブツの包装を見てこう思うはずよ」


『まだあるんすか…』


橋「義理って言ったのにキレイなラッピング…これ本当に義理か?」


『…ぐ…』


橋「実は照れ隠しに言っただけで、本音は中の手紙に…、とね」


『………』


橋「包装紙が去年のお中元の使い回しとも知らずにね」


『…え、そうなの?』


橋「そんなもんよ」


『…そなんだ…』


橋「ちなみに今の、三つとも当てはまったら、勘違いプチ喪男よ」


『…おーけー、うん…』


橋「ちなみにイケメンモテ男の場合はどうだと思う?」


『まさか、そんな浅ましいことは考えないというのか…』


橋「違うわ」


『え、じゃあ何が…』


橋「それは…」


『それは…?』



橋「そもそも義理じゃない」



『くっそおおおおおおおおおおおおおおお!!』



橋「いいわよ、そう、その妬みよ」


『イケメンモテ男め…許さん…』


橋「それじゃあここで、イケメンあるある」


『…聞きたくねー』


橋「下駄箱いっぱいの本命チョコ」


『はい、イケメン爆発ー』


橋「教室を覗くと自分の机を囲んでる女子一同」


『はい、イケメン、タンスの角に小指ー』


橋「そしてイケメン君の姿を見ると真っ赤になって三々五々」


『はい、イケメン、下校中全部赤信号ー』


橋「机に入りきらない本命チョコ」


『はい、イケメン、ファミレスのドリンクバーで炭酸押したときやたら水ばっかり入るー』


橋「休み時間ごとに呼び出されて渡される本命チョコ」


『はい、イケメン、チャリの後輪の泥はねが歪んで、漕いだときやたらカシュカシュ音がするー』


橋「もちろん告白つき」


『はい、イケメン、スーパーで早いと思って並んだレジの列で一番前の人が、すいませんこれ戻してきます、とか言ってなかなか帰って来ないー』


橋「ま、彼らにはこれが普通ね」


『びっくりするほど格差社会』


橋「私のあとに続いて叫びなさい」


『オーケー、トム』


橋「妬ましいわー!」


『妬ましいわー!』


橋「パルパルパルー!」


『パルパルパルー!』


橋「パー(↓)ルー(↑)!」


『パー(↓)ルー(↑)』


橋「どう、妬みはすっきりした?」


『増幅しました…』


橋「やっぱり」


『わかってるならやらせないでね…』


橋「まあ、それはいいとして」


『よくないよ。俺のやるせない気持ちどうすんのさ』


橋「かわいそうなあなたに朗報よ」


『…何?』


橋「ここに偶然チョコがあるわ」


『偶然って…』


橋「どうせ誰からももらってないと思ってね。はい」


『え…』


橋「はい」


『…いいの、もらっちゃって?』


橋「ええ、かわいそうだから」


『…う…うん、ありがとう…』


橋「義理だけどね」


『この際、義理でも全然いいよ。ありがとう』


橋「さっそく食べるといいわ」


『…また激辛とかじゃないよね…』



パクッ



橋「わかってて食べるその根性、嫌いじゃないわ」


『っああ、やっはいかあい!』


橋「まあ、口直しにチョコ置いてくわ。じゃあね」


『やあねやなーい!』


橋「その中のひとつだけ激辛じゃないから。じゃ」



バタン



『くっほー、ろれだ…』


ぱくっ


『かあい!』


ぱくっ


『こえも、かあい!』


ぱくっ


『ああっ!』


ぱくっ


『かあい!』


ぱくっ


『どえだ!』


ぱくっ


『つぎで、しゃいご』


ぱくっ



『…もぐもぐ…』





『くっそ、じぇんぶ、かあいじゃねぇか!』


橋「はい、爆発! 爆発!」

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