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もっと東方寝巻巻。  作者: もっぷす
第2回
46/173

義理1

天「可愛い女の子かと思った? 残念! 天界一の超絶美少女天子ちゃんでした!」

衣「バレンタイン回が一話で終わると思ったんですか? くすっ、おめでたい人」


※アリスが訪れるちょっと前のお話です。

『ついに今日になったか…』




『…呪わしきバレンタイン…』




『ま、いいや、とりあえず寝よう。先に不貞寝しよう』




『どうせ俺のところには誰も来やしないんだ…』




『どうせ…』




『家のチャイムが鳴ることもないし…』



ピーンポーン



『…ほらね、チャイムが鳴っチャイム…』



ピーンポーン



『って、ええぇぇぇぇええ!?』



ピンポーン



『何で何で何で!?』




『一、チャイムがひとりでに鳴り出した。二、チャイムがひとりでに鳴り出した。三、チャイムがひとりでに鳴り出した。四、ねんがんの チョコレートをてにいれ…』



ピンポンピンポンピンポ…




『ああ、はいはいはーい!』



ガチャ








天「よっ、庶民」



『……………アア……………テンコチャンカ……………ヒサシブリ……………』


天「遊びに来てやったわよ。ありがたく思いなさい」


『…うん…ま、いっか…衣玖さんとお話できるし…』


天「なによ、その顔は。嬉しくて仕方ないくせに」


『…って、あれ、衣玖さんは?』


天「衣玖なら今日は来ないわよ」



バタン



天「なんで締め出すのよ! 開けなさい!」



ガチャ



『………何か用?』


天「めっちゃ態度変わったわね…」


『用事無いなら帰って。こちとら不貞寝に忙しいんでね』


天「ふーん。ふふふ。そんな態度していいんだー?」


『何が』


天「今日が何の日だか知らないわけじゃないでしょ」


『何が言いたいの』


天「持ってきてあげたんだけどナ~。例のア・レ」


『何それ』


天「チ・ヨ・コ・レ・イ・トっ」


『ふーん』


天「ふっふーん。3回まわってワンダフルって言ったらあげてもい…」


『あ、いらないっす』


天「へ?」


『いらない』


天「いや、そんなこと言って本当は欲し…」


『いらない』


天「巷で噂のめっちゃ美味し…」


『いらない』


天「で、でも、すごい高級な…」


『いらない』


天「せ…」


『いらない』


天「………」


『いらないから』


天「み…」


『いらない帰って』



ぐいっ


バタンッ!



天「………」




天「え…」




天「…何これ…」




天「………」




天「…目頭が熱い…」




天「…目頭が…」




天「…目頭2:50…」




天「…ぷぷっ…」




天「まあいいや。どうせ作ったの衣玖だし」



\ガタッ!/



『今なんて!?』



天「うわ、何よいきなり」


『いや、今なんて言ったの?』


天「え…作ったの衣玖だし、って」


『…ゴクリ…』


天「な、なによ」


『い、いや、べつに…』


天「あ! さてはあんた、私が料理できないとか思ってんでしょ!」


『いやいや、そんなことないよ』


天「わっ、私だってお菓子くらい作れるんだから。このチョコだって、ちゃんと私が手伝ったんだからね」


『え…どのくらい…?』


天「うーん、そうねぇ。まず、板チョコをお湯で溶かすやつ、湯…なんとかってやつは…」


『湯煎?』


天「ああ、たぶんそんな感じ。それは誰でもできるから衣玖にやらせた」


『うん』


天「次に、隠し味を入れるところは…」


『えっ』


天「衣玖にやらせた」


『…そんな工程あったっけ…』


天「なっ、ちょうどそのとき私は手が離せなかっただけよ!」


『いや、聞いてないし…』


天「それで、固めるところは、簡単すぎるから衣玖にやらせた」


『うんうん』


天「ま、あとは包装を衣玖にやらせて完成ってカンジね」


『オッケーオッケー!』


天「ふふん、そうでしょそうでしょ」


『うんうん。あー話を聞いてたらだんだん欲しくなってきちゃったなー』


天「あっは。やっぱり?」


『うんうん、欲しいなー。チョコ欲しいなー』


天「えー、まあ、3回まわってワンダフルって言ったらあげてもい…」



ぐるんぐるんぐるん



『ワンダフォー!!』



天「あ、違った。3回まわって天子様最高ー☆だった」



ぐるんぐるんぐるん



『天子様最高ー☆』



天「あ、違った。地べた這いつくばって天子様最高ー☆だった」



ずりずり



『天子様最高ー☆』



天「あ、違った。地べた這いつくばって私は薄汚い地上の…」


『いつになったらくれるの?』


天「だから、地べた…」


『もしかして、チョコおいしくないんじゃ…』


天「なっ、何でそうなるのよ」


『自信ないからいつまでも引き伸ばして…』


天「違うわよ! ものすごく美味しいに決まってるでしょ!」


『えー、嘘っぽい…』


天「なっ、じゃあ食べてみればいいでしょ、ほら!」



『うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああおあああああああああああああい! イヤッホォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ才オオオオオオオオオオオオイ!』



バタン



天「ふふっ、何よあんなに喜んじゃって。私のチョコがそんなに嬉しいなんて、けっこうかわいいとこあるじゃない」




天「はぁ、でも、渡しちゃった…」




天「本当は…こんなことしたくなかったのに…」




天「…でも…しかたないわよね…」




天「だって…だってあいつがあんなふうに言うから…」




天「…これで…私は…」




天「私は…明日から…地上で…」







天「天才パティシエって、もてはやされるんだわ!」







天「色んなとこから依頼が来て休む暇もない日々…ああ…自分の才能がうらめしい…」




天「………」




天「…めんどくさいし衣玖にやらせるか」




………




『うへへーい。衣玖さんがお手々でこねこねしたチョコゲットー。生きててよかったー』




『じゃ、両手を合わせてッ!』




『いただきますっ!!』



パクッ



『って、コポォ!』




『…ゲッホゲッホ…』




『………』




『マジか…』




『これ、アレだな…』




『砂糖とアレ間違えたパターンだな…』




『砂糖と…』






『コショウ…』

『天「可愛い女の子かと思った? 残念! 天界一の超絶壁美少女天子ちゃんでした!』

天「ちょ、勝手に足すなし!」


※本チョコの製作過程に「お手々でこねこね」は存在しませんでした。ご了承ください。

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