15 ほっぺたを
『ふぁ…んー、朝か』
霊「………」
魔「………」
パ「………」
に「………」
さ「………」
傘「………」
『…まだ誰も起きてないのか』
魔「…すぅ…」
『おーい』
魔「…すぅ…」
『呼びかけてみましたが、返事はありません』
魔「…すぅ…」
『僕は、魔理沙が狸寝入りをしているのではないか、と思って彼女の顔を覗き込んでみたのです。
すると、すやすやと寝息が聞こえ、どうやら僕の推測が間違っていたのだな、と思うに至りました。
本当なら、そこで僕は、もう一度彼女を起こすなり、朝食を準備するなり、別の行動に移るべきです。
しかし、僕は彼女の寝顔から目を離せずにいたのでした。
彼女の顔をまじまじと見つめることはありませんから、ちょっと見ていたかったのかもしれません。
ですから、彼女の睫毛が意外と長かったことも、今になってようやく気が付いたのでした。
いつもはぱっちりと開かれているその目が、やさしく閉じられています。
少し上の方へ目を移すと、眉は整っていて、少しだけ前髪がかかっているのでした。
普段、活発な少女を思わせる金髪は、今は眠っている彼女を綺麗で上品に印象づけています。
また、前髪の間から覗く額もかわいらしく、彼女の魅力のひとつであることを知りました。
僕は彼女の前髪をかき上げて、その額をもっと見たい、と思いました。
ですが、もし彼女が目覚めたならば、額に接吻をしようとしていると思われかねません。
それは困ります。
だから、残念ですが、やめることにしました。
代わりに、ほっぺたをぷにぷにすることにします。
これも、彼女が起きれば、変態などと罵られるかもしれません。
しかし、僕の家に泊まって、不用心にもぐっすり眠っているのですから、このくらいの悪戯は当然なのです。
僕は彼女のきれいなほっぺたに狙いを定めました。
緊張の一瞬です。
こんな美少女のほっぺたをつつく事態になろうとは、全く予測していませんでした。
手が震えます。
僕は目を閉じ、深呼吸をしました。
そして、彼女が確かに眠っていることをもう一度確認します。
すると、彼女の唇がわずかに動き、僕はぎょっとしました。
しばらく動けず、黙って見ていましたが、どうやら寝言のようです。
胸を撫で下ろすと同時に、(当然撫で下ろしたのは自分の胸で、魔理沙の胸ではない)自分の視線が魔理沙の唇に釘づけになっていることに気付きました。
みずみずしくて、張りのある柔らかそうな唇です。
ここは、他人が決して触れてはならない、乙女の領域です。
さすがの僕でも、自分の欲望のために、彼女を失意のどん底にたたき落としたりはしませんでした。
僕は当初の予定通り、ほっぺたをぷにぷにすることにします。
また手が震えはじめました。
気付くと、腕や肩、足さえも震えています。
頭もぐわんぐわんして、呼吸も苦しくなりました。
ですが、僕は手を引っ込めません。
この身が朽ち果てても、魔理沙のほっぺたをぷにぷにするんだ。
僕はそんなことばかり考えていました。
ついに、僕の指先が彼女のほっぺたに触れました。
彼女の柔らかな肌の上で、僕の無骨な指が、みじめに震えています。
僕は自分を情けなく思いました。
しかし、もうここまできたら、引き返すことはできません。
僕は指に、ほんの少しだけ力を加えます。
すると魔理沙のほっぺたは小さくへこみ、よわく押し返してきました。
僕は感動しました。
魔理沙のほっぺたの弾力は見事なものです。
もう一度押してみても、柔らかく、ぷにぷにとした感触が指に伝わってきます。
この柔らかさは例えようもありません!
これは病み付きになります。
まるで、ぷにぷにするためにあるかのようなほっぺたです。
僕は今、世界で一番幸せです。
調子に乗った僕は、今度はほっぺたをつまんでみることにしました。
起こしてしまってはいけないので、力を入れすぎないようにします。
魔理沙のほっぺたは、もっちりしていて、指を離すとぷるんと小さく震えました。
この感触もまた、至高のものです。
彼女のほっぺたで、ご飯を茶碗2杯(ふりかけがあれば3杯)は食べられそうでした。
そして、僕はもう一度同じことをしようと、魔理沙の頬に触れます。
しかし、僕は固まりました。
なんと、いつの間にか彼女の目が開いているではありませんか!
僕は咄嗟に手を引っ込』
魔「おい」
『…な…なんでしょうか』
魔「…お前病気なんじゃないか?」
『どうやら彼女は、まだ寝ぼけてい』
魔「おい」
『はい?』
魔「…怖い」




