13 お背中を
『…さすがの俺でも触らないよ』
魔「…まあ…疑って悪かったよ」
霊「…ごめん」
パ「…悪かったわよ」
『まったくもう』
傘「油はどこ?」
に「台所だよ!」
『まだやってる!』
霊「もう、早く寝ましょう」
さ「布団は3組しかありませんよ?」
傘「全部くっつけたら、7人とも寝れるんじゃない?」
『…なんていい子なんだ…』
魔「………」
さ「………」
『わかってるよ。俺はソファで寝るから』
霊「じゃあ、2人ずつ寝ればいいわね」
魔「グーチーパーで決めよう」
霊「グチパーグチパー合った、ひとっ」
魔「私と、にとりだな」
に「うん」
パ「私は霊夢ね」
傘「それで、私と、さとりんだね」
さ「…さとりん…」
魔「で、布団はどうする?」
霊「どうするって?」
魔「どの布団で寝るか」
霊「私は自分の布団があるから」
パ「そうね。臭そうな布団は勘弁して欲しいわ」
『…ちゃんと消臭スプレーしたけどね』
パ「それでも臭そう」
『…悲しいけど、自分でもそう思う』
さ「私はそっちでも構いませんよ」
『…涙が出そうだ…』
に「私もどっちでもいいよ」
魔「お前はどうだ?」
傘「私もどっちでもいい」
魔「ふむ。私もどっちでもいいんだよな」
に「じゃんけんで決めよう」
傘「よーし、じゃんけん、ぽん」
に「あ、負けた」
傘「勝った。私はね、どっちでもいいよ」
に「そっか。私もどっちでもいいよ」
『…何も決まってないじゃん』
魔「負けたら紫の布団ってことで、もう一回」
傘「じゃんけん、ぽん」
に「あ、負けた」
さ「これで決まりですね」
魔「よし、寝るか」
『俺は風呂に入ってくるよ』
魔「まだ入ってなかったのか」
パ「ばっちいわね」
『片付けに時間がかかったからね!』
魔「あ…スプレー貸してくれ」
『え? いいけど…はい、どうぞ』
魔「サンキュー」
シュー
霊「何してるのよ?」
魔「紫のにおいがしそうだから」
『もとは紫さんのだからね』
魔「他人のにおいがする布団って何となくいやだろ?」
パ「わからなくもないわね」
『じゃ、俺は風呂に入ってくるから』
霊「私たちは先に寝ましょう」
魔「そうだな。おやすみ」
パ「おやすみ」
に「おやすみー」
傘「おやすみー」
さ「おやすみなさい」
………
ごそごそ
傘「ふふふ、驚かしてあげよう」
ごそごそ
魔「待て待て。どうやって驚かす気だ」
傘「え? 急に戸を開けて、わっ!」
魔「…それは問題がある」
傘「へ?」
魔「戸を開けなくても驚かすことはできるぜ」
傘「そのまま、わっ! ってするの?」
魔「その驚かし方は古いな」
傘「じゃあ、どうやるの?」
魔「ふっふっふっ。私が悲鳴を上げさせてやろう」
傘「えー本当に出来るの?」
魔「まあ、ここで待ってろ」
傘「いいけど…」
魔「まず、靴下を履く」
傘「ふむふむ」
魔「次に、洗面所に行って電気をつける」
とことこ
ぱちっ
魔「おーい」
『ん? どうしたの?』
魔「…ちゃんと洗ってるか?」
『洗ってるよ?』
魔「…今日は…疲れただろ?」
『はは。まあ、いつものことだけどね』
魔「…悪かったな…ちょっと…はしゃぎすぎた…」
『あ、いや、別に嫌ではないよ』
魔「…お詫びというかさ…背中くらい…流してやるよ…」
『あはは。それはいいね』
しゅるしゅる
『わ! ちょっと! 何、ちょっと待って! 本気!? 違うよね!?』
魔「今…入るからな…」
しゅるしゅる
『ダメだって! ちょ、誰か!! 誰か助けてぇーーーっ!!!』
傘「本当に悲鳴が上がった!」




