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もっと東方寝巻巻。  作者: もっぷす
第1回
16/173

雛と漫才してみた

『どーもー。よろしくお願いしますー』


雛「どうも。鍵山雛です。よろしくお願いします」


『いやいや、お忙しい中、来て頂いて、ありがとうございます』


雛「いえいえ。気にしないでください」


『お客さんに言ったんですよ』


雛「あら、そうでしたか。うっかり♪」


『ちょっとかわいいと思ってしまった』


雛「え、今かわいいって言いました?」


『はい。とってもキューティクルです』


雛「髪の表皮みたいに言わないでください。それを言うならキュートです」


『なるほど。自分で言いますか』


雛「あなたが間違うからですよ」


『ごめんね』


雛「いいよ」


『で、キュートな雛さん』


雛「もう言わなくていいです。恥ずかしくなってきました」


『了解であります』


雛「でも、私も本当に暇ではなかったんですよ」


『ああ、忙しい中来てくだすって』


雛「私にも役目がありますからね。本当は忙しいんです」


『そうですよね。ありがとうございます』


雛「今日だって、集めるのを中断して来てるんです」


『ああ、厄を?』


雛「いや、町内会費を」


『町内会費!?』


雛「ええ、町内会費。ご存知ありませんか?」


『いや、知ってますけど…』


雛「私の役目なんです」


『町内会長なんですか?』


雛「いいえ」


『あれ? 違うんですか?』


雛「町内会長は、町内を統轄する役目です。だから違います」


『じゃあ、何なんですか?』


雛「町内会計次長です」


『町内会計次長!?』


雛「町内会計次長です」


『町内会計長じゃなくて?』


雛「町内会計次長です」


『会計長とは違うんですか?』


雛「町内会計長は、町内の会計を管理する役目です。だから違います」


『町内会計次長は?』


雛「町内会費の集金が役目です」


『かなり役割が細分化されていますね』


雛「会費集めも大変なんですよ?」


『ああ、お金の問題は複雑になりますからね』


雛「ちゃんと払ってくれない妖怪もいて」


『人間にも妖怪にもいるんですね、そういうのは』


雛「あ、人間にもいるんですか?」


『はい。人間では大概、ババタリアンですね』


雛「そうですか。うちの町内のは、ババタリアンではありませんが」


『へえ。どんな人なんですか?』


雛「河城にとり」


『にとり!?』


雛「あっ、今、イ○ーヨーカドー想像しましたね?」


『ニ〇リじゃなくて!?』


雛「ああ、それそれ。マークが似てるから、ごっちゃになってしまいました」


『ええ、独特な感性をお持ちのようで』


雛「まあ、とにかく、にとりが払わないんですよ」


『何か理由があるんでしょうかね?』


雛「彼女が言うにはですね…」


『言うには?』


雛「ほんなもん払わなアカンのか? 皆払っとるんか?」


『おお、訛っとる』


雛「法律で決まっとるんか? 何時何分何秒誰が決めたんや?」


『…小学生か』


雛「とにかく私は払わんで。帰れ帰れ。って言うんです」


『タチ悪いですね』


雛「――って言うんです」


『あ、そこまでがセリフ!? にとりは誰の話をしてたの!?』


雛「まあ、そんな感じで払わないんですよ」


『ええ、どんな感じかさっぱり分からなかったんですけど』


雛「だから私も言ってやりましたよ」


『おお、ガツンと』


雛「ちょ…マジでお願いします…ホント…!」


『弱い!』


雛「土下座でも雨乞いでも何でもしますから!」


『雨乞いってジャンル違わない?』


雛「そしたら、彼女はこう言うんですよ」


『おお、何て言った?』


雛「うん、わかった」


『わかっちゃったのかよ!』


雛「ねえ、ホントに」


『ホントに、じゃないよ。解決できたじゃないか』


雛「でも雨乞いさせられましたよ」


『俺の雨乞いのイメージは、ヘンな踊りなんですけど』


雛「そうです。恥ずかしい格好で恥ずかしい踊りを」


『…恥ずかしい格好?』


雛「お、食いつきましたね。さすが男子」


『…う…』


雛「よっ、この男子!」


『はやし方が変ですよ』


雛「まあ、恥ずかしいって言っても、ふんどしですけどね」


『…充分だと思いますよ』


雛「それで、訳分かんない呪文を唱えるんです」


『どんな感じですか?』


雛「ザラキーマ」


『はい危ない』


雛「ザキマズン」


『はい混じってる』


雛「あぁん」


『…おお…なんかすごくよだれ出てきた…』


雛「って感じですね」


『…喘ぎ声も雨乞いの一環なの?』


雛「それを繰り返しながら、10分くらい踊るんです」


『死の呪文と喘ぎ声を繰り返して』


雛「そしたら、雨が降るそうで」


『すぐ降るの?』


雛「一ヶ月後に」


『いや、遅いな!』


雛「ねぇ。一ヶ月です」


『結構先を見通さなきゃいけない』


雛「大変ですね」


『ね。君の相手をするのもね』


雛「まあとにかく、気合いで踊りきったんです」


『で、結局、にとりは払ってくれたんですか?』


雛「ええ。話せば分かってくれたんです」


『話以上のことをしてますけどね』


雛「でもまあ、ちゃんと払ってくれましたから」


『払ってくれたんですね』


雛「体で」


『いや、体かよ! えちぃな!』


雛「もうすごかったんですよ」


『いや知らないよ!』


雛「おかげで今日起きるのも辛くて」


『しかも昨日の出来事かよ!』


雛「ねえ、大変でした」


『いやいや、大変でしたじゃなくて』


雛「でも、お金は私が肩代わりしたんですよ」


『あなたが体で払わせるからですよ』


雛「ええ、でもまだ困ったことがあって」


『なんですか?』


雛「椛がね、払ってくれないんですよ」


『お、また払わない人が』


雛「ええ。払ってくれない」


『彼女は何て言ってるんですか?』


雛「体は勘弁」


『あんた体で払わせようとしたんか!』


雛「もちろん」


『いや、もちろんて』


雛「だから私、言ってやりましたよ」


『はい、何て言ったんですか?』


雛「ザラキーマ」


『いや死んじゃうよ! いい加減にしろ!』


雛「どうもありがとうございましたー」

『ありがとうございましたー』

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