水着コンテスト 後編
ナ「やっと茶番が終わったか」
魔「長かったな」
『はい、じゃ、次はエントリーナンバー3番のみっちゃん』
ガラリ
村「やっと出番ね」
『うお! 水着だ!』
ナ「水着コンテストにあるまじき感想だね」
聖「え、水着コンテスト?」
魔「おい、一人今回の主旨忘れかけてるぜ」
村「それより、どう?」
『よい』
魔「………」
村「まあ、水辺の妖怪としては勝ちたい行事でね」
『白のセパレート、清楚でいいね』
天「ビキニだったら殴ってた」
『どんな権限があって!?』
天「ビキニが似合う女は帰って寝ろ!」
魔「なんという私怨」
『まあ、でも船長は』
村「ビキニが似合うほど膨らんでないだと聞き捨てならん!」
『言ってないよ! ビキニじゃないから関係ないって言おうとしたよ!』
村「あ、そ。で、ポーズ取ればいいの?」
『そこは自由で』
村「じゃあセクシーポーズで」
『え、それってセクシーポーズだったんだ…』
村「だったんだ、って…これ何だと思ってたのよ」
『左手で痛む腰を、右手で痛む後頭部を抑えるポーズ』
聖「ムラサ、腰と頭が痛むのですか?」
村「痛みません。セクシーポーズです」
魔「で、評価は?」
『え、はい。評価は4で』
魔「4か…」
村「4か。意外に厳しい」
『ま、二人目だし。白は船長らしくてよかったよ』
天「三人目よ」
ナ「君は水着じゃないだろう」
『えー、聖さんはどう思われました?』
聖「いいと思います」
『はい、ナズは?』
ナ「特にない」
『はい、船長でしたー。次は、一輪さん』
ガラリ
輪「………」
『………』
輪「………」
村「ねぇ 一輪 こっちむいて」
ナ「はずかしがらないで」
魔「もじもじしないで」
聖「まあ、懐かしい」
『照れると余計恥ずかしくなりますよ』
輪「いや、照れてるっていうか色々と…」
『それタンキニってやつですよね。似合ってますけど?』
天「恥ずかしいなら何で出たのよ」
魔「こんな厚顔無恥の場違いブルマもいるのに」
輪「あの阿呆に無理矢理エントリーされたの」
『船長ですか』
村「え、私?」
輪「何意外みたいな顔してるのよ」
村「無理矢理って、確かにエントリーしたのは私だけど、あのとき一輪、やだって言ってたじゃん」
『うん、やっぱり無理矢理だね』
ナ「無理矢理だな」
村「でも、私の引き立て役が欲しかったから」
『わあ、ひどいね』
魔「てんこがいるだろ」
天「わあ、ひどいね」
『でも一輪さんでは引き立て役にならないかと』
村「最近太ったって言ってたから出した」
『鬼だなあんた』
村「私が細く見えるでしょ?」
『船長はもともと細いし』
ナ「それにタンキニは体のラインが出にくい。上手くかわされたようだ」
村「でも、お腹は隠せてるけど、二の腕は見えてるよね」
魔「ああ、豪速球投げそうだよな」
天「まあ、腕立て得意そうよね」
村「ええ、重量挙げ好きそうだわ」
輪「あんたらねぇ…」
村「太居むち輪」
ナ「ぷっ…」
天「ぷっ…」
聖「ぷっ…」
輪「姐さん!?」
魔「あまり人の体のことをとやかくいうのは感心しないぜ」
『さっき自分も言ったやろ…』
輪「もういい。着替えるからね」
ナ「おっと、評価がまだじゃないか」
村「そうそう。はい、じゃ、評価をどうぞ」
『はい、評価は5!』
魔「は!?」
村「は!?」
天「は!?」
ナ「は!?」
聖「は!?」
輪「姐さん!?」
ナ「こ、講評は?」
『控えめな露出に一輪さんらしさがよく表れています』
魔「露出少ない方が評価高いのか?」
『安易な露出は減点』
天「私は?」
『あと、自身のコンディションを鑑みて体型の出にくい水着を選んだのも的確』
天「無視しないで!」
ナ「零点の人、静かに」
天「キーッ!」
輪「お見せできない体型で悪かったわね」
村「ちょ、もう一回見てみて。このジューシーな水着姿に私は負けてるの?」
輪「誰がジューシーよ」
『船長、これは体型を競う場じゃない。自身と水着のコーディネートで勝負するんだよ』
ナ「ダルダルのシャツ着てるくせに偉そうだな」
村「白セパレートと私より、このおばちゃんみたいな水着と一輪の方が合うってこと!?」
輪「おばちゃんじゃなくてハイカラ少女!」
『もうひとつ大事なことを忘れてるよ』
魔「だ…」
天「大事な…」
村「こと…?」
ナ「何だその唐突なチームワーク」
『大事なことは、このコンテストの審査員が俺だということさ』
村「ハッ、つまり貴方好みのドスケベな水着を着た者が…」
『違うよ』
魔「逆だ。こいつは女に興味が無い。つまり真逆の…海パン…」
『違うよ』
天「いや、そのどちらでもないなら、もういっそブルマ…」
『違うよ』
ナ「で、つまりは君の価値観次第というわけか」
『そういうこと』
村「それで一輪が優勝ってことは、貴方…デブ専!?」
輪「雲山の拳と私の拳、どっちがいい?」
『俺はデブ専ではありませんし、一輪さんはデブではありません』
ナ「そうだな。一輪さんはデブではない」
魔「ふむ、一輪さんはデブじゃないのか」
村「うーん、一輪さんはデブじゃないのかな」
天「えー、一輪さんってデブでしょ」
聖「うちのデブさんのこと一輪って言わないで!」
輪「姐さん逆!」
『皆さん、一輪さんは普通体型ですのでご安心ください』
魔「というか、おまえの好みに合わせるとイヌミミが優勝じゃないか」
『いや、そうとは限らないよ。たぶん有利だけど…』
村「じゃあ響子が出たらどうだった?」
『それは水着次第』
ナ「全然関係ないがこの前『俺の方が先に仏道に入ったから先輩って呼んでね』と言って響子に先輩と呼ばせて興奮していた男がいたなあ」
魔「殴符、座布団スパーク」
『オウフ!』
聖「今のは殴符とオウフを掛けた高等な洒落ですね」
村「聖、解説は無用です」
輪「そもそも寺によく来るだけで、別に仏道に入ってないし」
ナ「二十回ほど呼ばせていたなあ」
魔「二十回ほど呼ばせていたのか」
『二十回ほど呼ばせていました。何故なら元気で明るい後輩が萌えたからです。私はとても幸福でした』
魔「持病が悪化しているようだ」
『病気じゃないよ』
村「イヌミミフェチ、デブ専、後輩萌え…変態の役満ですなぁ…」
天「スレンダー美少女のブルマは守備範囲外と」
『まあ、割と似合ってた方だとは思うけどね』
天「じゃあ何で優勝じゃないのよ。ツンデレ?」
ナ「いや、失格だからだろう…」
天「くっ、ブルマコンテストにしていれば…」
魔「…当初の目的忘れてないか?」
天「ブルコンなら私が幻想郷最強だったのに」
『いや、そんなことは…』
天「私以外の誰が似合うっていうのよ?」
『うーん、例えば、えーと、聖さんとか衣玖さんとか』
天「え、それってもしかして」
『ん?』
天「もしかして…」
『もしかして?』
天「熟女好きってこと!?」
スパァン!
天「痛いッ!」
聖「誰が熟女だこの豚ァ!」
『聖さん!?』
輪「姐さん!?」
聖「あ、ヤダ私ったら、正座崩して…はしたないですね」
『いや、崩れていたのはキャラでは…?』
天「え、何で私叩かれたの?」
村「いや、納得の一撃だけど」
聖「ごめんなさいね。ちょっとウトウトしてしまって…」
ナ「言い訳が力任せ!」
村「…聖、お疲れならもう休まれては?」
聖「そうですね。お先に失礼します」
『あ、はい。じゃあ、俺たちも帰ろっか』
魔「そうだな」
天「そうね」
聖「あ、てんこさんはお話があるので、格技場で待っててください」
天「え…」
ナ「話し合い(肉体言語)」
『いや、それ以前にお寺に格技場があるのに驚きですけど』
魔「ま、じゃ、他の人は解散ってことで」
輪「ああ、疲れた」
村「終わりかぁ」
輪「さて、戻るわよ」
村「あ、一輪、最後におなか見せグフッ…殴っ…あ…」
『うん、魔理沙、早く帰ろう』
魔「だな。じゃ、お邪魔したぜ」
『おじゃましましたー』
天「あ、私も帰グフッ…殴っ…あ…」
聖「………」
『魔理沙、走ろう!』
魔「もう走ってる!」
………………
星「クシュン! まだかなぁ…」




