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もっと東方寝巻巻。  作者: もっぷす
第5回
116/173

「借人」と書いて「かりゅうど」と読みたい

『まあ、どうでもいいけど、飛んでいいとか言われても困るよね』



キコキコ



『ちゅーわけで、おいらチャリですたい』



キコキコ



『なんかどんよりしてるなぁ。急がないと雨降るかも』



カショーッ



『さて、森の入り口まで来たわけだけど、こっからは徒歩なんだよね』



カシャンコ



『盗まれたら困るし、香霖堂の横に駐めさせてもらおう』



ガラリヌス



『こんにちはー』


霖「ああ、君か。探し物かい?」


『いえ、少しの間、お店の横に自転車を駐めさせてほしいんですけど』


霖「構わないよ」


『ありがとうございます。それでは失礼します』


霖「うん」



パタム



『よっし、許可も得たし、早速行くとしましょう』




………………




『案外ちょろかったな。魔法の森って思ったより狭いのかも』



コンコン



『いるかな? 留守だったら困るな』



コンコン


ガチャ


バタン



『ちょ! 今開けたよね!』



ガチャ



ア「何よ…私なら留守よ」


『居るやんけ』


ア「…何か用?」


『まあ、ちょっとお願いがあるんだけど』


ア「いやよ! 変態!」


『まだ何も言ってない!』


ア「どうせロクでもないことでしょ」


『いやいや、紅茶の茶葉をね、ちょっと分けてほしいんだ』


ア「…は? 何に使うのよ」


『たぶん紅茶を淹れるんだよ。魔理沙がご所望で』


ア「パシらされてるわけ?」


『ち、ちがうよ。そういうルールなの』


ア「ああ、あんたが魔理沙のために東奔西走するって主従契約ね」


『ちゃうわい。そういう遊びなの』


ア「魔理沙にとってはアソビ…そこまでわかっててあんた…」


『やめて! 俺を捨てられる男みたいに言わないで!』


ア「そうよね。まず拾われるはずがない」


『たしかに。ってそれはどうでもいいよ。お茶ちょっと分けてほしいんだけど』


ア「仕方ないわね。魔理沙が言うなら…って、本当でしょうね?」


『本当だよ。どうしたの、突然』


ア「魔理沙が、って口実で、うちの物をパクっていく作戦じゃないの?」


『いや、全然そんなことないよ』


ア「そのうち、魔理沙が欲しがってるから金品寄越せとか言うんじゃないの?」


『うーん…魔理沙なら言いかねん』


ア「…たしかに」


『まあ、さすがにそのときは本人に行ってもらうから』


ア「あ、というか、何で魔理沙が直接来ないのよ」


『話すと長くなるんだけど』


ア「端的に」


『借り物競走みたいのをやることになって、魔理沙の出したお題のひとつがここ』


ア「…またバカなことしてるわけね」


『うん、まあね』


ア「うーん…まあ、お茶ぐらいならいいか」


『ホント? わーい』


ア「ただし、一人ぶんね」


『うん。全然構わないよ。ありがとう』


ア「…ん。待ってなさい」



バタン



『よし、ひとつめはゲットできそうだ。よかったぜ』



ガチャ



ア「ん」


『アリガタスネットワーク社会』


ア「魔理沙一人ぶんしか入れてないからね」


『うん、ありがとう』


ア「まあ、魔理沙が二杯飲む前提だけど」


『もしかして、それって俺のぶんも入れてくれたってこと?』


ア「違うわよ。あんたのぶんなんか入れてないから」


『本当かな?』


ア「本当よ。わかったら帰りなさい」


『へーへー、帰りますよ。茶葉は本当にありがとう。またね』


ア「もう来なくていいわよ」



バタン



『まったく、ツンデレ気質なアリスだぜ。さて』



スタスタ



『お次は、ええっと、紅魔館か』



スタスタ



『…大丈夫かな…』



スタスタ




………………




スタリ



魔「ふむ。神社付近まで来たわけだが」



トタトタ



魔「この階段は歩いて上るべきなのか?」



トタトタ



魔「まあ、私の言い出したことだし、運動になるしカッコ重要、歩くとするか」



トタリ、トタリ



魔「ああ、見上げるだけでうんざりする階段だぜ」



トタリ、トタリ



魔「もう飛んで行こうかな…」



トタリ、トタリ



魔「いや、さすがに動かないとヤバい気がするし…」



トタリ、トタリ



魔「というか、最近食べて寝てばかりいてホントヤバい…ヤバい…」



トタリ、トタリ…




………………




トタリ、トタリ…



魔「…はぁ…疲れ…はぁ…」



トタッ



魔「…あー着いた…はぁ…着いたぁ…」



トタ、トタ



魔「…れいーむ…札くれー…」



トタ、トタ



魔「れいーむ」


霊「あら、久しぶりね」


魔「いや、そうでもないだろ」


霊「私の出番が、よ」


魔「そうか? まあいい。とりあえず冷たいお茶とお菓子と札をくれ」


霊「図々しいわね」


魔「図々しいぜ」


霊「で、何で札が必要なのよ?」


魔「借り物競走だ」


霊「は?」


魔「いろいろあって借り物競走をすることになった」


霊「誰と」


魔「あいつと」


霊「ふーん。あっちはどこ行ってるの?」


魔「アリスと咲夜とブン屋のところ」


霊「キツいとこ行ってるわね…」


魔「まあな」


霊「で、魔理沙は?」


魔「霊夢と妖夢と早苗のところ」


霊「ふーん。でも飛んだら魔理沙の方が早くない?」


魔「あ」


霊「気づかなかったのかい」


魔「いや、でも目的地付近では歩きってルールだし」


霊「付近以外は?」


魔「私は飛ぶ」


霊「あーあ、かわいそ」


魔「とにかくお茶くれよ。のどが渇いてしかたないぜ」


霊「まさか、階段上ってきたの?」


魔「ほめていいんだぜ」


霊「よくやるわ」



すたすた



魔「あー、疲れた…」



すたすた



霊「はい、お茶」


魔「ほうじ茶かよ」


霊「冷たいお茶は無いのよ」


魔「運動のあとに熱いお茶はなぁ」


霊「冷たいのがいいならとっとと妖夢のとこ行きなさい」


魔「対応は冷たいんだな」


霊「うるさいわよ。はい、お菓子ね」


魔「サンキュー」


霊「で、また何でそんなことを?」


魔「別に深い意味は無いけど、なんだったかな。えーと…」


霊「何よ?」


魔「チョコ食べて鼻血出て最近ふと…って、何食べさせんだよ!」


霊「は?」


魔「危な…食ったら意味ないだろ…しかも煎餅かよ米だよ炭水化物だよ…」


霊「あんたがお菓子出せって言ったんでしょうが」


魔「いや、今日はやめとくぜ。お茶だけでいいや」


霊「何よ、せっかく出したのに」


魔「それより札をくれ」


霊「ほれ」


魔「サンキュー」


霊「煎餅もったいないから私が食べるわよ」


魔「おう。悪かったな」


霊「ほんとよ。いただきます」



バリッ



霊「んーっ、この硬さがいいわ」


魔「………」


霊「あっさりしながらも深みのある醤油の香ばしさがたまらないわね」


魔「………」


霊「味は濃いめだけど、そのしょっぱさも煎餅だと美味しく感じるから不思議よね」


魔「…れいむの…」


霊「ん?」




魔「霊夢のエクセレント食欲ゴリラマシーン21ッ!!」




タッタッタッ…


ビューン!




霊「…は?」

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