10 かわいい子の巻。
村「何でお風呂上がっただけで文句言われんの?」
輪「静かに上がりなさい」
早「そうですよ。誰も気にしませんから」
村「いやいや、湯上がりの美少女見ないで何見んの?」
文「壁のシミとか」
村「いや、ちょっ…え…?」
早「大体そんな胸のくせに、どこを見ればいいんですか?」
村「いや…っ…え…?」
文「平薄盛」
村「誰よ」
早「薄姫」
村「誰よ」
輪「ちくわ大明神」
村「誰だ今の」
『船長の服かわいいね。特にフード』
村「でしょでしょ?」
魔「いや、こいつ、フードなら何でも誉めるから」
文「そうなんですか?」
『そんなことありませんよ』
魔「いや、もうこいつは、なんていうか…フードフェチだから」
『いや魔理沙、困ったら俺をフェチでカテゴライズするのやめてくんない?』
早「フードフェチ…ありそうで無かった…」
輪「たしかに聞かないわね」
『俺は違いますからね』
村「フードなら何でもいいんだ…」
『いや、大丈夫だよ、ちゃんと船長も評価したよ』
魔「いや、実際はこうだ。フードなら誰でもよかった。ムラムラして言った。ムラサ船長だけに」
文「寒い男ですね」
『思ってませんよ! スベったの魔理沙ですよ!』
村「かわいいってウソ…略してカワウソだったんだ…」
『なぜ略した! カワウソじゃないよ!』
早「乙女の純情を踏みにじる…許せません!」
『だからウソじゃないですって!』
文「フードを見るたびときめいて、あまたの女性をたぶらかす、閻魔が黙認しようとも、エッチな変態許しません!」
『どこの魔界のエンジェルですか! 啖呵切るの上手ですね!』
輪「エッチが変態の頭文字に由来するなんて知らなかったわ」
『今のセリフにその情報ありませんでしたよ! 知ってましたよね!』
魔「じゃあ変態のおまえは三段論法でエッチだと」
『いやまず変態じゃないよ!』
早「変態は大変ですよ?」
文「変態の戦隊」
『その会話、どっかで聞いた!』
村「マゾヒスト」
『いや、マゾじゃないよ!』
輪「マゾっ子」
『いや、そんな魔女っ子みたいに言われようとマゾじゃないですよ!』
魔「イヌミミとフードフェチのツッコミマゾヒスト」
『ツッコミしか正解ないよ! フェチとマゾは見当違いだよ! でもイヌミミは好きです』
早「猫まっしぐら」
『だからイヌ…ってかイヌミミが好きなんですって! というか懐かしいなそのフレーズ』
文「青娥にゃんにゃん」
『いや、ネコっぽく言ってもそれ仙人で…あとイヌミミが好きなんですってば!』
村「響子わんわん」
『いや、響子ちゃんは犬っていうか』
村「いうか?」
『………』
村「………」
『…マジ天使…』
魔「………」
『………』
魔「………」
………
『魔理沙の機嫌悪いのなんでだろう』
文「魔理沙さんは性格悪いんで、自分以外の人が誉められるのが不快なんです」
『まじで!?』
魔「違う」
早「性格悪いのは自分じゃないですか」
文「はは。明日の新聞で覚えておいてください」
村「で、さっきのってあれなの?」
『どれ?』
村「響子わんわんのこと好きってこと?」
『好きの方向性は知らないけど、いい子だとは思う』
輪「たしかに村紗みたく性格がねじれてないし」
早「文さんみたく陰険じゃないですしね」
文「はは。そのケンカ、言い値で買いますよ」
魔「別に他意はないけど、ヤマビコにデレデレしてる男のくるぶし飛んでけ」
『くるぶし飛んでけ!?』
村「もしさ、響子わんわんが『おデートしてくださいわんわん』って言ったらどうする?」
『鼻血拭く』
輪「出ることは確定なのね…」
魔「別に他意はないけど、わんわんにドキドキしてる男のこめかみほとばしれ」
『こめかみほとばしれ!?』
早「まあ、この話はこれくらいで」
村「え、せっかくいいところなのに」
早「寝る前の楽しみが無くなってしまいます」
輪「たしかに」
『なんか一輪さん、意外とノリノリですよね』
輪「そんなことないけど?」
文「で、このあとは何を?」
魔「いや、特に考えてない」
『相変わらずの出たとこ勝負だね』
魔「悪かったな! イヌミミが無くて!」
『そんな話してない!』
文「私は、カビ色の髪の人は早く風呂入れよと思います」
早「はは。この艶やかな緑は地毛です」
文「ああ、カビ生えてるのは脳の方か」
早「自分のですか?」
『とっととっとっととにかく早苗さんか一輪さんお風呂どうぞ!』
輪「お先にどうぞ」
早「ふむ。じゃあお言葉に甘えて」
すたすた
魔「やっと行ったか」
文「いやあ、本当にめんどうくさい女だわ」
輪「さすがに曲者ね」
村「ちなみに私そんな胸薄くないから」
魔「今のうちにこのあとの予定を決めよう」
文「本当に決まってなかったんですか?」
魔「いやまあ」
『いつものことです』
村「無計画だなぁ」
輪「別に、みんなで決めればいいのに」
魔「早苗がいたら『コイバナ一択です!』とか言うからな」
文「ですね。まあ、どのみちコイバナはしますけど」
魔「えっ」
『文さんのですか?』
文「噛みますよ?」
『えっ』
村「えー私恥ずかしくてムリー」
輪「キモい」
村「………」
魔「とりあえずそれ以外で何かしたいことはあるか?」
文「このパーティーを修羅場にしたいです」
魔「何でだよ」
文「いや、面白いかと」
村「性格悪っ」
『俺先に寝てるから、ガールズトークすれば?』
文「寝たフリして盗み聞きする気ですよ」
魔「最低だな」
輪「最低ね」
『いや、違いますよ…』
村「きゃぴきゃぴガールズが何話してるか気にならないの?」
『え、だってどうせ誰かの悪口でしょ?』
村「…お、おう」
魔「おまえは女を何だと思ってるんだ」
文「あながち間違ってもいませんがね」
輪「正直に言えばそうね」
『やっぱり女の子こわいね…』
村「いや、男だってそうじゃないの?」
『そうかな?』
文「いえいえ、男が集まれば品定めと相場は決まっています」
輪「女の話とエロスの話ね」
『たしかに多いのかも』
魔「それで女とエロスに興味ないおまえは友達ができないんだな」
『いや、俺だってかわいいと思う子ぐらいいるよ』
村「えっ、誰だれダレ!? 私と誰!?」
文「何で自分は確定なんですか…」
輪「で、誰なの?」
『えっとですね…』
村「うんうん」
『うんとですね…』
輪「うんうん」
『あかりちゃん』
魔「ゲームじゃねえか!!」