10 運命の
『みんな揃ったので人生ゲームですーどんどんどんどんぱふぱふー』
妖「…彼、疲れてますね」
ア「とりあえず始めるわよ」
妹「やり方は?」
霊「双六みたいなものよ」
『まずルーレットを回して順番を決めます』
魔「待った。オリジナルルーレットを持ってきた」
『そういう気遣いノーサンキュー』
魔「まあまあ、そう言わずに」
霊「見せてみなさいよ」
魔「ほれ」
幽「右隣の人に命令、とか書いてあるわよ」
魔「パーティーゲームらしいだろ?」
『そんなことせずとも、人生ゲームは立派なパーティーゲームだよ』
慧「しかし数字が少なくて、あまり進まない気がするな」
魔「………」
霊「…よく考えてなかったのね」
『普通のルーレットで、2が出たら命令もできるとかにすればよかったのに』
魔「それだ!」
ア「頭いい!」
慧「天才!」
『しまった! つまらないことを口走った!』
霊「馬鹿ね」
『…反省してる』
幽「まあ、命令できるからいいじゃない」
『しなくていいです』
魔「じゃあ、2が出たら右隣の人に命令できる」
幽「5が出たら全裸」
『全裸は無しで』
幽「半裸」
『半裸も無しで』
魔「9が出たら左隣の人から命令される」
『あんまりキツい命令は無しでお願いします』
霊「まあ、やりながら調整しましょう」
慧「まずは場所決めか」
幽「好きな人の左に行く人はサド、右に行く人はマゾね」
ア「なるほどね」
『待った。場所はくじ引きで決めよう』
ア「ほわ〜い?」
『…お前が輪からあぶれるからだ』
幽「私の隣じゃなかったらどうするのよ?」
『小躍りします』
幽「…明日も頭と胴体が繋がってるといいわね」
『嘘です。ごめんなさい』
………
『はい、みんなくじ引きましたか?』
魔「オッケーだぜ」
霊「それじゃ、始めましょう」
『まずルーレットで順番を決めます』
カラカラ…
カラカラ…
カラカラ…
『はい、決まりましたね?』
魔「オッケーだぜ」
霊「やっと始まるのね」
『えーと、次に全員に1000万円ずつ配ります』
霊「!!!」
『…ちなみに、このお金はゲーム内でのみ使用できるお金だからね』
霊「…チッ」
『………』
魔「いよいよスタートだな。私からだぜ」
カラカラ
魔「よし、7だ」
ア「悪徳商法に騙される。300万円払う、だってさ」
魔「よし、私は用心深いから騙されなかった。危なかったぜ」
『…ちゃんと払おうね』
………
霊「2が出たわ」
魔「財布を拾う。700万円もらう、だって」
『…すごくインモラルだね』
幽「そして命令タイムよ」
霊「そうね…この中で今晩一緒に寝たい人の名前を叫ぶ」
『…別のにしない?』
霊「しない」
『…ちょっと考えさせて』
幽「ほら、早くしなさい」
魔「恥ずかしがるなよ。修学旅行の夜だと思って」
『決まった』
霊「では、どうぞ」
『アリス』
魔「!?」
霊「!?」
幽「!?」
慧「!?」
妹「!?」
妖「!?」
ア「…え?」
『アリス』
魔「ふざけんな!!」
ア「…え」
幽「そうよ」
ア「…それってどういう…」
霊「真面目に答えなさい!」
ア「…目から水が…」
妹「ネタじゃん」
ア「…私、ネタなんだ…」
『変な気を起こさずに済みそうだから、アリス』
ア「…うわ理由もひどかった…」
霊「変な気を起こしそうな相手を言うの!」
『アリス以外』
ア「………」
霊「一人に絞れない?」
『…うん、選べないよ』
幽「優柔不断ね」
魔「その決断力の無さは、自分の身を滅ぼすぜ」
『…ごめん』
慧「ゲームが終わらないと困るから、今回は見逃したらどうだ?」
霊「…そうね。やむを得ないわね」
『ごめんね』
魔「次は誰の番だ?」
『俺の番だ』
カラカラ
幽「…9ね」
霊「………」
『………』
霊「…こほん」
『………』
霊「…誰」
『…えっと…』
霊「………」
魔「………」
慧「………」
妹「………」
幽「………」
『小傘だ小傘! 小傘! 俺だ! 結婚してくれ!』
霊「この中って言ってんだろこのチキン野郎」