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HAMA/Legend Dimension  作者: わらびもち
第三章 旅行
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第15話 教官

 ーー「……つまり、公表するつもりはないと?」


 ーー「ああ。まぁ公表しないとマズい事態になれば話は別だけど。」


 イリアから一通りの罰を受け終わったおれは、これまでのことを軽く説明した。なんかもう……人に会うたびに説明するのも面倒だな。その点では世界中に公表しちまった方がいくらか楽かも知れない。……そんな理由で公表はしないけど。


 ーー「そうか。ま、好きにすればいーんじゃねーか?」


 ーー「言われなくたってそうするよ。」


 ーー「テメーは!いちいち返事がウザーんだよ!!」


 ーー「たた!ちょっ……頬をつねるな!!」


 まったく。いちいち噛みついてくるのも昔から変わってないな。これじゃあ落ち着いて茶も飲めねぇよ。………いやまぁ悪いのは全面的におれだけどさ。すると、落ち着きを取り戻したイリアはそっと口を開き、静かに声を発した。


 ーー「……2000年か………。……退屈だったろ。」


 ーー「そうでもねぇ……っていうと嘘になるな。でも案外楽なもんさ。結局はが全てだからな。」


 ーー「ジジーになって達観したか?」


 ーー「ジジイじゃねぇよ!人間換算すればまだまだ若者だってんだ!」


 ーー「2000年はどんな種族でもジジーだよ!俺はまだ20代だからな!!」


 ーー「だったら年長者を敬いやがれ。」


 まったく……なぜこうなってしまうのか。隙あらば攻撃してきやがって。おれはまだ若いんだ。ジジイなんて言われるほど………歳はとってるけどとってねぇ。


 ーー「………2000年も生きてりゃ強くなったろ?」


 ーー「そりゃあもう……。昔とは天地の差があるさ。すぐ疲れるけどな。」


 ーー「………疲れるなんてもんじゃないでしょ。ホントに無茶しちゃダメだからね。」


 ーー「?なんだ。後遺症でもあんのか?」


 ーー「まぁ……死ぬつもりだったからなぁ。肉体も神経も使いすぎると酷く疲れる……っていうかもはや死にかけるんだけど。まぁそれでもマシなもんさ。」


 ーー「おいおい、せっかく生き延びたんだ。大事にしやがれ。」


 おお……珍しくまともなことを言うな。ちょっと感動だ。まぁ……ここまで生きてきたらそこまで生に執着しないけど。


 ーー「オメー、また俺のことバカにしただろ!」


 ーー「してないよ!……いや、したけど!なんでそう決めつけるのさ!!」


 ーー「してんじゃねーか!!顔見りゃあだいたい分かんだよ!」


 やっぱダメだ。この場にいたらいつ殺されるか分かったもんじゃない。生存報告も済ませたしさっさと出てしまおうか。


 ーー「……で、オメーらこの後はバンリューに会いに行くのか?」


 ーー「ええ、そのつもり。」


 ーー「どこにいんのか知ってんのか?」


 ーー「ハーラン大陸ってことは知ってるけど……。」


 ーー「そこのハルノトって街のギルドで教官をやってるらしいぞ。」


 ………バンリューが教官…!?“最初からできるから教えられない”なんて言うような男だぞ?そんなヤツが………まぁどうするも自由か。…でも意外だな。


 ーー「あの人“俺は天才だから人には教えられない”って言ってたのにね。」


 ーー「セリア、それはちょっと誇張表現だぞ。」


 ーー「冒険者も引退して暇なんだろーな。……今でもそこらの冒険者よりよっぽど強いだろーに。」


 ……バンリューはまだそれなりに強いのか。……そりゃそうか。あんな化け物みたいなヤツがそう簡単に弱くはならねぇよな。


 ーー「じゃあそろそろ行くか。またな、イリア。何かあったら呼んでくれ。」


 ーー「こっちの台詞セリフだバカやろー。もう死ぬなよ。」


 イリアが手をひらひらと振るのを見て、おれとセリアは部屋を出た。ハルノト…ハーラン大陸か。ちょっと遠いけど……まぁ色々と観光しながら行くか。……いや、リルに乗ってったらすぐ着く気もするな。大陸のどこらへんにあるのかにもよるけれど、2、3日もすれば着くことだろう。


 ーー「今日はこの街に泊まっていこう。リルも今日は休もうね。」


 ーー「そうだな。じゃあちょっと散歩でもしようよ。」


 おれ達は宿を取り終え、街をふらついた。夜になるまではまだ時間がある。やや離れたところにある小さな山を登り、開けたところで寝転がった。目を瞑って草の生えた大地に身を任せる。腹に乗って寝ているリルと、遮るものもなく当たる日の光が暖かい。瞼を越えて目に入る光が、急に遮られた。


 ーー「だぁーれだ!」


 ーー「………誰って…セリアしかいないだろ。」


 ーー「あははっ。せいかーい!」


 セリアは笑っておれの目元から手を離し、それと同時に隣に寝転がった。何だかテンションが高いな。だがそれも、昔のセリアを見ているようで嬉しくなった。国を出て、いい加減責任感から解放されたという感じだろうか。しばらくし、空は赤く燃え始めた。そろそろ日が暮れ、夜になろうという具合だった。

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