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HAMA/Legend Dimension  作者: わらびもち
第三章 旅行
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第13話 白銀狼のリル

 ーー「ソイツ、名前はどうするんだ?」


 おれは発泡酒をちまちまと飲みながら、セリアの膝に乗った白銀狼フェンリルを指差しながらそう尋ねた。名前がないとなにかと不便だからな。


 ーー「うーん………。リルね。可愛い名前にしましょ。」


 ーー「そうか。まぁいいんじゃないか?」


 白銀狼フェンリルだからリルなんだろうな。安直な気もするけれど、まぁそれくらいがいいかもしれない。……いや、安直過ぎるか?………まぁいいか。おれは食器を片付けて再び焚き火の前に座った。するとリルがテクテクと歩いてくるので、頭を撫でながら軽く火を通した肉を与えた。美味しそうに食べるものだ。リルを眺めていると、そんなおれの顔をセリアが見ていた。


 ーー「可愛いでしょ?」


 ーー「……うん。あんまり動物は見ないからね。……白銀狼フェンリルを動物扱いするのはちょっとバチ当たりかな。」


 ーー「ふふっ……まぁいいんじゃない?こんな顔を見るにほぼただのワンちゃんだし。」


 おう……セリアもなかなかバチ当たりなことを言ったな。……リルも気にしてなさそうだしいいか。というか白銀狼フェンリルって人の言葉は理解できるのかな?まぁ多分できるだろうな。


 ーー「………料理で思い出したけど、グラはあれから料理修行はしたのか?」


 ーー「そうね……数えきれないほどの犠牲が出たわ。」


 ーー「おぉ……そりゃまた…ご愁傷様で。」


 そのあたりは上達していないんだな。まぁある意味安心したというかなんというか。やっぱり何があってもグラに包丁を握らせるわけにはいかないな。絶対に。


 ーー「ふぁ〜……。そろそろ寝ようかしら。エストもそろそろ眠いんじゃない?」


 ーー「2階に上がって手前がおれの部屋だから使っていいぞ。おれは奥のじいちゃんの部屋使うから。」


 ーー「なんで?」


 ーー「2人だと流石に狭いから。じいちゃんの部屋よりはおれの部屋の方が片付いてるし。」


 ーー「ふーん………。」


 セリアは頬を膨らませながら不服そうにそう言った。あれかな?別れた部屋にはしない方がよかったかな?おれは宥めるように軽く笑いながらセリアに話しかけた。


 ーー「今度からはテントにしておこうか?」


 ーー「………準備がいらないから家でいいわよ。それに大英雄様とエストの過ごした家だし。」


 ーー「そうか?ならいいんだけど。」


 ーー「おやすみね。明日の朝は私が作るわ。リル、おいで。」


 セリアはそう言って家の中へと入っていった。リルもキャンと言ってそれについていく。おれは“おやすみ”と返しつつ、焚き火に向かって座ったままグラスに注いだ発泡酒を飲み干した。おれもそろそろ寝るか。船酔いで体力をだいぶ持ってかれたからな。ちゃんと休憩しておかないと動けなくなっちまう。おれはじいちゃんの部屋へ行って布団に入った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ーー「エストー!朝ごはん作ったわよ!!」


 階下から高い声が聞こえた。もう朝だろうか……。頭が重い……起きるのがしんどいな……。別に体調不良というわけではなく、ただただ眠いだけなのだが。セリアには聞こえないであろう唸り声で返事をしていると、布団の上に微かな重みを感じた。


 ーー「……?……あぁ……リルか……。セリアに頼まれたのか…?」


 おれの腹の上には、尻尾を振るリルが乗っていた。恐らくはセリアにおれを起こしてくるよう言われたのだろう。……やっぱ人の言葉を理解できてるのかな。着替えを済ませ、リルに引っ張られながら階段を降りた。


 ーー「おはよう、セリア。」


 ーー「おはよー!ちゃんと起きれたのね!」


 セリアは元気よく返事をした。朝から元気なもんだな。羨ましいよ。ほんとに……。おれは席に着いてセリアの方に目をやった。


 ーー「体調はどう?昨日は船に乗ったせいで一日中あまり良くなかったでしょ?」


 ーー「しっかり寝たから大丈夫だよ。……ありがとう。」


 そう言うとセリアが朝食を出してくれた。卵とベーコンを焼いたものか。まさに朝食って感じだな。


 ーー「美味しいね。………王様になっても朝はこんな感じなのか?」


 ーー「まぁ朝から重いものは食べられないからね。雰囲気はお洒落だったりするけど。よそは知らないけど……うちは豪華さにこだわるほど発展してないから。まずは国からやってかないと。」


 ーー「ふーん。まぁ慎ましいのはいいことだろうな。国民にも寄り添えるだろ。」


 ーー「そうだといいわ。」


 ーー「でももっと威厳を出していかないと。」


 ーー「あら、私に威厳は感じないのかしら?」


 どうだかな。おれとセリアは共に食事を摂りながら話していた。足元ではリルもパクパクとご飯を食べている。みんな朝食を済ませ、食器を片付けてから外に出た。再び空間収納アイテムボックスへと家をしまい、反対に台車を取り出して大きくなったリルへと繋いだ。大きくなったリルはやっぱりカッコいい狼って感じだな。さっきまでの可愛い犬の雰囲気ではなくなっている。


 ーー「じゃあ行くわよ!お願いね、リル!」


 ーー「ワオーン!!」


 台車に乗って、セリアはリルに呼びかけた。リルも遠吠えで返事をすると同時に、空を裂いてもの凄い勢いで走りだした。これならすぐに到着しそうだ。リルは体毛がなびかせながら、木々を風圧で退けて走った。

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