お父さん天使さんの思い
八人の天使さんの残してきた家族を幸せにする話です。こういう話があったらいいのにね。
おとうさん天使さんは海辺にたどりつきました。
ここはおとうさん天使さんの生まれた町です。故郷です。
おとうさん天使さんは生きている時、漁師をしていました。
毎日たくさんの魚をとっていました。
お父さんには可愛い息子と娘が二人います。
家族四人を残して死んでしまったのです。
船が沈没して家族への思いを残したまま、天国へ旅立ったのです。
長男は十八歳になったので、春からお父さん天使さんと同じ漁師さんです。
おとうさん天使さんの船でおとうさん天使さんと漁に出るはずでした。
おとうさん天使さんみたいな漁師さんになって、たくさん魚をとることが夢なのです。 おとうさん天使さんも長男と漁にでることを楽しみにしていました。
秋のある日、船が大きな外国船とぶつかって沈んでしまったのです。
おとうさん天使さんはその事故で死んでしまいました。
あと半年と言うその日は曇り空、おうさん天使さんたち漁師は空をみあげながらなんとない不安を感じたのです。
重い心を感じながら漁に出発したのでした。
丁度、沖にでたところで大きな外国船が近くを通り船尾にひどい衝撃を感じました。
お父さん天使さんが気が付いたのは天国でした。
お世話天使さんはお父さん天使さんにこう言いました。
(海ではひどい目にあいましたね。ご苦労様でしたね。
これからは天国で楽しく過ごして下さいね。ここから地上のご家族がよく見えますよ。)
見守りの泉にお父さん天使さんを案内しました。
そこにはお父さん天使さんの家族が映っています。
そこではお父さん天使さんのお葬式が行われています。
皆は泣いています。
祭壇にはお父さん天使さんの写真があります。
お父さん天使さんは家族を思って引き裂かれた悲しみに涙します。
奥さんのやり場ない疲れたその姿、愛しさにお父さん天使の心は張り裂けそうです。
息子の男の子はうつむいたままにぎりしめたこぶしが震えています。
娘二人はだきあって涙にくれています。
天国のお父さん天使も泣いています。
やがてお葬式も終わりお父さん天使さんは荼毘にふされました。
その煙りを見ながらこう誓います。
(お父さん必ずお母さんや妹たちを僕がお父さんのような漁師になって守るから、安心して。)
それを見守りの泉から見ていたお父さん天使さんは嬉しいような悲しいような、その目から涙があふれます。
それから二年たった秋のある日のことです。
息子の男の子はもうたくましい漁師さんになっています。
お父さんの弟のおじさんとお父さんの船で毎日毎日たくさん魚をとって来ます。
ある日お父さんが亡くなった朝のように空は灰色です。
漁師たちは皆不安げに空と海の彼方を見ています
(おじさんどうしますか?)男の子は聞きます。
(そうさなあどうするかな。)おじさんも空と海を見ながら考え込んでいます。
市場から大口の注文が以前から入っていたのでした。
大安吉日で披露宴が多くあり、魚がたくさん必要になのです。
(めでたいことだしなぁ。でることにするか。)
お母さんは不安な心をぬぐえません。
お父さん天使さんが亡くなったあの日を思い出します。
あの日もこんな灰色の空でした。
お母さんそばにはお父さん天使さんが寄り添っています。
(大丈夫だよ。俺が守るから。)
やがて船は出発します。 船にはいつものようにお父さん天使さんもいます。
その日は天気は悪いにもかかわらず大漁です。
(早目にきりあげよう。)おじさんは呟きました。
他の船もいっせいに港に戻り始めます。
嵐が来るという無線か入ったからです。
嵐は出航の時には別のコースと天気予報は報せていたのでした。
雨が降り始めました。
段々ひどくなり視界も悪くなってきました。
突然船にドーンガガガという衝撃を感じました。
暗礁に乗り上げたのです。
視界不良のため岩をみのがしてしまったのです。
多くの船が動いたので進路を変える必要と視界不良のためにおこったのでした。
(船が沈むぞ)誰かの声が聞こえます。
お父さん天使さんの息子もいそいで仲間とともに救命ボートに乗ります。
お父さん天使さんもボートにのっています。
そこに大波か襲って来ました。
皆は海になげだされてしまいます。
大変です!息子の男の子も海の中です。
海をたたよいながら、気が遠くなります。
お父さん天使さんも傍によりそっています。
お父さん天使さんは息子の男の子に話しかけます。
息子の男の子は必死で壊れた船の木片につかまっています。
幾度も気が遠くなるのをこらえながら。
どかから聞こえる声にはげまされながら海に浮いていました。
そこをとおりすぎようとした外国船が海に浮かぶおとうさん天使の息子をみつけました。
救命ボートで男の子を救ったのでした。
数時間後、港にむかえたお父さん天使さんの家族は息子の男の子と一緒にいました。
もちろんお父さん天使さんもいっしょです。
連絡を受けたお母さんも妹も男の子が外国船から降りてくる無事な姿に我を忘れてかけよります。
お父さん天使さんは家族を見守ってニコニコしています。
やがてお父さん天使さんは名残惜しそうに天国に帰っていきました。
港の船の近くにはまなすの花がお父さん天使のようにいとしげに家族を見守ってひそやかに咲いていました。
天国に帰ったお父さん天使さんは見守りの泉から家族をニコニコ見守っています。
とうとう天使たちのめるへん完成。やったという気持ちです。完成!