鏡の中の交差点
アリア様へ
単刀直入に申し上げます。
私の妨害はやめて下さい。
私は王太子様の婚約者です。
将来は王妃になるのです。
男爵令嬢だった貴方が妬ましいのは分かります。
ですが、私は王女も降嫁した事のある侯爵家の令嬢です。
格が違うと思いませんか。
侯爵令嬢様へ
新参者のくせにお高くとまるのはやめてくださーい。
いっつもマナーとか勉強とかうるさく言ってくるんだから。
男爵令嬢だったからってなんですか。
私のとめどない愛は誰にも負けませーん。
そうやって身分を盾に人を下に見るの王子様に言いつけるから。
アリア様へ
貴方が何を言っても殿下は私を信じてくださいます。
貴方とは付き合ってられません。
もうこれであなたとの手紙はやめます。
私は殿下と結婚するのですから。
ふさわしい者にならなくてはね。
侯爵令嬢へ
何よ、私もエドと結婚するもん。
絶対する。
アリアへ
うるさい! いつもいつも私の妨害ばかりして、今度王妃様とのお茶会を邪魔しようとしたら殺してやる!
侯爵令嬢へ
酷い! 私はただただエドと新しいママと一緒にお菓子食べたかっただけなのに。
いいわ、別に。エドは私に特別にお菓子をくれるから。
エドは私の事好きなんだから。
アリアへ
殺す
侯爵令嬢へ
ばーかばーか
侯爵令嬢とアリアへ
黙りなさい。
いいですか? 王子に愛され続けるには侯爵令嬢もアリアもそれぞれ大切です。
私が言った通りにやりなさい。
そうすれば、褒美として王子との時間を与えます。
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アリアドーネ・シュトーレンは賢妃として名高い。
シュトーレン侯爵が平民に一夜だけ手をつけて生まれた人物だ。
初めは男爵家に預けられていたが、侯爵に女の子供が生まれなかった為、正式に侯爵家に迎えられた。
アリアドーネは勉強や侯爵家のマナーも要領良く身につけ、成長するにつれてその美貌は国に響くところとなった。
アリアドーネは侯爵令嬢として完璧ながらも、王子の前では子供のように無邪気な様子を見せてその心を魅了したという。
完全無欠で天才とされたアリアドーネだが、一部では男爵家で虐待されていたという説もある。
それに加えて妙な癖を持っていて、時折何もないところに文字を書くような仕草を見せたそうだ。侍女がそれについて尋ねると、
「何って、侯爵令嬢に手紙、あ、何でもないのよ」
と不思議な返事があったという。
しかし、アリアドーネがあまりに完璧で天才なので、普通と違う者は変わってる所もあるだろうという事であった。