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「婚約?ローズマリーが?」

「ええ」

お茶会の翌日、朝食の席でアマリリスからとんでもない話を聞いた。

「まだ成立はしていないけど、先方から是非にと」

昨日のお茶会の醜態を知らないのだろうか。誰もが注目していたのに?

「お義母様、私、見ず知らずの人と将来を誓うなんて嫌だわ」

貴族の結婚とは本来そういうものだ。

「ええ、分かっているわ。一緒に過ごしてみて合わないと思ったら断ればいいのよ」

「そっかぁ。そうよね」

断ることができるということは相手は同等の身分か、格下の貴族か。

同等の貴族はあり得ないだろう。

格下の貴族でも伯爵以上の貴族はあり得ない。

昨日の彼女の醜態を見ればいつかは有力貴族の怒りを買う恐れがある。君子危うきに近寄らずだ。

だとしたら多少、リスクがあっても我が家と縁を結びたいと思う連中。

我が家は事業を手広くしているから商売関係になる。

そして、私ではなく次女となるローズマリーを希望ということは嫡男の可能性が高い。

昨日のお茶会の参加者で商売をしている家柄で格下の家柄は‥…。

私が頭の中でローズマリーに婚約を申し込みそうな人間をピックアップしているとアマリリスがとんでもないことを口にした。

私は危うく紅茶を噴き出しかけたけど、根性で飲み込んだ。おかげでかなり噎せたけど。

「申し訳ありません、お母様。今、何と仰いました?」

「ローズマリーに婚約を申し込んだのはエインリッヒ第二王子殿下よ」

あり得ない。

私は椅子が倒れる勢いで立ち上がった。

「その申し込みを受けるつもりですか?正気とは思えませんが」

「あらあら、どうして怒っているの、セレナ。我が家が王家の方の目に止まったのよ。とても喜ばしいことじゃない」

「そうよ、お義姉様。私が選ばれたからって嫉妬しないで」

困惑するアマリリス。勝ち誇ったような笑みを浮かべるローズマリー。

こいつら、何も分かってない。

「お母様、先ほど仰いましたよね。何度か会って、合わなければ婚約を止めればいいと。王族相手にそれができると本気で思っているのですか?一度成立した婚約を破棄することは不名誉なこと。元平民というだけで彼女を受け入れようとしない貴族社会が更に傷物となった彼女を受け入れるとでも?あり得ないわ。そして次に、エインリッヒ王子は素行に問題があると噂されている相手です。彼の母君である側妃様は野心的な方で何れはエヴァン王子を排してエインリッヒ王子を王太子に座らせる可能性が高い。分かりますか?エインリッヒ王子と婚約するということは私たちも否応なく巻き込まれるんですよ。王位争いに。その渦中に放り込まれて、太刀打ちできるほどの力はヴァイオレット公爵家にはないっ!この婚約は断るべきです。そもそも家長不在時に決めるべきことではない」

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