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そしてやって来たお茶会当日。

王妃様主催で王子たちも来ている。

このお茶会は私たちの社交界デビューの予行演習の為ともう一つ王子たちの側近と婚約者を決めるためのものでもある。

だから私以外の貴族の子供たちはみんな必死に着飾ったり、媚を売るのに必死だ。

「わ、私も王子様のお嫁さんになれるかな・・・かしら」

まだ令嬢の言葉遣いになれていないローズマリーは目をキラキラさせながら言ってきた。

あなたは無理でしょう。

この世界の身分制度は私の前世と同じだ。なら、いくら養女になったからと言って元平民の娘をわざわざ選ばないだろう。

それにヴァイオレット家は地位こそ公爵家だけど社交界での地位はそこまで高くない。父はヴァイオレット家が手掛けている事業の為、諸外国を飛び回っているのでいつも留守だ。宮仕えをしているわけでもなく王族と親しいわけでもない。

のほほんとした家系の為野心もないのでお気楽な下級貴族のようなものだ。

「お、お姉様。王子様たちのところに私たちも行きましょう」

私は視線をローズマリーから王子たちの方に向ける。

彼らの周囲を人間という分厚い壁が覆っている。

貴族は令嬢でも令息でも香水をつけている。男と女ではつける香水の種類が違うのかもしれないけど、ここまでいろんな匂いが混ざっていたらどんなにいい匂いでも悪臭だ。

媚売り合戦みたいになっている。

「私はいいわ。行きたいならあなた一人でどうぞ」

「えぇっ!?でも、私一人なんて」

嫌なんだろう。

不安だから一緒に来て欲しい。今の生活も夢のような感じなのだろう。だからこそ、次の夢も見たいと思っている。でも、その為の勇気が出ない。

彼女から読み取れる感情はこんなところだろう。そこに私が付き合ってあげる必要性は感じない。

王子たちの方をもう一度見る。目が合った気がしたけど私は無視して隅の方へ行った。

「お姉様」

「疲れたから少し休むわ。あなたは適当に楽しんだらいい」

ローズマリーを一人残して私は木陰へ移動する。

ここは人の気配が多すぎて疲れる。

「ちょっと、あなた」

敵意と呼ぶには可愛らしい敵意を感じた。

私の前には黒いレースを付けた真っ赤なドレスに身を包み、頭の中央に赤いリボンをつけている金髪に黒い瞳をした少女がいた。

「王子様がいるのに、近づきもしないだなんて失礼じゃありませんこと。それとも、自分だけ違う行動をとって目立とうとお考えかしら。なんて浅ましいの。さすがは庶民の出ね」

どうやら彼女は私とローズマリーを間違えているようだ。

ちらりとローズマリーの気配を探ると彼女は王子に媚を売る令嬢の元へ突進していった。

本当に王子の婚約者になる気だろうか。まぁ、なったとしても私には関係ないか。

「ちょっと、聞いているんですの」

さて。このうるさい小鳥をどうしよう。殺すのはまずいのよね。きっとブルースの時と同じになる。そう言えば、ブルースは最初は警戒していたけど今では邸の人間にすっかり懐いている。でも、刺したからなのか。私にだけは懐かない。

過去のことをいつまでも引きずっているなんて。心の狭い男だと思う。

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