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短編集  作者: 第八天龍王 七百七十七印麗院


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青い月が映る、廃棄弁当(AI生成)

深夜2時、コンビニエンスストア「デイブレイク」の裏口は、いつも湿ったコンクリートの匂いと、蛍光灯の青白い光に照らされていた。アルバイトのサトウは、店の裏手にある鉄製のフタを開け、慣れた手つきで今日の廃棄ゴミを放り込んでいく。今日のノルマの終わり。

「はぁ……」

彼は息をつき、手を止めた。最後に入れたのは、廃棄された弁当の袋だった。今日は特に売れ残りが多かった。人気の幕の内弁当、カツ丼、そして、誰も手をつけなかったチキンのバジルソースパスタ。まだ温かさが残っているものもある。

サトウはふと、ゴミ箱の上を見上げた。

秋の夜空は澄み切っていて、ひときわ大きく、そして異常なほど青い月が浮かんでいた。いつも見る月より、どこか冷たく、硬質な光を放っている。その光が、ゴミ箱のフタをわずかに開けた隙間から、廃棄弁当の透明なフタに差し込んだ。

青い光は、まるでスポットライトのように、弁当の中身を照らした。カツ丼の茶色いソース、幕の内弁当の鮮やかな卵焼き、バジルパスタの緑。それらが、月の青に染め上げられ、非現実的な色彩を放ち始めた。

その瞬間、サトウは奇妙な錯覚を覚えた。

この廃棄された食べ物は、今、この青い月の下で、世界で最も孤独な、しかし最も美しい食事になっているのではないか。

誰も選ばなかった、誰も食べなかった。

しかし、夜の帳が下り、人工の光が消えたこの場所で、彼らは青い月というただ一人の観客のために、無言のショーを演じている。弁当のフタに映る月は、どこか物言いたげな瞳のようにも見えた。

サトウは、孤独だった。夢も目標もなく、ただ生活のために深夜のシフトをこなす毎日。自分も、この廃棄弁当と変わらない価値のない存在なのではないか、と時々思う。必要とされないまま、時間が過ぎ去っていく。

彼はゆっくりとゴミ箱のフタを閉めた。青い月の光が遮られ、弁当たちは闇の中に沈んだ。

「お疲れ様。戸締り頼むよ」

店長の声が、裏口から聞こえてきた。日常が、冷たい現実が戻ってきた。

サトウはフタの上から、最後に一瞥をくれた。

青い月は、依然として空にあった。その光は、閉ざされたゴミ箱の鉄のフタを透過することなく、しかし、確かにそこにあるという冷たい事実を、サトウに突きつけていた。

彼は、ポケットからタバコを取り出し、火をつけた。青白い煙が夜空に立ち昇り、やがて、青い月の光の中に溶けて消えた。

自分は明日も、この青い月を見上げるだろう。そしてまた、誰にも見向きもされない弁当を、このゴミ箱に放り込むだろう。

それでも、その瞬間、一瞬の非現実的な青の美しさが、たった一人、サトウの心の中にだけは残るのだ。

それは、孤独な夜を生き抜くための、ささやかな秘密の糧だった。

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