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輝かしき王アーサー9

 モードレットが飛ばす光線が周りの人に被害を与えないように俺は即座に距離を詰める。エクスカリバーとクラレントがぶつかり合るたびにモードレットの憎しみの光が飛び散り俺の皮膚を焼く。

 理不尽に追放されたとはいえ、かつてのパーティーを組んだ相手だ。思う所が無いわけじゃない。パーティーを組んだ直後のあいつは輝いていた。確かに性格は傲慢で自分勝手な所もあったけど、こいつなら冒険者として成功できるんじゃないかという不思議なカリスマもあった。あいつの本当のユニークスキルは一度しか使えないとはいえ、強力だし、『剣聖』のスキルを手に入れて、俺達すごい冒険者パーティーになれると思ったんだ。



「俺はお前の事がやったことは許せない……だけど、すごい奴だとは思っていたんだぜ」



 輝いていた彼も、今では、精悍な顔はやつれており、奥の手のユニークスキルも失った。そして、あいつの仲間ももう誰もここにはいない。仮にここをモードレットが生き延びたとしても、王を襲った逆賊として処刑されるだろう。この男は新しい生き方だってあったのに、憎しみにとらわれて全てを失ったのだ。

 もしも、俺を追放しなければ、こうはならなかったかもしれない。もしも、モードレットがアーサー様から『聖剣の担い手』を奪えていれば、王になれたかもしれない。だけど、すべてが仮定の話だ。あいつはなぜかAランクの冒険者になるのを急いでいた。何かならなければならない理由が会ったのだろう。あいつは決してそれを誰にも話さなかった。俺や誰かに相談をしていれば何かが変わったかもしれない。彼が誰かを信頼していれば何かが変わったかもしれない。だけど……もう、遅いのだ。



「そうかよ、俺は最初っから貴様を利用するつもりだったよ、他の奴らだって俺を……母さんを利用したんだ。俺だって利用して何が悪い!?」



 その言葉と共にクラレントが更に黒く輝く。俺はその攻撃をかろうじで受け流す。今持っているのがただの剣だったら砕けていただろう。だが聖剣であるエクスカリバーは耐えてくれた。

 彼に何があってこれだけ人を憎んているのかなんてわからない。王家の血を引いている彼が冒険者をやっているのだ。なにか辛い過去があるのだろう。それでも……



「だからって、他人に自分の憎しみをぶつけるなよ!! お前が辛い思いをしたからって誰かを傷つけていい事にはならないだろうが。お前は自分と同じように理不尽な目にあった人を増やしてるんだぞ!!」




 そりゃあさ、他人を憎むなって言うのは無理だと思う。俺だって、モードレットやザイン、ルフェイの事だって追放されて、憎んだよ。だけどさ、それで憎しみに囚われただけじゃ何にもならないだろう。新しい世界だってあるはずなのだから……俺は……自分が守りたいもののために剣を振るう。

 ああ、そうだ、これは自己満足だよ。俺だって、ベルやガレスちゃんが死んでいたら憎しみで彼と戦う事になるだろう。だから、俺はそんなことがおきないように剣を振るうんだ。アーサー様は……エレインさんがいるんだ。きっとなんとかなっているだろう。

 そして……『聖剣の担い手』を使い、聖剣を使いこなし始めた俺と、スキルで無理やり使っているモードレットとで徐々にだが、俺の方が優勢になり始める。



「母さん……俺は……」



 憎しみの対象を焼き払ったからか、モードレットの剣の黒い光がかすかに小さくなった気がする。俺はその隙をのがさずに斬りかかった。

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