ガレスちゃんと幽霊屋敷2
冒険者ギルドでガレスちゃんと一緒に待ち合わせをしていた俺はエレインさんと偶然出会った。
「やあ、セイン君。今日は商談かな? 順調そうで何よりだね」
「いや、今回はガレスちゃんの付き添いなんですよ……それよりもエレインさんの方こそ珍しいですね。冒険者ギルドなんて……」
「ああ、ちょっと厄介なことがおきていてね……」
そういうと彼女は俺の耳元でこそっと囁く、甘い香りがなんともこそばゆい。彼女はもう、冒険者はほとんど引退してベルの宿屋で働いているのだ。そんな彼女がいるという事はよほど面倒な依頼が彼女を指名できたのだろう。
「ここらへんでリッチが目撃されていてね……まあ、ガレスちゃんの依頼の手伝いなら問題はないと思けど一応気を付けておいてくれ」
「リッチ……ですか……」
リッチとは魔術やスキルによってアンデットとなった人間の末路だ。リッチの中には自分の意思でアンデットとかして好きなだけ研究をしようと考えアンデットになったものと、他人に魔術によって知能のあるアンデットとされた二つのタイプがある。強さも生前の強さによって使える魔術や戦闘力が違うため一概にどれくらい強いかはわからない。だが、人間としての知能を保ったまま、アンデット化しているというのが厄介なのと、大抵倫理観がおかしいため厄介極まりないのだ。
「わかりました、肝に銘じておきます。じゃあ、エレインさんは……」
「ああ、リッチ退治だよ。それも結構多発していてね……私も駆り出されることになったのさ。万が一リッチを見つけたら大声で私を呼んでくれ。すぐ助けにいくからね」
「エレインさん、話がまとまりました。こっちに来てください」
そう、冗談っぽく言うとエレインさんはギルドの職員に呼ばれて奥へと入って行った。おそらく奥の方で打ち合わせがあるのだろう。それにしても、いざ戦いとなればやはりエレインさんは頼りになるなと思う。大声で呼んだら本当に来てくれそうである。
「セインさーん、お待たせしました。それにしても早いですね」
待ち合わせの時間より早く来たのに先に俺が先にいたことに驚いたのだろう。彼女は申し訳なさそうに声をかけてきた。いや、勝手に俺が早くきすぎただけだから気にしなくていいんだけどな……彼女を安心させるように微笑みながら俺は言った。
「ああ、ついでに商売の話もしてたからな。じゃあ、クエストはどれにするんだ?」
「そうだったんですね、よかった……そうですねぇ……最近アンデット系が多いんですよね」
彼女の言う通りやたらとアンデット系の退治の依頼が多い。エレインさんの話と関係があるのだろうか? それにこういう敵が増えているから試験も対アンデットのものになったのかもしれない。そのほかは近いうちに行われる継承の儀式の警護や、その際の騎士たちのサポートか……
ガレスちゃんで受けれそうなのは『墓地のアンデット狩り』『幽霊屋敷のアンデット目撃情報の確認』『洞窟に湧いたアンデット退治』の三つか……
「じゃあ、『幽霊屋敷のアンデット目撃情報の確認』にしようか、これが一番危険も少なそうだし、他のは上のランクの冒険者との合同クエストだからな。ガレスちゃんがアンデットに慣れるまでに倒される可能性があるし」
「わかりました、今日一日お願いします!!」
そうして俺達はクエストを受ける事になった。
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