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青い髪のエレイン7

すいません、試験的にタイトル変更してみました。

「これはこうやってと……ベルさん、スープは大丈夫かな? ガレスちゃん肉を焼いておいてくれたんだね、ありがとう」


 

 スキルを使った俺は手持ち無沙汰になったこともありエレインさんを見守っていた。エレインさんの指示に従って、ベルやガレスちゃんがサポートをしている……ように見えるが実際はエレインさんの苦手な部分を二人がカバーしているのである。スキルを取得してもいきなり使えるようにはならないからな。だけど、エレインさんの指示は的確であり、ちゃんと勉強をしていたことがわかる。元々冒険者の時の癖で力加減ができなかったりするだけで、知識はちゃんと身についているのだろう。

 作業のふりわけもばっちりだし、エレインさんは本当にしっかりと二人を見ていたのだろう。料理に関してはベルの方が技術は上だが、ガレスちゃんの方が肉や魚料理はおいしく作ることができる。それは彼女の『清浄なる白い手』が関係している。彼女の手にかかれば少し古い食材なども浄化することができて新鮮な素材になるのである。本当に家庭的なスキルに関しては完璧だよな、ガレスちゃん……



「エレイン……楽しそう……」

「ヴィヴィアンさん、長旅で疲れているでしょう? 今は席もあいてるので休んだらどうでしょうか?」

「ううん……エレインをみている……みていたい……」



 そう言うとがんばって作業をしているエレインさんをヴィヴィアンさん無表情に眺めている。いやー、できればボロが出る前に何とか出て行って欲しいんだが……俺がどうやって移動してもらおうか悩んでいると彼女が俺を見つめてきた。



「あの子はね……剣を振るう事しか知らない子だったんだ……」



 ぽつりぽつりとヴィヴィアンさんは語り始める。俺は何か言葉を返そうとしたけど、彼女はそれを望んでいない気がしたので無言で続きを待つ。



「彼女のお父さんは三流冒険者でね……クエストの最中に怪我をして引退して、その後、結婚してエレインが生まれたんだ……そして、エレインがユニークスキルを手に入れた日から、彼女のスキルに目をつけてね、ずっと剣の特訓をさせたらしいんだよね……だから、エレインは同世代の友人と遊ぶこともなく……ただ、ひたすら剣の腕を磨いていたんだよ……」



「彼女のお父さんがそんなに必死だったのは……自分が成し遂げる事のなかった夢を叶えさせるためなのか、強力なスキルを持ってしまった娘のためだったのかはわからない……私たちが、彼女を仲間にしたのは彼女のお父さんが病でなくなってからだったからね……」



「だから、彼女のお父さんが死んで、お母さんにあの子の事を頼まれた時は……何て歪だろうっておもったよ……彼女は本当に剣を振るう事しかできなかったし、それ以外に興味はないようだった……」



「そんな彼女が可哀想に思えてね……ある日、プリンを作ってあげたんだ……そうしたらね……目を輝かせて、こんな美味しいものをつくれるなんて天才だ!! とか言い出したんだ……その様子がおかしくて……嬉しくて笑っちゃった……それでね……どうして、こんなに美味しいの? って聞かれたから家族のために愛情をこめてつくったから美味しいんだよって言ったんだ。私にとってパーティーは家族みたいなものだったからね……」



「それから時々一緒に作るようになったんだけど……彼女の料理は本当にひどいものだったよ……だけど本当に楽しそうにつくるからとめられなかったな……君にも食べさせてあげたかったな……あの子ったら力加減ができないからね……食器を壊すの何て日常茶飯事だったんだよ」



 そういうと彼女は懐かしむように笑った。そして俺を見て、エレインさんと一緒に料理をしているベルや、ガレスちゃんをみて本当に嬉しそうに笑い、また独白を続ける。



「ある日、彼女が言ったんだ。私も家族が欲しいって……みんなも家族だけど……好きな人と付き合ってお嫁さんになるのも家族なんでしょって……みんなが私を家族にしてくれたように、私も誰かを家族にしたいんだってさ……だけど、彼女のスキルがそれを許さなかった……彼女の強さがそれを許さなかった……」



「たとえば『聖剣の担い手』ような強力なスキルを持っていた人間をただ遊ばせておくなんてもったいないことはできないよね……聖剣の力は圧倒的だ。ものによっては本当に簡単に街一つを滅ぼせるんだよ……それにね、スキル何てなくても無理だと思ってた……だってさ、本気を出せばすぐさま自分を殺せるような人間にちゃんと向き合える人間なんて少ないんだ……だから、私は夢物語だと思っていたんだ……でも、あの子は見つけたんだね、あそこで一緒に料理をしている二人は別に強くなんてない。だけど、彼女の友達になってくれている……彼女は、普通の女の子になれそうなんだ。そして、それは君のおかげだよ……セイン君。エレインを見つけてくれてありがとう、彼女と共にいてくれてありがとう」

「ヴィヴィアンさん……」



 そう言って無表情に笑う彼女に俺は何と答えればいいかわからないかった。その笑顔は嬉しそうだけどどこか寂しそうだったから……何を言えばいいかわからないけれど何かを言わねばならないと思うが彼女にかけるべき言葉がおれには見つけられない。



「できたよ、二人とも。さあ、食事会をしよう!! ふふ、私の傑作だよ」



 そして、エレインさんのその一言でパーティーがはじまった。何かを言おうとした俺を制してヴィヴィアンさんは料理の並べられたテーブルへと向かった。


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