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モードレットの反撃

「ベル馬車を返しておいてくれ!! 俺はガレスちゃんを助けに行く!!」

「ちょっと、セイン!?」



 俺は馬車の荷台から飛び降りて、ガレスちゃんとモードレットたちの間に割り込む。見切り発車で飛び降りたのだがなんとか着地には成功できてほっとする。



「セインさん、出てきちゃダメです。この人たちですよね、あなたを追放したのは……」

「セイン!! ようやく顔を出したな。貴様のせいで俺達がどうなったと思う?」

「そうだ、お前のせいで俺は死にかけたんだぞ!!」

 


 俺は心配してくれているガレスちゃんを安心させるように微笑んでから、モードレット達に対峙する。彼らは俺に対して咎めるような視線で睨みつけてきた。一方的に追放しておいてずいぶんと勝手を言いやがるな。



「エレインさんはどうしたんだ?」

「その……ナイフやフォークを洗っていたら、力加減を間違えて折り曲げてしまったんでベルさんが帰ってくる前に買いに行ってます」

「何やってんだあの人……」



 俺はエレインさんのポンコツっぷりに頭を抱えながら、改めて二人をみる。二人に何があったかはその姿を見れば大体予想がつく。モードレットは端正だった顔を憔悴させており、まるで幽鬼のようにやつれている。ザインにいたっては大きな怪我をしたのか、左腕を包帯でぐるぐる巻きにして俺を睨みつけていた。



「久しぶりだな。ずいぶんといい顔になったじゃないか。二人とも、俺を追放して、見事Aランクになったからその報告か? おめでとう」

「貴様……俺達が失敗したのを知って言っているな。貴様が俺達からスキルを奪うからこうなったんだぞ」

「そうだ、ふざけたことを言っているとぶっ殺すぞ!!」

「ザイン黙れ……今は俺が話しているんだ」



 激高しているモードレットだったが、ザインをじろりと睨んで黙らせる。ザインに比べると多少はまだ理性があるようだ。そうだよな。ここにきたっていうことは俺と何かしら交渉をしに来たのだろうから文句をいっているだけのザインがいると交渉にもならないだろう。



「俺は最初にスキルを貸した時に言ったよな。基礎スキルがあるから、上級スキルが活きるんだって、それにスキルとスキルは相乗効果で強くなるって、俺の話を聞かなかったのはお前らだろ」

「ああ、そうだな。だが、それでも追放される時にそれは説明するのがマナーだろうが!! まあ、いいセイン。もう一度パーティーに戻って来い、貴様を仲間に入れてやる。Bランクのパーティーだ。金食い虫の貴様のスキルの事だ。金は必要だろう?」

「この人たちセインさんを追放しておいて好き勝手を……」

「大丈夫だ、ガレスちゃん。俺のために怒ってくれてありがとう」



 俺のためにモードレット達を睨むガレスちゃんに礼を言って、モードレットの差し出した手を振り払う。予想外だったのか、モードレットの顔が驚愕に包まれて徐々に憤怒へと変わっていく。こいつマジかよ。本気で俺がそんな話に乗ると思っているのか?



「セインどういうつもりだ!!」

「どういうつもりもくそもねーよ、悪いなモードレット、俺は俺のスキルの活かし方を見つけたんだ。お前のパーティーにはもう戻らない、もう遅いんだよ!! そんなにスキルが欲しけりゃ売ってやる!!」

「そうか……なら貴様の気をかえるまでだ!! なに死ななければスキルは使えるだろ!!」



 俺の返答と共にモードレットが剣で斬りかかってくる。俺は予想していた通りに剣で受け流す。金属がぶつかりう甲高い音が響き渡る。

 スキルを回収されて、弱体化されたはずだが、それを補う戦い方を編み出したのだろう。かつてほどではないが重い斬撃が襲ってくる。ああ、そうだ、俺はお前のその強さならAランクへの可能性を見出したからパーティーを組んだんだ。だけど、俺はもうその上を……Sランクの強さを知っている!!



「腕を上げたな!! だが、『技能取引者<スキルトレーダー>』にすぎない、貴様が『剣聖』の俺に勝てると思うか!?」

「それは俺から買ったユニークスキルだろ!? それに俺はもう、お前の上を知っている!!」

「セインさん、気を付けてください」

「やっちまえ、モードレット!!」



 俺は『千里眼』と『重撃』を購入し、斬りあう。突如剣が重くなり、反応が素早くなった俺と、モードレットの全力の一撃がぶつかりあう……はずだった。



「おいおい、こんな街中で何をやっているんだい? 冒険者同士の喧嘩はご法度って知らないのかい? それにねセイン君、私を救ってくれた君の手がこんな小競り合いで汚れるのは私が嫌なんだよ」



 蒼い長髪を舞わせながら、俺とモードレットの剣をそれぞれの手で持った食事用のナイフで受け止めるその姿はまるで英雄譚のように美しかった・



「エレインさん!!」

「なんだ貴様は!!」



 そしてそのままの勢いでモードレットを押し飛ばしたエレインさんは少し恥ずかしそうに、はにかんだ笑みを浮かべながらこういった。



「私の名前はエレイン、素敵なお嫁さんを目指すただの女の子さ」



正直このシーンが書きたくて書き始めた作品でした。エレインさん可愛い……


続きが気になるなって思ったらブクマや評価、感想いただけると嬉しいです。


特に評価ポイントは、『小説家になろう』のランキングシステムにおいてはかなり重要視されるんですよね。


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