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赤き看板娘ベル8

「感謝するのである、あの子はフリントは……吾輩の部下だったのである。いずれ色々な異種族とやり取りをできるようにと勉強していた優秀な子だったのである」



 店に帰ってきて開口一番「どうだったであるか?」と聞かれたので無事治したことを言うとアイゼンさんに頭を下げて感謝されてしまった。なるほど……二人は知り合いだったのか。しかし、部下とは……あの店串焼き屋はそんなに繁盛しているのだろうか?



「いや、俺は取引をしただけですよ。改めてお礼を言われるようなことじゃないです」

「アイゼンお店の店番ありがとう、約束通り彼女を救ったし、セインは信用できるってわかったでしょう?彼は今度スキルを使ってお店を開くの。だから、みんなに宣伝を頼むわね」

「任せるである!! なんなら市場で店を開くことも掛け合ってもいいである」



 ベルの言葉に興奮気味にうなづくアイゼンさん。どうやらみんなに俺の事を宣伝してくれるらしいが、店を開くことも許すって何を言っているんだ?



「なあ、ベル……アイゼンさんって何者なんだ?」

「ああ、彼がこの街の代表よ。市場の代表も彼なの?」

「は? だって、屋台でトカゲ売ってたじゃねえか」

「あれは吾輩の趣味である。それに市場の実情を知るには実際にお店の事を知るのが一番なのである。アイゼン=オズワルドは正式にお主を歓迎するのである。さっそくいらないスキルがあるものや、欲しいスキルがあるものには声をかけておくので次の市場には店を出すといいのである」



 そう言って彼は愉快そうに笑った。想像以上にあっさりと店を出すことをゆるされてしまった……ラッキーというわけではないだろう、ベルだ。彼女がみんなに信用されているから俺の事もうまくいったのだ。俺は心の中でこっそりとベルにお礼を言う。




 アイゼンさんと話した後に俺達は馬車に荷物を積みながら俺はぼやく。



「結構、すんなりいったな」

「いいんじゃないの? 一人の命を救ったのよ。あんたのスキルはやっぱり商売に向いてるみたいね」

「まあ、でもベルの信頼もでかいよ。今日誘ってくれてありがとう」

「ふふ、気にしないで。でも、私が困った時にも助けなさいよ」

「当たり前だろ、ベルが助けてっていったら絶対に助けるさ」

「調子がいいわね。期待しないでおくわ」

「すいません、お二人ともいまよろしいでしょうか?」


 

 声をかけられて振り向くとちょっとおしゃれにレースのあしらわれたワンピースを着ている美人な女性が少し緊張した面持ちで立っていた。うわぉ、大人のお姉さんだ!! どこかであったかなと思っているとベルが先に返事をする。



「大丈夫よ、フリントさんの方こそ体調は大丈夫かしら」

「ええ、おかげさまで。ベル様もセイン様も先ほどはありがとうございました」

「え? フリントさんなのか!?」



 俺は驚いた声をあげつつじっくりと彼女を見てしまう。先ほどは寝間着だったのと片目が石化していたのと化粧をしていなかったからわからなかったが、よくわからなかったが、確かにフリントさんだ。特に胸がそう主張している。なんていったら殺されそうだが……



「あの……そんなにみられると恥ずかしいのですが……」

「ああ、すいません、失礼しました……いってぇ!!」

「何デレデレしてんのよ、バカ」

「別にデレデレはしてねえっての」



 なぜかベルに足を踏まれたんだが!? 俺が睨み返すと彼女は頬を膨らませて不満をアピールする。いやでも、こんな美人に声をかけられた仕方なくないか? 



「ふふ、お二人は仲良しなんですね、その……先ほどはきちんとお礼も言わずに申し訳ありませんでした。これはさきほどの代金です」

「いえいえ、俺のスキルが役に立ってよかったです。そういえば妹さんは……?」

「ああ、ちゃんと尻尾叩き100回しておいたので安心ください。私のためとはいえ万引きはダメですからね」


 

 そんな俺達のやりとりにクスクスと上品にわらいながら彼女は俺にお金の入った袋を渡した。その時に手をギュッと握られて俺は思わず固まる。しかし、尻尾100叩きってあんな美女にされるならご褒美になるかもしれない。



「本当にありがとうございました。あなたのおかげで私は夢を諦めないで済みそうです。その……今度ここに来るときは案内をさせてください」

「え、いいんですか?」

「セイン暗くなるでしょ、そろそろ行くわよ」

「あ、ああ……」



 フリントさんと話していると不機嫌そうなベルにどやされた。確かに彼女の言う通りそろそろ結構いい時間である。



「わかったよ、急ぐって」

「怒られちゃいましたね、あのよかったらこれを受け取っていただけますか?」

「え、ありがとうございます」



 そう言って渡されたのは蛇の皮だろう。そういえばゴルゴーンの皮はお守りとして、冒険者の間でもそこそこ人気だったな。石化に対する耐性がつくのだ。そして俺はフリントさんにわかれをつげて馬車にのった



「何を話してたのよ?」

「いや、大したことじゃないよ、今度お礼に街を案内してくれるってさ」

「ふーん、モテモテでうらやましいわね」

「そういうんじゃないと思うんだが……」



 そうして俺は少し不機嫌なベルと一緒に帰宅をするのであった。







「さっさとセインを出せと言っている!!」

「だから今は外出中なんですって!! しばらくは帰ってこないので、出直してください!! ああ、エレインさんがいれば……」



 宿屋の方から怒声が聞こえたと思うとガレスちゃんが誰かに絡まれて悲鳴を上げていた。いや、絡んでるのはモードレットと、ザインじゃねえか。なにやってんだあいつら。それよりガレスちゃんを助けないと……

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