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赤き看板娘ベル6

 お店をアイゼンさんに任せた後に俺達は幼女ゴルゴーンの案内で彼女の家へに向かった。ゴルゴーンは大きな土で作られた洞窟のような家がいくつも並んでいるところの一つの様だ。俺とベルと幼女ゴルゴーンで手をつなぎながら歩くが何を話そうか悩ましいな。



「こうして歩くとなんか親子みたいだな、なあベルママ」

「あんたいきなり何を言ってるのよ!! 頭おかしいんじゃないの?」



 顔を真赤にしたベルに無茶苦茶怒鳴られてしまった。場を和ませようとしたのにひどくないか? 幼女ゴルゴーンがきょとんとした顔で聞いてくる。



『二人は夫婦なの?』

「いいえ、違うわ。この男の妄想よ、私たちはただの幼馴染ってやつね。ああでも、一緒に暮らしてるし家族みたいなものかしらね」

「妄想って……軽い冗談だったんだが……」

『家族……お姉ちゃん……』



 ベルの言葉に幼女ゴルゴーンに顔をしかめる。姉の事を考えているんだろう、その目には涙が溜まっており、今にも泣きだしそうだ。とっさに俺は鞄からクッキーを取り出して渡す。



「ほら、食べな。結構うまいぜ、これ」

『いいの? ありがとう!!』



 先ほどまでの涙はどこにいったやら美味しそうにクッキーを食べ始めた。よかった子供に泣かれたら大変だからな。ゴルゴーンってクッキーを食べれるかわからなかったが大丈夫みたいだ。俺がほっと一息ついていると、なぜかベルがクッキーをじっと見つめていた。



「ベルも食べる?」

「ええいただくわ。これすごい美味しいわね……手作りみたいだけどどうしたの?」

「ああ、ガレスちゃんに遠出するって言ったら、お腹が空いたときにどうぞってくれたんだよ」

「ふーん、あんた確か、ホットケーキも好きだったわよね。お店を開く記念に今度作ってあげるわ」

「え、マジ? ありがとう。珍しいな」



 なんだか知らないが、ベルも俺にお菓子を作ってくれるらしい。帰宅してからの楽しみが増えた。しかし、普段は忙しいからってお菓子系はつくってくれないのにどうしたんだろうな。

 洞窟をしばらく歩くとその中の一つの扉の前で幼女ゴルゴーンが立ち止まり扉を開けた。そして、そのままの勢いでベットに横たわる人影に抱き着いて何やらつぶやく。



「えっと、『お姉ちゃん、この人たちが助けてくれるって言ってるよ』ってこの人に言ってるわ」



 手を放したためベルのスキルの範囲外になった言葉を通訳してくれる。そして、俺はベットの上に横たわる人物をみて、息をのむ。

 それはとても美しい女性だった。人で言えば20代前半だろう。思わず息をのむような整った顔立ちにゴルゴーン特有の縦に裂けた瞳孔に、来客を出迎えるような温和そうな微笑み、そして細身だけれど、主張している胸部は、思わず異種族でも声をかけてしまいそうなくらい魅力的である。だからこそ右目を中心に石化しているその姿がより痛々しかった。



「この子が無理を言ったようですね。私はもうあきらめているので大丈夫ですよ。この病は誰にも治せないとわかってますから」



 その女性は幼女ゴルゴーンの頭を撫でながら穏やかな笑みを浮かべて流暢な共通語でそう言った。



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