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赤き看板娘ベル5

 俺が幼女ゴルゴーンを追いかけていると、大通りを外れて、路地裏へと入ってしまった。厄介なところに入られたなと思いつつも追いつきそうになった瞬間だった。



「シャーーーーーーー!!」



 幼女が足をばたつかせるとともに甲高い音が鳴る。威嚇のつもりだろうか? っていうか冷静に考えたら言葉は通じないんだよな。とりあえずジェスチャーでもするか……と思っていると、俺はたくさんの視線を感じてぎょっとする。

 いつの間にか複数の人のゴルゴーンがこちらを観察するように見つめていた。どうやらここはゴルゴーンたちの住んでいるところらしい。



「シャー!!」



 そのうちの一人が俺に向けてけん制するかのように声を上げる。幼女を襲う変質者にでも思われたのか、ベルと言いそんなに変態っぽいかな、俺……

 事情を説明しようにも言葉は通じるのだろうか? 目をあわせたものを石化させるゴルゴーンは厄介だがスキルトレーダーの中には『心眼』もプールしてあったはずだ。最悪何とかなるだろう。



「セイン、手をおろして剣から離して。彼女たちに害意はないわよ。あとみんな、この人間は私の幼馴染だから安心して。悪い奴じゃないわ」

「ベル!? 店はいいのか?」

「大丈夫よ、アイゼンがきたらからちょっと店番をお願いしておいたわ。あの人勉強家だから全種族の言葉をしゃべれるの。それにお父さんの代からの付き合いだから信頼もできるわ。それよりも……言葉も通じないのになにやってんよ!! 心配したでしょ!!」



 言葉を切って、俺に説教をする。いや、そんなことよりも幼女ゴルゴーンを放っておいて大丈夫なのかと思っていると、他のゴルゴーンにつかまっていた。そして、申し訳なかったかとばかりに頭を下げてくれる。あ、マジでこのゴルゴーンたちは俺達に害意がないようだ。



「いや……でもさぁ、街の人たちが一生懸命つくった商品なんだぜ。盗まれるのは嫌だし……それに……あんな子供が盗むなんてなんか事情があるかなって思ったんだよ」

「それでも、言葉が通じないのにあんたがいってもどうしょうもないでしょう……まあ、そういう優しいところ嫌いじゃないけどさ」

「おお、俺もベルの面倒見がいいところ好きだぜ」

「えへへ、ありがと。セイン、スキルを使うから手を借りるわね。あなたもいいかしら?」



 そういうと彼女は右手で俺の手を握り、左手でゴルゴーンの手を握る。ベルの暖かい手が気持ちいい。



「それで……あの子は何でポーションを盗んだのかしら?」

『ええ、あの子の姉のフリントが石化病に侵されてしまって……多分ポーションでなら治ると思ったんでしょうね。ベルの所の商品は私たちの薬草よりも効果があるって聞いたみたい。あなたもごめんなさいね。私達人間と違って目つき鋭いからこわかったでしょう?』

「え……いや、俺こそ剣を構えてすいませんでした」



 まさか、謝られるとは思わなかったため俺は何と返そうか悩んでしまった。先ほどまでわからなかったゴルゴーンの言葉がわかるのはベルのスキル『翻訳』の力である。彼女自身ははあらゆる言語を理解し会話をできる上に手を繋いだ相手同士で翻訳をすることが出来るのだ。



「その……石化病っていうのはどんな病気なんです……?」

『ええ、私達ゴルゴーンのユニークスキルが強くなりすぎた場合におきる病気でね。目を中心にどんどん体が石になっていきやがて石像になってしまうの……』



 俺の言葉にゴルゴーンが辛そうに幼女ゴルゴーンを見つめながら言った。要はスキルの暴走か。俺達人間とは違い異種族はユニークスキルが固有なのだ。そしてコモンスキルも覚えにくい。その代わり人間よりもはるかに強力な身体能力をもっているのでどちらがいいかという問題ではないのだけれど……

 その言葉を聞いたのか、俺とベルは目をあわせてうなづいた。



「俺ならなんとかできるかもしれません」

『でも、この病は誰にも治せないのよ?』

「大丈夫、セインならやってくれるわ。それは私が保証する」



 今まで異種族との交流に力をいれていたベルの言葉だからこそ通じたのだろう。ゴルゴーンのお姉さんは少し逡巡した後にうなづいた。どうやら幼女ゴルゴーンの姉の所に案内をしてくれるらしい。

 そうして、俺達はアイゼンさんに再度店番をお願いして幼女ゴルゴーンの家に向かうことになった。事情を話すとアイゼンさんは「あの子のことか……」つぶやいてから「よろしく頼む」と言って引き受けてくれた。


翻訳スキルってこう使うのが正しい気がしますね……

おもしろいの一言でもなんでもいいので感想くださるとむっちゃ嬉しいです。

ランキングにずっと入れていてありがたいです……



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