4話 死ぬんですか?
遅くなってしまいすいません
迫りくる機械、交互に動かす6本脚、大それた移動をしているにもかかわらず軸がぶれない本体
「やばい…!追いつかれるッ!」
ファラに向かって伸びる一本、突き刺すような一本にファラは右へ左へと、前進みながら移動する。
ガシャン!ガシャン!と地面に刺さる音が響く。
一本一本が哀しくも当たらずにいる
このままいけば逃げれそうだ、そう思っていたが
「くっ…」
ファラの体は予想以上に消耗していた。
例えば身体が勇者の時の身体であれば、この程度は息をするように楽だったろう。
しかし今の身体は幼き少女の身体である。
さらに溺れていた事もあり、既にその身体にはスタミナが無いのである。
しかし勇気と根気で振り絞る事により、スタミナをフルに活用しているからこそ、勇者は勇者足りえるのだ。
しかしもう既に逃げれるほどの体力は無い。
「このままでは…仕方ない!なら別の力を!」
落ちている時にはダメだったが、もしかしたら今使えるかもしれない。
死ぬより賭けてから死んだ方がマシだと考えたファラは
足を止め機械に向かって対面する。
「私に宿る今生の願い、星と共に生きる願い、祖は我に、我は祖に、今この時、星を血に、生を星に移そう、我勇者なり、祖は一等星なり、今ここに、勝利の力を!」
そう叫ぶと天高く夜空に向かって伸ばした手
しかし、願いは聞き届けられなかった。
何も起こらなかったのである。
(あの神様いい加減すぎるだろ…!)
自分の全てを使った、しかし何も起こらなかった。
神様の言っていた【チート的なステータス】とやらは
なさそうである。
さあ、ここで問題です。
元勇者、現ただの少女
逃げる体力はもう無い
目の前には強そうな機械がいます。
どうなるでしょうか?
そう捕まりますね。
その場で動けなくなったファラを機械は素早い足で捕まえた。
「くっ離せ!」
「目標確保」
機械から言葉が発せられたのである。
続け様に
「ナンバー照会、管理システム検索、身元確認中」
目のような光の絵の部分がキラキラと色んな色に輝き出しはじめた。
(なんだ、ナンバー?システム?何を言ってるんだ。しかし外れないぞこの足みたいな手)
必死にもがくファラだったが、力のない少女に機械の握る力は大きすぎた。
微動だにしない足はファラを絶対逃さないように拘束されている。
そうしてしばらくすると、
「ナンバー不明、管理不可、身元無し」
「システム管理法第50条3項に基づき消去対象と確定されました。」
機械はそう決定したかのように喋る。そして
「全決定承認、対象を緊急死刑に処す。」
ファラの首をめがけ、もう一本の足が流動的に変形した斧を振り下ろす。
(ここで死ぬのかっ!)
ファラは今度こそ諦めた。こんな転生意味があったのだろうか、何故国を救ったのに殺されなければならなかったのか。もういい楽になろう。
そんなことを考えながら死を受け入れはじめた。
『お前さんにチャンスを与えよう』
つづく
乞うご期待