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いせげん!〜異世界と現実世界を織り交ぜて〜  作者: 幹峯 公郎
転生?の章
4/5

3話 逃走する?

出来るだけ更新


パチパチと音がする

パチパチ、パチ、パチパチパチパチ

時々破裂するような音がする。


暖かい。

右の体があったかい…冷えた身体中の血液に暖かさが伝わる。

少し煙臭い…よく嗅いだ匂いだ…


僧侶、神官、剣士、魔法使いとよくご飯を食べたり、話をしたり、団欒のひとときを送ったものだ。


もしかしたら今、目を開ければ、あの時が戻ってくるかもしれない。


目を開けるぞ…おれ…


「ぁ…う…」


声を発すると人影がこちらに向いたのが薄目からでも見えた。


「け…ん…し…」

そう見えた。剣士がこちらに近づいてくるように。


しかし剣士から発せられた声は太く年配の男の声だった。

「大丈夫かい?」


俺の目は、体は、その声と共に本能が呼び覚まされた。


瞬時に体を無理矢理起こし、動かない筋肉を血液を無理矢理送る事で活性化させ、そのまま全体が見えるように火から離れる。


目を見開くと、そこにはみすぼらしい服を着た三人の年配男性が居た。周りには大きな箱が三つあり、火を囲むように設置されている。


腰の剣を掴もうとするが、哀しくも手は空を切る。

自分はまだ死んではいないということがわかった。


「落ち着くのじゃ、ワシらはお前さんを助けたんじゃよ」


俺は警戒を解かない、この三人には何か異質なモノを感じるからだ。


「ふむ、君はどこから来たのだね。僕達の家はここだよ。言葉はわかるかい?」


もう一人の男性がジェスチャーをしながら話してくれている。


言葉はわかる。

家ということは野営地としているのか。つまりあの箱はテントのようなものか

そういう事を考えていると、最初に話しかけてきた男性が火元に座り、優しく話しかけてきた。


「そのままでもいい、話をしてくれ、私らは退屈なのだ。」


完全に悪い人ではないと判断した俺はその場で座り込み

さっき起きた事を話した。


それを聞いた三人は勿論笑った

愉快な髭を上下に揺らしながら。


「お嬢ちゃん嘘は良くない」

「ここでそれは出来ないよ」

「うむ、此処じゃなくて【下】ならあり得るがのぉ」


三人はそう言いながら顔を見合わせて、またこっちを見ると、


「「「逃げなさい」」」


「え、どうして?」

幼い声で三人の合わさった声に疑問を投げかける。


「お嬢ちゃんのように可愛い子が嘘をつくとは思えないが」

「うむ、もしそれが本当なら既に捜索隊が出てるよ」

「捕まればお前さんは、こうじゃ」


と一人の男性が首を切るジェスチャーをした。


しかしファラは土地勘も無く此処が何処かすらもわからない。

「何処に逃げれば…」

少し困惑する。当たり前だ、突然放り込まれて起きたら逃げろ、死ぬぞと言われる。


なんだこの世界、平和とは程遠いじゃないか。


「ふむ…僕たちから言えるのは北へ行く事をお勧めしよう」

そう言うと赤い矢印と黒い矢印のついた丸い物体を渡される。


「これは…?」

「コンパスというものじゃ」

「私達はこれを渡すことしか出来ない。決められているからね」

「北はこの0という数字を、目標に歩いていけばいい」


俺の手と男性の手を合わせて平行に動かすと北の方向に針が示される。


「北へ行ったら何を…」


と言うと何処からか機械的な音が聞こえてくる。

ウィーンウィーンという音が。


「早く逃げなさい!もう僕たちにできる事はない!」

「そうじゃ!とにかく北へ行くのじゃ!」


俺は聞きたいことが山程あるのにと思いながら、

男性達の言ってることに真実しかないという事を感じて

走り出そうとする。


しかし考えが深そうな一人の男性に呼び止められる。


「ふむ、そのままじゃ寒いだろ、これは良くないことなんだが、これを持って行きなさい。」

と長い布を渡された。


「これは…?すっごいふかふかだ」


「これはマフラーと言うんだよ。首に巻くと暖かくなるから巻くといい」

「うん、ありがとうございます。」


たしかに巻くと暖かい。俺は感謝の意を込めて頭を下げて再び走り出す。

とにかく北へ向かおうと足を早める

とりあえず逃げなければならない

走る

走る

走る


右足、左足、右足、左足、


走る

走る

走る


気がつくと男性達の姿は遙か後方にあり、もう見えなくなってしまった。


(しかし逃げろと言われて逃げたが、何から逃げるのだろう。此処がどういう世界なのか聞いてないし)


マフラーを、なびかせながら麻袋のような服を着た女子は疑問を沢山抱えながら走る。


しかし、なぜだろう




機械音が凄く近くに聞こえる。



ウィーンウィーンと


背後から大きな影が迫ってくる。


ウィーンウィーンと



ファラが振り向くと正体が露わになる。


その機械音の正体は逆三角形の体に足が6つ生えており、全身が銀色で塗装されていて、目玉のような形をした光が逆三角形の中心に描かれていた。


しかもファラより早く走るので、このままでは追い付かれてしまう。


「逃げろってこれから逃げろってことか!しかも捕まれば死ぬのか!」


男性達の言葉を思い出しながら逃げるファラ。


迫りくる謎の機械。


つづく



いったか


いったの


ワシは寝るのじゃ、後は頼んだぞ



はーい

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