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大賢人、すぐ就職する

 ライは目を覚ました。


「はぁ、昨日は木に腰掛けて寝たから腰が痛いなぁ。」そう言いながらライは腰を撫でた。


 異世界生活二日目、特に変わった事はない。


「今日は昨日行ったあの村を探索してみよう。」


 そう言ってライはゆっくりと立ち上がった。太陽の位置を見ると、どうやら、朝の七時ぐらいのようだ。ライは、疲れたように、のそのそと村の方へ歩いて行った。


「まずは、暮らしていくために、仕事を見つけないと、面倒くさいけど仕方がない。だけど、どこに行けば仕事があるのだろう? やっぱり、村長なんかに聞くのがいいのかな。」


 ライは歩いていた若い女の人に声をかけた。

「すみません、役場はどこですか?」


 女の人は、かなり急いでいたようで、何も言わず丘の上にある建物を指差した。


「ありがとう。」

 

「どういたまして。じゃあ、急いでいるから。」そう言って彼女は足早に駆けて行った。


「あそこか。」ライは村役場へ足を向けた。


 村役場は石造りで、かなりボロかった。地震などが来れば崩れそうだ。ライは役場の中に入った。受付の中年の男が「どんな用ですか?」と面倒くさそうに言った。


「仕事を探していまして。」


「ああ、それなら町長に聞いてください。」

 お前はなんのためにいるんだ、という程の雑対応で奥の部屋に通された。


「村長、仕事を探している人が来ましたよ。」


「おお、そうか。」

 村長と呼ばれている男性はかなり年を取っていて、六十程に見えた。


「あなたは運がいいですぞ。今はちょうど募集がありましてな。」


「本当ですか?! それで、どんな職業何です?」


「薬屋じゃよ。」


 (薬屋か、薬はよく作っていたからこれは運がいいぞ。)


「そうですか! 薬はよく作りますよ。」


「それはいい!早速案内しよう。」

 ライと村長は外に出た。だが、村長の歩くスピードがあまりにも遅いので、これでは時間がかかりそうだ。


 行きは五分でいけた道を戻りは十五分かけてやっと村に着いた。


「着きましたぞ。あの店です。」と村長が言った。


「おお。」

薬屋は、大きくもなく小さくもなく、正に村の薬屋といった感じだった。


「マカさん! 働きたい人が来ましたぞ!」と村長が叫んだ。


「女性の方なんですか?」


「ええ、まだ二十過ぎになんだが、一人で店を切り盛りしているんだよ。」


「それは、凄いですね。」


 話している間に、戸口からマカさんと思われる女の人が出てきた。


「あっ!」とライが叫んだ。「道案内してくれた方!」マカさんは、役場への道案内をしてくれた女性だった。


「あぁ! あの時の人ですか!」


「おぉ、まさか、もう会っていたとはこれが、運命の出会いというやつなのか。じゃあな。」


「ちよっ、村長さん!」


 村長は驚くべき速度で去っていった。


「人手が足りなくて困っていたんです。調合の経験はありますか?」


「ええ。」


「もちろん、魔法は使えますよね?」


「もちろん使えますよ。」


「やったーー!やっと、マトモな人が来た!」


「今までマトモな人が来なかったんですか?」


「はい、変な人ばっかりで。じゃあ、店の中を案内しますね。」


 店の中は広かった。二階建てで、一階は主に店のカウンターと調合室があった。調合室には薬が山のようにあり、数百はありそうだった。二階にマカさんが住んでいるのだがどうやらスペースを持て余しているらしい。

「なので、ここに住んでいいですよ。住む所、ないんですよね。」


「本当ですか?!ありがとうございます!」

大人の男女が、同じ家で暮らすのはどうかと思うが、そこらへんは目をつぶろう。


「それじゃあ、早速仕事をしてもらいますね。」そう言われてライは調合室に連れられていった。


「じゃあ早速、この鍋を百万度で熱してください。」


 ライは混乱した。ひ、ヒャクマンド?何かの聞き間違いに違いない。もう一度聞こう。


「今なんと言いましたか?」


「だからこの鍋を百万度で熱してください。」


 嘘だ、そんな訳ない。火の賢人でも一万度が限界だぞ。それを百万度で?!やっぱり、何かの聞き間違いに違いない。


 ライがポカンとした顔をしているのでマカが言った。


「出来ないんですか?じゃあ店番をしてください。」


 この後、ライは放心状態で何も覚えていなかった。ライが現実世界に戻って来たのは仕事が終わり、マカに「大丈夫ですか?」と声をかけられた時だった。


「あ、いえ、大丈夫じゃないです。」


「本当ですよ。さっきから死んでるみたいですよ。」


「あ、やっぱり大丈夫です。」


「本当ですか?」


「本当に大丈夫なんです。少し疲れているみたいなので、もう寝てもいいですか?」


 マカはかなり怪しんでいたが、諦めたようで怪しむのをやめた。


「そうですか。お大事に。」


 ライは逃げるように自分の寝床へ戻っていった。


 ライはベットに入りながら思った。ここの魔法の力は自分達の世界寄りも段違いに強いのかもしれない。万が一そうだった場合、自分の身が危ない。しかし、帰るにしてもゴースの力が戻るまで時間がかかる。それまで、なんとか生き延びないと。


 ライはこの夜、寝付けなかった。彼はとても不安だった。



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