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Ep.V  超撃艦艦隊戦

 Ep. V 超撃艦艦隊戦


「あっれー、レステアくん、シュエりんどこ?」

 カリーナさんだ。

「わかりません」

 そういうと、なぜか僕に寄ってきてほっぺたを突き始めた。

「んもぅ、いつになったらそれやめてくれるのぉ? け・い・ご」

 そういう言葉遣いだからこそやめられないんだけど、そんなことを言うわけにもいかない。

「あははは……」

 誤魔化すしかない。

「もしかして・・・そうなの・・・?」

「何が・・・ですか?」

 カリーナさんは頬に手を当てて困ったような表情をする。

「困っちゃったわねぇ。レステアくんがそうなのは別にいいんだけど……

 ファリエナちゃんもねぇ…私もそうだしねぇ…レステアくんもねぇ……」

 何が言いたいんだろう。

 カリーナさんがため息をつく。

「誰も報われないわねぇ……」

「何が…ですか?」

 カリーナさんが僕を見る。

「あなた、私のことが好きなんでしょ?」

「…?」

 …ええっと。

 どこからどういったらそこまで飛躍するのかがわからない。

 またため息をつく。

「まあ、モテる、っていうのは悪いことじゃないわよ? 悪いことじゃないんだけど……

 私は男からモテても仕方がないからねぇ……

 ファリエナちゃんも気の毒ねぇ……」

 ははは……

 やっぱりこの人、本当にそういう趣味の人だったんだ。

 でも、なんでファリエナが気の毒?

「あの…まずはいろいろツッコまないで聞きますけど、なんでファリエナが気の毒なんですか?」

 またカリーナさんが僕を見る。

「ああ…そうだったわねぇ。

 あなたぐらい天然な女の子がいたらいいのに」

 天然?

 あなたぐらい?

 僕って天然なの?

「僕って天然なんですか?」

「そういう風に聞く人が、天然なのよ」

 うーん、いまいちよくわからない。

「ところでその…あのえーっと…カリーナさんが、女の子の方が好きになったのはいつからなんですか?」

「そうねぇ…パパとお風呂に入ってから…だったかしら。

 まあ、その頃は『好き』とかそういう気持ち自体なかったけど、『アレ』を見て、こんなものがついてる人なんかと結婚したくない、って、

 子供ながらにそう思ったからね。

 …思い出しただけでも吐き気がする」

 そういうものって意外とトラウマなんだろうか。

 というか、そこまでの気分にさせたのなら、見てみたい気もする。

「それじゃあ、男全般が嫌いなんですか?」

「うんうん。今はほとんどそういうことはないわよ。

 大丈夫。あなたとは友達でいいから」

 微妙に傷つく一言だ。

「じゃあ、好きな理由は?」

「もちろん、あの柔らかい胸とお尻と太ももに決まってるじゃない!

 男だって、そう思うでしょ?」

 女の子の体に興味を持ったことって、あんまりないかも。

 ましてや、そんな部分にはもちろん興味を持たない。

「どう…なんですかね」

「はぁ…あなたって本当に男?

 ついてるの?」

 いきなり恥ずかしい質問をしてくる。

「つ、ついてますよ!」

「別に、いいけど。ついてない方が逆にいいし。

 天然ボクっ娘もなかなかいいわよね」

 僕は、他の部隊の男の人からいろいろとカリーナさんについて尋ねられたことが数え切れないほどある。

 どれも興味本位ではなく、完全に狙っているようにしか思えなかった。

 同じ部隊にいることを疎まれたこともある。

 でも、本人が言うに恋人は今までなし。

 まさしく星の数ほどの男の人が散っていったことになる。

 きっとカリーナさんのことだから、

「ごめん。私、女の子にしか興味ないの」

 の一言で片付けるんだろうなぁ。

 男の人からこんなにモテるのに、女の人を狙っている。

 なんだかどちらもとても不憫な気がする。

「ああ…誰か私の魅力に気付いてくれる女の子っていないものかしら……」

「…アピールしすぎるからなんじゃないですか?

 カリーナさんって悪い人じゃないし、好きな女の人も軍に一人くらいいると思いますよ?」

 カリーナさんが僕の手をとる。

「ありがとう! そう言ってくれてほんとに嬉しいわ!

 よっしゃあ! 今日もその一人をゲットするためにがんばるわよ!」

 カリーナさんがガッツポーツをとる。

 正直言って、応援したらいいのかどうかわからない。

「まあ…頑張ってください」

「レーダーに敵影確認!

 雷撃艦十五隻、未確認戦艦一隻が角度百度で接近中!

 至急、各乗組員はフェイス2にて待機!」

 毎度毎度、敵は空気を読んでくれる。

 できれば来ないほうがいいんだけど。

「急ぎましょ。レステア」


「未確認戦艦の情報は!」

「はい。

 戦艦の大きさはこちらの非生体ミサイル艦とほぼ同じ。

 内部が空洞になっており、それをこちらにむけて航行しています。

 こちらの非生体ミサイル艦と同じく、惑星系付近にしか配備できないものかと」

 いずれにしても攻撃方法は不明。

 一撃で壊滅させられる恐れもある。

 慎重に行く必要があるな。

「非生体艦を全て本艦へと収容!

 半生体艦、非生体艦は三次元空間移動の体勢を整え、本艦の後方へ!

 防御艦は密集体制をとれ!」

「了解!

 各艦、指示に従って移動してください!」

 一点集中型の攻撃と考えての作戦。

 もし、我々のようなミサイルを使う戦艦であれば、直接本艦を狙われてお陀仏だ。

 艦の内部が空洞であるからその可能性は低いが。

「間もなく、敵の索敵範囲に入ります!」

 その直後、雷撃艦の砲撃が始まる。

 防御範囲が狭くなっているため、何発かがかすって艦内に衝撃を与えていくが、ここは少しレイに耐えてもらうしかない。

「未確認戦艦、高エネルギー収束中!」

「合図と共にダイブを頼む」

「了解!」

 瞬間。

 すさまじい光の渦が目の前で炸裂する。

 モニター越しでなければ、明るすぎてとても目が開けられないだろう。

「ダイブ!」

 生体艦たちが戦闘を始める。

 はっきり言えば質より量の彼らに雷撃艦を相手にさせるのは荷が重過ぎる。

 だが、半生体艦にいる彼らがいるならなんとかなる。


 戦場からの出撃は久しぶりだ。

「3、2、1……」

 すぐに散り散りになって各機で戦闘をはじめる。

 ここまで敵との距離が近いと、母艦を守りながらの戦闘になってしまう。

 ただ攻めにいくのと、守りながらの戦闘ではわけが違う。

 航宙艦がないからまだマシなほうだけど、母艦を狙っている戦艦から撃沈させる必要がある。

 それに、相手の方が射程距離も長い。

 数分もかけずに倒さないと、母艦どころか、他の生体艦や半生体艦も危ない。

 赤電荷粒子砲を敵のレーザー機銃付近へ向ける。

 …一基撃破。

 と、その艦自体が大爆発に覆われていく。

 誰かが先にやったみたいだ。

「残念だったね、レステア」

 ギャルシュとリボリアだった。

 レーザー機銃程度ならリボリアで防げるため、多少の無理は利く。

 完璧なチームワーク…違う、母子愛だ。

「あれー。先に私がやったと思ったのに」

 カリーナさんだ。

 ばらばらに行動しても、なぜか一緒になることが多いから不思議だ。

「全機撤退!

 宙空衝撃弾頭ミサイルを未確認戦艦へと放ちます!」

 生体艦たちは先にダイブして撤退した。

 僕達はひたすら外に外に離れていくだけだ。

 やがて敵の砲撃も来ないような場所にくると、僕達は帰還を開始した。

 僕達の艦隊から何かが放たれ、それが多数の砲撃を受けながら未確認戦艦へと向かっていく。

 と、そのあたりの戦艦や星の光が歪む。

 幻覚ではない。

 敵戦艦が瞬く間にただの鉄の塊に変わっていくのがわかる。

 宙空衝撃弾頭ミサイル。

 そう。

 これは、空間を歪めることのできる銀河連合軍最強の兵器。

 以前は強かったらしい核弾頭ミサイルも、すでに過去のものだ。

「各機、各艦に報告。

 敵艦隊の撃墜を確認。

 同時に、鼎皇文明同盟帝国主星星系内へと侵入完了しました」

 いよいよここからが、僕達の正念場だ。

 この艦隊で最後まで行くわけじゃないけど、それでも後に続く第二、第3侵攻艦隊の人たちが待っている。

 シィーアからだって来ているんだ。

「銀河連合軍地球基地からの連絡船より報告!

 惑星シィーアが、敵艦の攻撃により爆発!

 シィーア側の侵攻艦隊も全て撃墜された模様!

 犠牲者は約五十億人!

 生存者は確認されていません! 繰り返します……」

 …は?

 惑星が爆発?

 敵の攻撃で?

 犠牲者五十…億人…?

 …そんなこと…ある…わけ…ない・・・よ…ね?


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