ギャーッ
「ギャーッ」
とてつもない大声がでた
なに?なに!
どういうこと?!
何かを考えなきゃと思うものの大声で叫んだもので脳の酸素無くなって体を垂直に保っていることができなくなって後ろにひっくり返ってしまった
で、気がつくと私は環さんの万年布団に寝かされていた
環さんのTシャツとスエットのズボンはいて
いつの間に寝ちゃったの…
私、変な夢見た
…どこからが夢だったんだろう?
「環さん…」
起きて環さんを呼んだけどいない
下に降りていってお台所とかも見たけどいない
おばあさんも留守みたい
お昼過ぎにここに来たけど、雨が上がって台所の小さい窓からはもう西日が差してしている
そんなに時間経ったんだ…
しょうがないから環さんの部屋に戻る
どこに行ったんだろう環さん
この格好じゃ帰れないよ
それにしても変な夢だったなあ
狐の尻尾で撫で撫でされる夢
考え込んでたらガラッと襖が開いて環さんが帰ってきた
「あっ。環さん」
「気がついたか」
「繭の服をコインランドリーで洗ってきた」
「この家には乾燥機が無いから」
「ん」と言って小さい紙袋を渡される
うー、ありがたいけど、よれたボロいTシャツやらゴムの緩んだハーフパンツを環さんが手にしたかと思うと恥ずかしいよ…と思いながら受け取る
…ん?
んんっ?
紙袋の中には下着も入っていた
慌ててパタパタと手で体を探る
あ?、私、今下着着てないっ!
それってつまり…
いろんなことを想像してギャーっともう一度叫びたくなった
でも…もう…怒ってないよね、環さん、シネコンでのこと
こうして私の服お洗濯してきてくれるくらいなんだら
その前に服脱がせてるわけだから
ちらっと盗み見る環さんの表情はいつもと変わらない
多分服脱がせるときも無表情だったんだろうな
ふと、田舎のお祖母ちゃんが掘ってきたばかりのたけのこの皮を剥いてる姿を思い出す
ただ淡々と皮を剥く…
きっとあんな感じだったんだろうな
ふう、なんだかな…
野獣なのか紳士なのかよくわかんない人だなぁ
「着替えるから後ろ向いてて」
環さんに背を向けてまだ乾燥機の暖かさの残る服に着替える
「環さん、私変な夢見たよ、環さんが狐になる夢」
そう言いながら振り返ると
いた!狐がっ!!
あ?さっきの夢じゃなかったんだ
今度は叫び声は出なかった
「…環さんなの」
静かにそう尋ねたら狐はコクリと頷いた
大きい、この狐
狐の概念を超えている
お座りをした状態で私の身長と同じくらいだ
テーブルを避けてある六畳の部屋が益々小さく見える
思えば環さんは最初から言っていた、自分は狐だと
ああ、本当にあの漫画を参考に人間化けていたんだ
言動もあの漫画を参考にしてたんだ
そんなことってあるの?
環さんはやっぱり妖怪だったの?
私、まだ眠ってるんじゃないだろうか
これ、夢じゃないの?!
そっと手を伸ばし喉元に触れてみる
すうっと手が毛並みの中に沈む
フサフサだ
次に狐の前足の間に体を預けてみる
ああ、環さんだ
わかる
間違いない、この狐は環さんだ
環さんの魂の匂いがする
不意に私は生まれてすぐに繭に会って人を好きになるという感情を持ってしまったと言った環さんの言葉が蘇ってきた
彼女は至れり尽くせりの人だったと目を伏せたあの顔とともに
環さんの前の恋人は本当に江戸時代の人だったんだ
…すごい、私
こんな突拍子もない現実を突きつけられていながらも焼きもちを焼いている
この狐が恋した、繭さんに




