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カラッと晴れ渡った文化祭本番。早起きして学校に向かうと、すでに美術部が校門前のエントランスを完成させるべく、総出で仕上げにとりかかっていた。引退した3年生も手伝っている。前部長は友だちだ。
「おはよう、あとちょっとだね!」
「おはよう! 今年は生徒会に後押ししてもらったお陰で気合い入ってるよ!」
わたしたち生徒会の役員は、今日は写真部とともに撮影係だ。とにかく撮りまくるためにお父さんからデジカメを借りてきた。
「よーし、起こすよー。そっち持って」
「マズいマズい、こっち人数足んない! 男子来てー」
手伝えなくて申し訳ないけどこの様子も撮らせてもらう。優の出したオファー「とにかくハデに」を実現させ、原色で爆発的なデザインのエントランスが完成した。みんなでハイタッチしながら喜びをかみしめている。
ただ今の時刻、7時5分前。朝からありがとう、美術部。
「じゃあ完成した作品の前で撮ろう! 並んで並んで」
ジャージ姿で頭にタオル。超体育会系な美術部のみんなを撮ると、クモの子を散らしたようにクラス企画の準備に走ってく。
準備中の様子を撮りながら生徒会室を目指した。
「おはよう。優、早いね」
「もちろん。美紗、写真頼んだよ」
「今は何もやることない?」
「大丈夫、予定通りだね。あ、ふたりで1枚撮っとこ!」
慌ただしい廊下を背景にして、ふたりで変顔して自分撮り。
「じゃあまたオープニングセレモニーでね」
「よろしく!」
我が3-Fはどんな様子かな?
家庭科室は戦場のようだ。飲食店をやるクラスで流しやコンロを割り振ってあるけど、押しあいへしあいで、うちのクラスの子らも昨日までに切った材料を運び出すのにてんやわんや。
「美紗ー、撮ってないで手伝って!」
「アハハ、このカオスを一通り撮ったらね」
「ってか菊池、生徒会権限ねーの? 冷蔵庫の割当て多くするとかさ」
周りのクラスからジロリとにらまれる。
「無茶言わないでって。はい、とにかく撮るよー」
クラスのみんな、卵や野菜を持ってポーズをとってくれた。少し手伝って、10時のセレモニーの準備に行かなくちゃ。
体育館のステージ裏では、優と葛目くんが進行の打ち合わせに余念がない。舞台全体のマネージャーをする早瀬くんは、スマホの複数人トークで音響や照明に指示を出す。音響の機械と台本を確認しているのは黒岩くんだ。照明はわたし、野々村くんは遊軍として体育館全体を見渡す。吹奏楽部のミニ演奏がある馬上さんは演者サイドだ。
セレモニーの一発目はバンド演奏で、菜摘も出る。ボーカルと黒岩くんで最後のマイクチェックをしていた。
この緊張感あふれる様子も、そっとカメラにおさめた。
「それじゃあ文化祭の幕開けにふさわしい最初のステージは!」
「『THE IRON NOTES』のバンド演奏だーーー!!」
優も葛目くんも絶好調だ。照明の切りかえはだいぶ先だから、ふたりの勇姿をしかと記録する。
菜摘のキーボード演奏も磨きがかかっている。写真では音が残せないのが残念だ。会場のノリも撮っているけど、ステージとの一体感をうまく表現できない。写真部の子がウロウロしてくれてるからそっちに任せよう。
「イエーーイ! ありがとうございましたー!」
ボーカルの満面の笑顔もパチリ。いけない、もうすぐ客席側の照明を入れるんだった。
昨日のくじ引きで当たったクラスや部はここで企画の宣伝ができる。自主制作の映画やら、飲食店やら。ここぞとばかりに書道部も当たりを引き当て、部長がステージで模造紙に大きく「Welcome」と書く。まさかの英語で驚く会場を手前に、部長の大書を背景に入れて、いいアングルで1枚撮れた。
セレモニーの最後に生徒会企画を紹介する。発案の葛目くんの出番だ。
「ここで生徒会企画の紹介をいたします!!」
急にキリッとメガネを直し資料を手にステージの中央に立つ。
「はい、『文化祭』と言いながら文化部があまり目立っていない現状をかんがみてですね、私たち生徒会は彼らにスポットを当てなくてはならないと! こう考えたのであります!」
ゾロゾロと数名の生徒がステージに上がってくる。書道部、美術部、写真部、化学部、パソコン部、漫研、つまり例の「地味文化部」の部長たちだ。
「後夜祭は毎回と同様に校庭でのキャンプファイヤーですが、その演出に彼らの能力を最大限発揮していただき! 最高の夜を一緒に作っていこうと!! こういうわけだーー!!!」
だんだんテンションが上がり、ついにMaxになった葛目くん。写真部もわたしも一斉にシャッターを切る。
しかしまったく説明になっていないので、優もいくらかフォローする。
「洋三の説明じゃ分かんないと思うけど、後夜祭まで企画内容はトップシークレット! ただみんなに協力してほしいことがあります。写真部やあたしたち生徒会がみんなを撮影しに回るから、最高の笑顔で撮影に協力してくださいね!」
「そうそう、そういうこと! 写真が集まらないと企画の完成そのものが危ぶまれる事態に陥りかねません!」
「それじゃあ最後まで盛り上がってこう!」
「外部の人にもオレたちの団結、しかと見せてやるぞーーーッッ!!!」
葛目くんの雄叫びでセレモニー終了。
クラスの当番、運営本部の当番、それから撮影のためにたくさん企画を回る。
身体が3つぐらいほしい。




