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第一章:第七話:幕は閉じられ

 まずはじめに葉瑠衣様。

 感想ありがとうございました。


 誤字脱字の報告、感想随時受付中です!




 先ほどの法剣の能力を警戒し、慎重になるヴィントに容赦なく剣戟が迫る。


「くっ……」


「破ッ!」


 ロートの横薙ぎの一閃を紙一重で回避したヴィントは、剣を斜めに切り上げようとして再び違和感に襲われた。


 反射的に行動を無理やり停止させ、バックステップすると目の前の空間が燃えた。


「ほう……二回目でもう対応し始めるか……」


「はぁ、はぁ……なんとなくその剣の能力が読めたぜ……その剣はガス(・・)を操ってんだろ?」


 そのまま距離を取ったヴィントに追撃の手を緩めて感心するロート。


 追撃してこないロートあら視線は逸らさずに肩を落として深呼吸したヴィントは、淡く発光する剣の能力への推測を述べた。


「……ご明察。この剣……メテオーアはお前の推測通り、ガスを操る。正確にはこの剣の通った空間の気体を可燃性のガスに変える訳だが……よく判ったな。」


「最初に違和感を覚えたのは空気の感じがおかしいって思ったことだ。二回目でなんとなく判って後は半分鎌かけだ。」


「成程、まんまと俺は引っかけられた訳か。それにしても、お前本当に王家のボンボンか?」


「は?」


「いや、俺も初代アインス王の再来って呼ばれてのは噂で聞いてたけど、それだけなんだよな。ザルツとヴァッサー兄弟みたいに何かしらの戦歴を聞いた訳でもないし。」


「……」


「まァそれも含めて教えてもらおうとするか、な!」


「!?」


穿て(グラーベン)! メテオーア!」


 瞬間、大魔術一撃分の魔力がメテオーアに込められた気配を感じ、ヴィントは咄嗟に回避行動を取った。


 直後、柄から分離した刃は超高速で放たれ、さらに軌跡をガスに変えて燃やすメテオーアはジェット機さながらで、僅か十五の距離をゼロへと変える。


 彗星の様なソレは瞬間的に音速の壁を突き破り、約340m/sの煌めく奔流は、僅か0.044秒という時間でヴィントの元にまで到達した。


 発動の瞬間に危険を察知し、なんとかモーションを読むことができたヴィントはギリギリで煌めく暴風を回避できたが、発生したソニックブームに肌を数箇所刻まれた。


 後ろを振り返れば直線上に並んでいた木が吹き飛んでいた。


「オイ、今の直撃してたら死ぬぞ……」


「……いや、悪ィな。いつもと違って解放状態なのを忘れてたわ。」


 最初の頃のギスギスしたやり取りからいつの間にか、どこか不穏な雰囲気はなくなっており、気心知れた者同士の会話の様になっている二人だった。


キュルキュル……


「ん?」


 変な音が気になり、辺りを見回すとロートの手に握られたメテオーアの柄から銀色の糸が垂れていた。


 だんだんと糸がピンと張ってきたところでその音が止まった。


「やっべ……どっかで引っかかってやがる。」


 そう言うと刃が飛んで行った方向へ駆け出して行った。


「あ、あの、大丈夫でしゅか?」


「っ……あ、ああ。致命傷ではないから大丈夫だ。」


 本日何度目か判らないアプリルの噛み癖に一瞬笑い出しそうになるヴィントと、色々と頑張って話しかけた結果噛んだアプリルが悶える。


「そろそろ幕引きだな。」


 ヴィントはそう呟くと魔力を高めた。




 † 

   †

     †




 

 刃を回収してきたロートの目に、新たな服を着ていたヴィントが入った。


「ん? 着替えたのか?」


 すでにヴィントと戦うことが楽しくて当初の目的が大分薄れ、今は普段なかなか巡り会えない好敵手との全てのやり取りを満喫しているロート。


 だが、ヴィントは―――


「ロート。楽しんでるところ悪いが、そろそろ閉幕だ。」


 ―――そう言って高めていた魔力を解放した。


「!?」


 目に見えるほどの魔力の奔流に驚愕したロートだが、彼をさらに驚愕させる出来事が起きた。


 ロートを中心に直径五メートル程の魔法陣が一瞬で現れた。


「ッ!? 刻印魔術まで使えんのかよ!?」


 刻印魔術とは地面や物体、宙空に果ては魂にまで魔術を刻み印すことが可能な上級技術である。


 ちなみにロートの持つ法剣メテオーアの刀身に刻まれた魔術文字も刻印魔術の一種である。


 その中でも割かしポピュラーなのが、魔力を地面に刻み込む魔法陣である。


 だが、それでも直径一メートルの魔法陣に役十分掛かるのが一般的であり、五メートルにも及ぶ魔法陣となると一時間は掛かるだろう。


 少しでも魔力の配分や魔術文字の配置を間違えると魔法陣が暴走するため慎重に刻印しなければならないからである。


 そんな時間の掛かる魔法陣だが、発揮される威力は戦略級なのに対し魔力消費は詠唱魔術よりも少なく、ある程度の時間なら発動も待機できるなどの理由で、主に戦争や籠城戦などの時に使われる。


 そんな戦略級の刻印魔術をロートが戻ってくる僅かな時間に刻み込んだヴィントの底はまだ見えない。


「勝負は勝負だからな。ちゃんと後で言うこと聞けよ。」


 ロートが魔法陣の範囲から出ようとすると魔法陣の外縁に沿った見えない障壁に阻まれた。


 パチン


 ヴィントの合図と共に淡く光っていた魔法陣が一層輝いた。


轟音激震ゲテーゼ・ベーベン


 瞬間、ロートの世界が極大の音と揺れで満ちた。


 本来の使われ方では外縁に沿った障壁など張られず、予め敵が通るであろう進軍コースに仕掛けられ、効果範囲は一キロ四方に渡るモノを全て内側に向けてあるのだから効果は計り知れない。


 しかし、戦略に組み込まれる殺傷能力の高い“轟雷激震ブリッツ・ベーベン”と違ってヴィントが考えたと言ってもいい亜種版の“轟音激震ゲテーゼ・ベーベン”を使っている分、加減はしてあるようだが、まず間違いなく轟音で三半規管をやられて平衡感覚を無くし、あまりの激震に地割れが起き、岩が突き出す大地に為す術もなくもてあそばれる仕様だ。


 短くも長い時間でロートは息も絶え絶えになっていた。


「ぜぇぜぇ……グッ……」


 ヴィントは満身創痍のロートの元へ赴くと、剣を首筋に当てた。


「できたら魔術は使いたくなかったんだが、そうも言ってられなくてね。ちょっとえげつない戦法を取らせてもっらたけど、そこはまァお互い様ってことで……だから、今回は俺の勝ちだ。」


「ちっ……仕方、ねぇな。今回、は、負けを……認め、てやる、よ。」


 言質を得たヴィントは剣を鞘に納める。


「ああ、んじゃ一つ言うことを聞いてもらおうとするかな。」


「約束、だから……仕方ねーな。」


 嫌々しそうなヴィントは笑顔でのたまった。


「ロート、お前……王宮で俺の母親の護衛を務めろ。」


「はぁーーー?」


 義賊稼業、強制休業。



 突発的に楽屋ネタ的なものをしてみたんですが、あんまり納得できず、かといって消すのもなんだかなーと思ったので、活動報告に載せておきます。


 なので見たい方はどうぞ。


 今回はアプリルとの会話です。


 毎回アプリルか他のキャラかも分からないし、毎回やるかも分からないグダグダスタートですが、よろしくお願いします。

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