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侵略者

今回は、かなり暴走してます。

ちなみに登場する特急列車は、近○日本鉄道のビ○タEXと、名○屋鉄道のパノ○マカー(白帯)の亜空間軌道走行仕様です。


標準軌と狭軌に関しては、台車がフリーゲージ仕様になっていると考えてください。

常闇の港湾都市群

ブルーネ


ブルーネ局地ターミナルステーションの特別ターミナルの乗り場に停車するキンダーガルテン号。

その横では、オレンジ色の車体に紺色のラインを纏った列車が出発しようとしていた。

この5両編成列車は1号車と5号車がシングルデッキの車輌で、2号車と4号車がダブルデッキの車輌、3号車がハイデッキの車輌になっている。

発車時刻が迫り、この列車の発車メロディー[ドナウ川の漣]が流れ始め、列

車はパンタグラフを下げる。

これから発車する電車が、パンタグラフを下げるというのはおかしいと思うかもしれないが、そもそも亜空間軌道に架線は存在しないので、普通の電車がそこを走るのは不可能である。

それを可能にしているのが、3号車の1階部分に装備されている大容量バッテリーユニットと、魔電変換器(電力と魔力を相互変換する装置)である。

ここから、亜空間軌道を走行するために必要な電力と、エアレールシステムを稼働させるための魔力を魔電変換器を通して供給する。

その関係でパンタグラフは、電化された通常軌道の架線からバッテリーの充電を行うための装置でしかないのである。

発車メロディーが終わり列車は、ヴィィィッっという車のクラクションのような電笛を鳴らし出発していった。


その後直ぐに、空いた乗り場には、次の前面が展望席で油圧式のダンパーを左右に装備し運転席が2階にある特徴的なフォルムを持つスカーレットに白帯を巻いた列車がミュージックホーンを奏でながら入ってきた。


その様子を、眺めるリタのもとに、1人のプッペディナが駆け寄った。


『リター、もうすぐ留置線が空くみたいだよ。』


プッペディナの報告を受け、彼女はデータリンクでその詳細を確認して必要な指示をだす。


『では、10分後に留置線で方向変換してホームに戻りましょう。』


客車方式のため、折り返し運転ができないキンダーガルテン号がこのステーションから出発するためには、留置線で侵攻方向を逆にする必要があるのである。


『おお!お主はワシと同じ魔力式機械人形かえ?』


唐突に話しかけられ情景反射的に振り向いたリタの目の前には、眼をキラキラ輝かせた黒髪の人形少女が立っていた。


『魔力式機械人形とどの様な物かは存じませんが、私は電気/電子回路と魔力回路を組み合わせたハイブリッド方式のTCAI(Irain,Control,Artificial,Intelligence:列車制御人工知能)制御型魔導人形、オプテラシリーズ、製造番号04、オリジナルネーム[リタ]です。

つまり、この身体は列車制御用システムの外部デバイスに過ぎません。』


リタは、自慢げにキンダーガルテン号の巨体を指差し、その少女にいかに自分が凄い技術の結晶なのかを熱く語りはじめる。

こうなってしまったら、もう止まらない。

延々とキンダーガルテン号とオプテラシリーズの自慢を機関銃の様に語り続け、プリッペアは呆れた表情でその話を聞く事になる。

列車の方は、リタをホームに残したまま、方向変換作業を行ったが、その所要時間20分の作業が終わってもなお彼女の話は続いていた。

プリッペアが、自分に似た存在とはいえ、それに不用意に話しかけてしまった事を後悔したのは言うまでも無い。


『・・・ところで、この列車は何処に行く予定なのじゃ?』


『この列車は、ブルーネ列車隊に護衛され、アーシェリアに向かう予定です。』


『なんじゃと?』


何とか話を打ち切ろうと、列車の行き先を訪ねたプリッペアだったが、予想外の答えに、表情を凍りつかせた。


『すまぬ、その事について詳しく教えてくれぬか!』


______________________________________


辺境の列車の街

イゲルフェスト


『ブリザッド運行管理局より、路線の渋滞で亜空間シールドマシンの輸送に2時間の遅れが出ているとのことです。』


『他の輸送は?主に補給物資と、各列車総隊の列車だけど・・・』


『平均20分程度の遅れですので、補給や列車の補充が滞る心配はありません。ただ、侵攻予定をシールドマシン到着後1時間後に変更して頂ければ・・・』


『許可するよ。

補給と補充が要だからね、あと各列車隊には、消耗率10%に達した段階で進軍を中断して、後退しても良いから後方の列車隊と合流してから進軍を再開するように徹底させてね。』


『たかだか10%でですか?』


『10%も消耗するって事は、物量で押しきれて無いことになるからね。

じり貧になるくらいなら、一旦下げて2倍3倍に増やしてから攻めた方が効率的でしょ♪』


中央管制室の中央の席にはフラウ総帥が座り、各所に指示をだしている。

その傍らに立つサラ総元帥の鼻にティッシュが詰められ、顔色が悪いのはきっと気のせいだろう。


それは置いておいて、フラウ総帥は今回のアーシェリア侵攻を皮切りに、その周辺一帯も手中に納めるつもりのようだ。

900編成にも登る大量の戦闘用列車の投入もそれを裏付けている。



『13年まえ、数編成の局地警備隊程度で壊滅的な被害を出した亜空間管理局さん、今回は合計900編成の第一線部隊・・・そして今回は十字教会の妨害も無い・・・どうやって切り抜けるのかなぁ♪』


ブルーネに集結しつつある各列車隊のシンボルを眺め、フラウ総帥は無邪気にケラケラと笑う。


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