神様と鍋パーティー_06
「大国主様はね、優しいの。だから皆惚れてしまうんですわ」
「でも、浮気されるのは悲しいですね」
「聞いてくださる? 私、大国主様の正妻なんですの。顔を合わせばそなたは美しいって言ってくださるのよ。それなのにどうしてわたくしだけを愛してくれないのかしら?」
頬をピンクに染めてトロンとした目つきの須世理姫様は、横髪を耳にかける。美しいだけじゃない、仕草一つとっても、なんて色っぽいのだろうと思わず見惚れてしまった。
「アオイは結婚するならどんな人がいいのかしら?」
「うーん、優しくて誠実な人ですかね?」
「それって月読様みたいな感じかしら?」
「あはは、月読様は確かに優しくて誠実ですね。私の理想かもしれません」
「でも月読様は駄目ですわよ。あの方は一途ですの。わたくしの夫と違って簡単にはなびきませんわ。それに、神はおよしなさい。人は人、神は神と結ばれるべき。でないと悲しい結末を迎えますわ」
「別に狙ってませんよ。月読様が一途なのは知ってますし」
「あら、そうでしたの」
須世理姫様はガブガブとお酒を煽る。私のグラスにも容赦なく注がれるので、私もガブガブと飲んだ。
月読様が一途なのは知っている。だってキヨさんのことを愛していたって、聞いたもの。あの時の月読様は、とても優しくて悲しい目をしていた。本当は愛していたなんて過去形じゃなくて、今も愛しているんだと思う。
「じゃあ彼はどうなのかしら?」
「えっ?」
「トオルのことですわ」
ドキンと心臓が揺れた。飲み過ぎて倒れてしまった透さんは、私のすぐ隣で静かな寝息を立てている。そんなにお酒に強くないのに、限界まで須世理姫様に付き合ってくれた優しい透さん。
「透さんは……」
ドキンドキンと鼓動が速くなる。透さんとは友達だけど、友達以上の縁も感じていて……。だけどそれを深く考えることはしてこなかった。とても大切な人なんだけれど……。




