神様と鍋パーティー_04
グツグツとお出汁が煮える音がする。そこに白菜とネギと椎茸と…たくさんの具材を投入。豚肉やつみれも用意されていて、部屋いっぱいに美味しそうな香りが広がる。私のお腹もぐーっと鳴った。望月家お勧めの柚子ポン酢を回しかけて……。
「いただきまーす。須世理姫様もどうぞどうぞ」
「では、わたくしもいただきますわ」
ぱくりと食べた須世理姫様は「美味しい」と目を輝かせる。そんな姿が嬉しくて、透さんと顔を見合わせて笑った。
「はっ! 美味しい香り!」
「あ、モフ太復活した」
「ボクも食べる!」
「はいはい、モフ太のはこっちねー」
お椀に付け分けてあげると、ガツガツと食べ始めた。そんな光景も、もう慣れっこになっている。しばらくお鍋に舌鼓を打っていると、体がぽかぽかしてきた。こたつの温もりと相まって気持ちがいい。
「そういえば須世理姫様はモフ太を捜していたんですよね? あ、モフ太って、このうさぎのことです」
「そうなのです。うさぎよ、わたくしと大国主様の今後を予言してくれませんか?」
「おおくにぬし様?」
「わたくしの夫ですわ」
須世理姫様はテーブルをダンッと叩いて立ち上がる。その勢いにビクッと肩を揺らした私たちは、一旦箸を置いた。しーんと静まり返った部屋に、お鍋のグツグツという音だけが響く。
「大国主様ったら、わたくしというものがありながらすぐに他に女を作りますの。わたくしとは大恋愛の末結婚なさったのに」
「えっ、それって浮気……?」
「アオイよ、一応言っておくが、神は一夫多妻制だ」
月読様が一人お鍋をつつきながら教えてくれたけれど、須世理姫様の勢いは止まらない。
「一夫多妻制ですって? そんな時代はもう終わってますのよ。アオイも旦那が浮気したら嫌でしょう? 大丈夫なの、あなたの旦那は」
「あ、私はまだ結婚していないので」
「じゃあこれが彼氏なのかしら?」
ビシッと透さんを指差す。これ呼ばわりされた透さんはゴフッとむせた。
「男ってやつは誠実そうに見えて実は意外な本性を隠してたりしますのよ。アオイも気をつけなさい」
「は、はあ……」
「月読様なんてクールな顔してやることやってますのよ。むっつりスケベですわ」
今度は月読様がゴフッとむせる。
言いたい放題の須世理姫様に男性陣は顔をしかめ、
だんだんと面白くなってきた私は一人ニヤニヤと笑った。




