神様の結婚式_03
「皆様、本日は花宵まつりにご参拝くださりありがとうございます。ここ名月神社は年中たくさんの草花が咲く神社です。それは、御祭神である月読様がお花好きであると伝えられているからでございます。今しがた皆様にお渡ししております花びらを、皆様方のご家庭の安寧を願いながら、神様のいらっしゃる本殿へ向けて撒いていただけますでしょうか。お帰りの際には、ぜひ御神酒と御神米もお持ち帰りください」
咲耶姫様と火の神様が、拝殿の外に出てこられる。
私が合図を出すと、モフ太が並べられた酒樽の蓋にピョンと跳び乗った。リズム良く、パカンと良い音を立てながら次々と開けていく。
そして、参拝者が順番に本殿に向かって花びらを撒く。それはまるで、フラワーシャワーのように、咲耶姫様と火の神様に降り注いだ。
「わぁ、素敵」
「まるでそこに神様がいるみたいね」
参拝者がそう口にする。
私も両手いっぱいの花びらを、おめでとうの気持ちを込めて撒いた。
咲耶姫様と視線が交わる。
とても優しい瞳の神様は、右手を前にかざした。
撒いた花びらがふわっと舞い上がり、参拝者の頭の上から降り注ぐ。「わぁ」と歓声が上がった。
社務所の前では少彦様のお酒が振る舞われている。
少彦様は持っていた杖をゆるりと振りかざす。注がれたお酒に金色の光が降り注ぎ、まるで金箔のように浮かんだ。
肌を撫でていく空気が暖かい。
心穏やかで幸せな空気が名月神社を包んだ。
あたりを照らす灯りはいつもよりも明るく足元を照らす。
「火の神よ。私はここで結婚式が挙げられて幸せだ」
「ああ、俺もそう思っていた」
名月神社に花が舞う。
緩やかな風にあおられて、花びらが空へと舞い上がり、咲き乱れる秋桜も柔らかく揺れた。




