神様の結婚式_02
「それでは、神楽を奉納いたします」
「ほう、楽しみであるぞ」
ドキンと心臓が揺れた。私は神鈴をぎゅっと握る。その手に、透さんの手がそっと重ねられる。大丈夫だよと言ってくれているみたいで、強くてあたたかい。勇気が湧いてくるようだ。
大きく深呼吸をする。
透さんの合図で鈴をシャンと鳴らした。
笙の幻想的な音が、夕闇に響き渡る。
音色に合わせてステップを踏み、手首を返して鈴を鳴らす。シャンと綺麗な音が鳴るたび、辺り一帯にキラキラとした粒子が舞った。
「わぁ〜、お姉ちゃん綺麗〜」
幼い子供の声が耳に届く。
これは咲耶姫様と火の神様への奉納の舞だけれど、今ここに来てくれたすべての人が幸せになれますように。健康でいられますように。すくすくと育ちますように。みんなが明日も笑顔でいられますように。
たくさんたくさん願いを込めて、舞を披露した。
床に手をついて、深々とお辞儀をする。
拝殿のまわりではパチパチと拍手がわき起こっていた。
「葵」
透さんに呼ばれて顔を上げる。どこか遠いところにいっていた意識がふっと現実に引き戻される。
「さあ、最後の仕上げだよ」
「うん。咲耶姫様、火の神様、拝殿の外に出てきていただけますか」
「構わぬが、なにゆえ……?」
「結婚式ですからね、みんなでお祝いしたいんです」
火の神様が咲耶姫様の手を取る。しずしずと歩いてこられる間に、私も超特急で準備をする。月読様も少彦様も、通りすがりの神様も、透さんのご両親も、みんな拝殿の前に集まってもらった。
「モフ太も行くよ!」
「ふふん、ボクの出番がきたようだな」
モフ太が得意気に跳びはねる。
拝殿の前では透さんが参拝者にご挨拶をしていた。




