神様との繋がり_08
日が傾き始め少しずつ空気が冷たくなっていく。夜には咲耶姫様の結婚式だ。私も身なりを整えて、準備をする。ついに神楽のお披露目だ。
お母様が巫女の装束の上に千早を着せてくれた。白地に緑の模様がとても繊細で綺麗だ。きゅっと身が引き締まり緊張が高まっていく。拝殿には明かりが灯り、夕暮れと相まって幻想的な様相を醸し出していた。
「とてもよく似合ってるわね。神楽、透と一緒に練習したんですって?」
「はい、透さんに毎日付き合ってもらいました」
「そうだったの。何だか今日はいろいろな気配が感じられるのよ。わくわくしちゃうわね。ねえ、お父さん、そう思わない?」
「残念ながら私には何も感じられないけど、今日は特別に良い空気が漂っている気がするよ」
「そうよね、私も見えたらよかったのに」
「見えたら、もう少し透の気持ちに寄り添えたかもしれないね」
「……いいよ、別に」
透さんは困ったように眉を寄せた。
透さんのご両親がニコニコとお話するその後ろで、月読様が慈しむようにしっとりと微笑む。ご両親も月読様もずっとここにいるのに、見ることも話すこともできないなんて何だか寂しい。
「今もね、何だか後ろにあたたかい気配があるの。この気配を感じるとね、いつも見守ってくれているんだなって、思うのよ。あなたたち、そう伝えてもらえない?」
「聞こえていると思うよ」
「そうですよ。聞こえてますよ。今も後ろで……あっそうだ! 月読様!」
私は月読様の手を引っ張る。その手をお母様の手と重ね合わせた。気配を感じられるお母様に月読様が触れれば、ここにいるんだよってわかってもらえる気がしたからだ。
「わかりますか? 今、月読様がお母様の手に触れています」
お母様は目をパチクリさせながら、顔を上げる。その視線は、月読様の視線と絡まった気がした。
「……見えないけれど、ここにいらっしゃるのね。いつものあたたかい神様の気配だわ。いつも透のことを見守ってくれてありがとうございます」
透さんのお母様は柔らかく笑った。まるで草花のような素朴で可憐な微笑み。月読様はしばらくの間、透さんのお母様のことをじっと見つめていた。そしてそうっと包み込むように抱きしめる。
まさかの出来事に、私と透さんは思わず顔を見合わせた。




