神様との繋がり_03
「それにしても素敵ね。花宵まつりにぴったりだわ」
「喜んでもらえてよかったです。あの、手水舎にも花を浮かべさせてもらってもいいでしょうか?」
「もちろんよ。名月神社はもう透に任せてるの。だから私の許可はいらないのよ。私は今日はお手伝いに来ただけなの」
「ふうん、これがトオルの母か」
「あっ!」
「うん?」
外に出ていたモフ太がいつの間にか戻ってきている。お母様に跳び乗りジロジロと見るので、失礼極まりない。
「も、モフ……ちょっと、……こらっ」
お母様は見えない人なのか、まったく動じていなかったけれど、おもむろに懐からお札を一枚取り出し、モフ太目がけてパシンッと打ち払った。
「ギャー!」
「も、モフ太っ! えっ、ええっ?」
「葵さん、透から少し聞いているけど、あなた見える人なのね」
「あ、はい。今もその、うさぎがいまして……そのお札でぐったりしてますけど……」
突然、お母様の目から大粒の涙がぽろりと零れ落ちる。何事かとさらに焦る私を、お母様はぎゅうっと抱きしめた。
「えっ? えっ? あの、えっと……」
困惑がさらに困惑。どうしたらいいかわからないでいると、「何をしているの」と透さんの冷ややかな声が拝殿に響く。そしてペリッと引き剥がされる。
「だってしょうがないでしょう。お母さん嬉しくって」
「だからって、抱きつくことないだろ。葵が困ってるじゃないか。葵、大丈夫だった?」
「いや、私は別に。ただびっくりしたというか……」
「ごめんなさいね、葵さん。透の他にも見える人がいて、嬉しくってつい。この子、昔から見えるせいで友達が少なくてね――」
「ああ、もう、余計なこと言わなくていいよ。いつまで子供扱いしてるんだよ」
「まあ! 子どもはいくつになってもお母さんの子どもなのよ。心配するに決まっているでしょう?」
突然始まる親子の言い合いに、私は思わず吹き出してしまった。いつもクールな透さんでも、親の前ではこんな言い合いをしちゃうんだなぁ。透さんの新たな一面が見られて嬉しく感じる。




