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神様の住まう街  作者: あさの紅茶


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神様との繋がり_01

名月神社には11月初旬に花宵まつりが行われる。豊作祈願が主のお祭りだが、その日は夜遅くまで拝殿を開放し、豊作や無病息災を願う地域の方が参拝に訪れる。


境内には山茶花とコスモスが咲き乱れ、この日に併せて七五三の祈祷を頼む参拝客も大勢いるらしい。神社へ続く石段の手前では数軒の屋台も店を広げる。名月神社が一年で一番賑わう日なのだと、月読様が教えてくれた。


そんな賑やかな日に、咲耶姫様は結婚式を挙げられる。人に姿は見えずとも、多くの人に祝福される気分を味わいたいのだとか。咲耶姫様は意外と人好きだ。


そして11月といえば神無月。神様たちが神議り(かむはかり)という会議をするために出雲に出向く時季。そんな言葉をうっすらと知っていたものの、咲耶姫様たちは行かないと聞いて頭にいっぱいハテナが浮かぶ。てっきりすべての神様が出雲に行くと思っていたのに。


「神様には神様の世界の決まり事など、僕たちにはわからないことがたくさんあるんだよ」


透さんに言われて、まあいいかと深く考えることはやめた。しかも咲耶姫様は、出雲に神議りへ行く神様たちがついでに寄ってってもらえるようにとも考えているらしい。


案外お祭りごとが好きなようだ。


当日朝早く、装花の準備のため花の入った大きなバケツを抱えて名月神社の石段を上がる。花と水の入ったバケツはずっしりと重い。これをあと何往復かしなくてはいけないけれど、以前の少彦様の酒造りよりも遥かにしんどい。石段が難関すぎる。


「よっ、とととっ」


「おっと。大丈夫?」


最後の石段を上ったところでよろけたけれど、ガシッとバケツを支えられた。


「透さん!」


「おはよう、葵。重そうだね、手伝おうか?」


「ありがとう。ここ石段だから台車使えなくて困ってたの」


「ああ、そうか。そうだったね。じゃあ葵には秘密の抜け道を教えるよ」


「抜け道?」


「そう。秘密だよ」


人差し指を口に当てた透さんは、くすっと笑った。


一旦石段を下りて車まで戻る。透さんに言われるがまま運転をし、神社の横の道を少しだけ上に登った。細い脇道を曲がると民家に突き当たる。


「この奥まで車を進めて」


「え、でもここって誰かのお家なんじゃ……」


「そうだよ。でも入って大丈夫だから」


民家の横、車一台通れる道を抜けると車が二台止まっていて、さらに数台止められそうな広い敷地が広がった。


「ここに適当に止めて」


言われるがまま駐車をして、車を降りた。こっちこっちと手招きされ、透さんを追いかける。まるで獣道のような木々の間を抜けると、なんと名月神社の境内に出た。


「ええっ、うそっ!」


「ね、秘密の抜け道だったでしょう? これなら台車を使うことができるね」


「わあ、ありがとう透さん! でも本当に大丈夫なの、ここに止めて?」


「うん。ここ、僕の実家だからね」


「えっ!」


透さん、神社とは別の所に住んでいるって言っていたけど、まさかそんなお隣だったなんて…! 私の驚きをよそに、透さんは台車にバケツをどんどん乗せていく。


「さっさと運んでしまおうか」


「あ、うん」


いろいろ聞きたいことがあったけれど、今はそれどころではない。今日は咲耶姫様の結婚式なのだ。頑張らなくちゃ。



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