神様と酒盛り_07
少彦様が用意した樽は全部で十樽。月読様と私で頑張って並々と井戸水でいっぱいにした。少彦様はその樽一つ一つにお米のような粒を振りかけ、持っていた杖でぐるりとかき混ぜる。そして器用に蓋をしていった。
「少彦様の造る酒は絶品でな、その辺に売っている人間たちが飲む酒とは訳が違うのだよ、訳が!」
と、何も手伝わなかったモフ太がえっへんと胸を張る。(意味がわからない)
「このお酒はいつ飲めるんですか? 咲耶姫様の結婚式用ってことは、それまでにできるってことですよね?」
『ああ、今すぐにでも飲めようて。まあ、熟成させたほうが美味いと言う者もおるがの。そこは好みの問題じゃの。お主と月読は手伝ってくれたからの、飲んでも良いぞ』
少彦様が杖を一振すると、ぽんっと四角い枡が現れる。それを受け取ると、少彦様が柄杓でお酒をすくって注いでくれた。
「わぁ、いい香り」
「私もいただこうか」
「ボクも飲むのだ」
「働いてないくせに」
「何を言う。一生懸命応援していたぞ」
モフ太は調子のいいことを言って我先にとお酒を飲み始める。神使のくせに、神様よりも先に口をつけるってどうなのよ。月読様は優しいから怒らないけれど、これが火の神様だったら絶対怒る。なんならモフ太丸焼きにされちゃいそう。
「少彦の酒を飲むのはいつぶりであろうな?」
『ほっほっほっ。まだまだ腕は落ちぬよ』
「じゃあ私もいただきますね。……んっ、美味しい!」
『そうじゃろうて』
少彦様は満足そうに目を細め、顎髭を撫でた。




