神様と酒盛り_04
そんなわけで仕事を早退させられ、ひとまず車の中。私はモフ太に怒りを募らせていた。
「どうしてああいうことをするの?」
「人間を楽しませてやろうかと」
「あのねぇ、普通の人は見えないんだから、そういういたずらはやめて」
「なぜだ。楽しいではないか」
「楽しくなんてないわよ!」
ぎゃあぎゃあと言い合いをしていると、『ふぉっふぉっふぉっ』と小さいおじいさんが髭を撫でながら笑う。そうだ、このおじいさんは何の神様なんだろう。
『迷惑なうさぎは出雲に追い返してやればよい』
「少彦様、ボクには大事な使命があってこちらに参ったのです」
「すくなひこ様?」
『いかにも、わしは少彦じゃ』
「えっと、何か御用でしたか?」
『咲耶姫の結婚式に振る舞う酒を火の神に頼まれてな、名月神社を探していたのだが、途中でいい香りの床を見つけて一休みしていたのじゃよ』
「お酒?」
『いかにも、わしは酒の神じゃからの』
「そうでしたか」
少彦様はお酒の神様で、結婚式用のお酒を名月神社で造るためにはるばるやってきたらしい。それにしても、プリザーブドフラワーをいい香りの床って、やっぱり神様はよくわからない。
「ええっと、じゃあ、名月神社までお送りします。月読様のところですよね?」
『お主、月読を知っておるのか?』
「はい、よくお邪魔していますので」
『ではよろしく頼む』
私は少彦様と少彦様の威厳にあてられてすっかり静かになったモフ太を連れて、月読様のいる名月神社へ向かった。




