星降る夜に神様と、まさかの女子会をしました_05
雨足はどんどん強くなっていく。
山に来ることなんて想定外すぎて、折り畳み傘もカッパも、防寒着すら持っていない。
どうしよう。
どこか雨宿りできる場所がほしい。
そう思って暗闇を見渡すが、まわりに建物はなかった。
もしかして少し山に入れば雨宿りできそうな立派な木があるかもしれないと思い、携帯電話の明かりを山の方へ向けながら少し進む。あまり役には立たない光りだけれど、ないよりはましだ。
がむしゃらに歩き回ると何か山道らしき開けた場所があり、看板も立っているようだった。わずかな光でうっすらとした文字を読むと、はっきりとはわからないが【登山道】と書かれているように思う。その登山道の奥を覗き込むと、鬱蒼と木々が揺れていた。雨が葉へ落ちる音がとても綺麗なようで、時に不気味。
そんな山へ入るのは勇気がいった。暗闇も、耳に届く音も、恐怖心を誘う。それとは裏腹に、雨足は強くなってきていた。遠くで雷の音も聞こえてくる。
とにかく、木陰で雨をしのごう。
手前の大きな木の下に入ると、幾分か雨は和らいで少しほっとした。葉から落ちる雫くらいならどうってことはない。このままここでやり過ごせばなんとかなるかもしれない。
そう考えた瞬間、地響きのような音と一際大きな空が裂けるような音がして、私は思わず目を閉じた。
雷がさっきよりも近くなっていた。
怖い怖い怖い!
私は身を小さくしてしゃがみこんだ。勝手に体が震えてくる。確か雷って、木の下にいると危ないんじゃなかったっけ? 昔、学校かテレビかで教わった朧気な記憶。
「もう私、死ぬかも……」
このまま木の下にいたら雷に打たれて死んでしまうかもしれない。かといってこれ以上どうしたらいいかわからない。どうすることもできない。
絶望的な気持ちに血の気が引いていく。
雨はどんどん体温を奪っていった。
呆然とする私の目に、ふいに小さな光を感じた。
雷の稲光ではない、柔らかい光だ。
顔を上げてキョロキョロとその光を探す。
すると、遠くに明かりのようなものが見えた。
それは等間隔にあるように感じる。
街灯?
もしかして開けた道なのかも?
そこまで行けば助かるかもしれない。
車が通るかもしれない。
私は意を決して進んだ。
雨と雷で折れた心に、ほんの少しの希望がわいたのだ。
怖いはもとより、とにかく今は雨と雷をしのぎたかった。
屋根のあるところへ行きたかった。
明かりのあるところへ行きたかった。
あわよくば通りがかった人に助けを求めたい。
ううん、せめて携帯の電波が届くところに行きたい。
どうか私を助けて!