神様の使いとお月見_01
咲耶姫様と火の神様の結婚式は、月読様の神社で夜に執り行われることになっている。
透さんから聞いた話によると、なんでも昼間は皆さんご自分の神社の守りがあるそうで、あまり出歩かないらしい。そして月読様の神社は方角的に良いのだとか。
そもそも神様が結婚式をするのかという疑問があったけれど、咲耶姫様とクリスマス会をしたときに私が持っていた街の情報誌を見て、やりたいと思ったそう。
そんな可愛らしい感情を持つ咲耶姫様に付き合ってくれる火の神様も素敵だし、会場となる神社を貸してくれる月読様も優しい。
神様って面白いな〜なんて物思いに耽っていると、「葵さん」と呼ばれていることに気づいた。
「は、はいっ! すみませんっ!」
「どうかしましたか? 少し休憩しますか?」
「あ、はい……」
はあーっとため息をはきながら壁にもたれかかる。手元に置いた神鈴がシャンと綺麗な音を立てた。
時は少し遡り、透さんに装花の相談をしているときだった。
「葵さん、結婚のお祝いに神楽を踊ってみませんか?」
「神楽?」
「はい、袴を着て鈴を振る巫女さんを見たことありませんか?」
「あー、あります。えっ、それを私が?」
「僕が笙を奏でますので」
「でもそんなの踊ったことないですし、巫女というには年齢がやばいような」
巫女さんって若い人が務めるのではと思ったのだけど、透さんは顎に手をやりこてっと首を傾げる。その仕草が、妙に可愛らしい。
「神楽の衣装、葵さんによく似合うと思うんですよ」
「えっ」
「それに、僕に笙を奏でろと月読様が言うもので……。一人では寂しいじゃないですか」
「寂しいんですか?」
「そりゃ寂しいですよ。一緒に奉納していただけませんか?」
「うっ、ううん、そ、そうですねぇ……」
と渋っていたわけなんだけど……。




