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神様の住まう街  作者: あさの紅茶


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20/104

星降る夜に神様と、まさかの女子会をしました_20

山の端から朝日が昇ろうとしている。

明るくキラキラとした白い光が周囲を照らし始めた。


「さて、どうやって帰ろうかなぁ?」


深夜の暗闇の中、通ってきたはずの参道が見当たらない。一体私はここまでどうやって来たのだろう。携帯を確認すると、未だ圏外のままだった。


神様たちに声をかけようかと思ったが、今さら戻るなんて野暮な気がした。せっかく二人気持ちを通わせたのだから、存分にラブラブしてほしい。部外者は消える。それが私のラブラブ大作戦だ。


下山する道を見つけるために境内をうろうろと歩いていると、「アオイ」と名前を呼ばれて私は振り返った。

そこには火の神様が一人で立っていた。


「アオイ、咲耶姫と話をさせてくれてありがとう」


「いや、私は何もしてないですよ」


「お前の家まで送っていこう」


火の神様はおもむろに私を抱える。


「きゃあっ!」


突然横向きに抱えられて、そう、これはいわゆるお姫様抱っこってやつで、私は思いっきり動揺してしまう。


「お、おろしてください~!」


「しっかりつかまるのだ」


「ひ、ひゃぁぁぁぁ~」


火の神様が地を蹴った瞬間、ものすごいスピードで空へのぼった。思わず火の神様の首もとへしがみつく。


ああ、咲耶姫様ごめんなさい。

私、火の神様にべったりくっついています。だけどしがみつかないと落ちちゃうんです~!


心の中で咲耶姫様に対して懺悔を繰り返していると、火の神様が肩を揺らして笑い出した。


「怖がりすぎだ」


「だ、だって!」


火の神様はぎゅうぎゅうとしがみつく私を拒むどころか優しく抱え直すと、ふっと優しい笑みを浮かべた。


「この何千年間、咲耶姫とまともにしゃべってはいなかった。いつも顔色をうかがっては門前払いを繰り返していたんだ」


何千年を振り返るかのように、火の神様は視線を遠くに向ける。


この何千年の間、咲耶姫様のことを想い続けながらもいろんなことがあったんだろうなあと思うと、私にとっても感慨深いものがある。

健気な咲耶姫様と火の神様。

長い間すれ違っていたけれど、これからはずっとずっと仲良く二人で手を取り合って過ごしていくんだろうな。もうケンカなんてしちゃダメですよ。


なんてしっとりと感傷にふけっていたのに。


「何千年ぶりかの口づけはいいものよ」


と、火の神様はニヤニヤといやらしく笑った。


「何さらっとセクハラ発言してるんですか」


先ほどの二人の濃厚なキスが思い出されて、恥ずかしさに顔が赤くなった。

しかも、何千年って、ほんと神様の時間感覚はどうなってるんだ。理解できない。

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