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星降る夜に神様と、まさかの女子会をしました_16

「もし嫌いだと言われたらどうする? それこそ私は立ち直れぬ」


「嫌いだなんてそんなこと絶対ないと思いますけど。うーん、じゃあそのときは私が火の神様を説教しますよ」


思い付きで言っただけなのに、咲耶姫様は突然声を上げて笑いだした。


「あはは! 神に説教とは、面白い。そういえばお前、名は何というのだ」


あおいです」


「アオイか。私が火の神に蔑まれたらぜひとも説教しておくれ」


「はい! 了解です!」


私はビシッと敬礼のポーズを取る。


「だが、もし私が上手くいったら、アオイは今の彼氏ときちんと話し合うのだ」


「え」


「交換条件だ」


咲耶姫様はまるで形勢逆転かと言わんばかりに不適な笑みを浮かべた。

私は言葉に詰まる。


玲と話し合うことを想像すると、かなり億劫な気分になる。今さら会って何を話し合うというのだ。


山に置き去りにするなんてどういうこと?

私も悪かったです?


言いたいことはたくさんあったはずなのに、もう私はこのまま自然消滅でもいいかな、なんて思い始めていたところだったんだけど。


「ええーっと、それは神様の力でなんとかなりません?」


「神をなんだと思っているのだ。なんでも叶えられるわけではない」


「そうなんですか」


私は肩を落とした。

神頼みすれば、今ならば叶えてくれるんじゃないかという甘い考えは一蹴される。

人を応援するだけじゃなく、自分も頑張らないとなぁ。


「わかりました。私は彼氏ときちんと話してきちんと別れます」


「別れるのか?」


「はい、咲耶姫様のお話を聞いていたら、私の恋愛は愛ではないことがわかりましたから」


玲に対する想い。

好きだと言う気持ち。

積み重ねてきたものは嘘ではない。

だけどそれはきっと、恋する自分に恋していただけなんだと思う。彼氏がいるっていうステータスがほしかっただけのように感じる。

それが今ようやくわかった気がするのだ。


「もっと自分磨きをして、素敵な彼氏を見つけます。って、聞いてます? 咲耶姫様?」


見れば咲耶姫様はこたつに突っ伏して目を閉じていた。

寝てしまったのかな。

お酒のせいなのかほんのり顔も赤らんでいる。

思えば私もちょっと飲みすぎた。


こたつの上には食べかけのお菓子とスルメ、そして空になった日本酒の瓶。


ぐいのみグラスを大事そうに持ったままの咲耶姫様の姿に、思わず笑みがこぼれた。

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