星降る夜に神様と、まさかの女子会をしました_15
こたつにぐてんと体を預けながら、咲耶姫様が問う。
「どうすればよいと思う?」
「どうすればって、どうしたいんですか?」
「……結婚したい」
「ぶはっ!」
私は思わず日本酒を吹き出した。
「す、すみませんっ!」
慌ててタオルで拭きつつも、咲耶姫様の突然の大胆発言にこちらが恥ずかしくなってきて思わず顔が赤くなった。
「結婚って。あ、そうですよね、結婚の約束した恋人ですもんね! そりゃそうですよねっ!」
私は平静を装って相づちを打ったつもりだったのに、
「私は前のように、手を繋いだり頭を撫でられたり、好きだと囁かれたりしたいのだ」
と大真面目な顔をして訴えてくる咲耶姫様を前に撃沈した。いや、正確にはこたつに突っ伏した。恥ずかしすぎて更に顔が熱くなってくる。
大胆な物言いの咲耶姫様だけれど、もしかしたら私の経験値が低すぎるだけで、世の中の女子ってもしかしてこれくらいのこと平気で他人に語ったりしちゃうものなのかな? こんなことで恥ずかしがる私の方がおかしいのだろうか。
ああ、よくわからない。
酔いも回って頭が働かないや。
私はガバッと顔を上げる。
「よし、してもらいましょう! 前のようにラブラブしましょう!」
「らぶらぶ?」
「そうです。手を繋いだり頭を撫でられたりして好きだと言ってもらいましょう!」
「ほう、それをらぶらぶと言うのか?」
「ラブラブです! ラブラブ大作戦です!」
私は拳を突き上げた。作戦なんて何も考えてないけど、こういうのはノリだと思うんだ。たぶん酔ってるだけだと思うけど。今の私たちに冷静さは皆無なんじゃなかろうか。
「火の神様、次はいついらっしゃいますかね?」
「毎日のように来ているからな」
「え、頻度多いですね!」
私のツッコミに、咲耶姫様はふんと鼻をならした。
毎日お花を持ってお見舞いに来る火の神様。あんなぶっきらぼうな態度だったけど、めちゃくちゃ咲耶姫様のことを好きなんじゃないだろうか。なのに冷たく追い返す咲耶姫様。好きなのに冷たい態度を取るなんて、何だか悲しい。
相思相愛なのに、一体どれだけの間すれ違っているのだろう。もっとお互い素直になれたらきっと上手くいくと思うんだけどな。簡単そうなのに簡単じゃないのだろう。そう年月が物語っている気がする。
「咲耶姫様、さっきのお花、髪に飾りましょう?」
私はキキョウの茎を短く切って、咲耶姫様の耳の横に優しく挿した。
咲耶姫様の綺麗な顔立ちがなおさら引き立つ。
「ほら、素敵! よく似合います。これで、咲耶姫様の気持ちを伝えましょうよ」
「伝えるって、何を伝えるのだ?」
「火の神様に好きです~って」
「……なっ!!!」
咲耶姫様は顔を赤くして仰け反った。
恋人同士のはずなのに、こんなにもピュアな咲耶姫様が愛しく感じる。だからこそ余計に、お二人には上手くいってもらいたい気持ちが芽生えた。