星降る夜に神様と、まさかの女子会をしました_01
星が綺麗な夜だった。
雲もなく澄んだ夜空。
数えきれないほどのたくさんの星たちが、キラキラと煌めいている。
こんなにたくさんの星を見たのは初めてかもしれない。明かりがない夜空はこんなにも幻想的で素敵なものだと、初めて知った。
キラッと瞬いて星がひとつ線を描いた。
「流れ星?」
目を凝らしてよく見てみる。
静かな光景が尚更静かになった気がした。
キラッ
また星が瞬く。
「素敵な人と出会えますように! 素敵な人と出会えますように! 素敵な人と出会えますようにっ!」
急いで胸の前で手を組んで流れ星に向かって早口でそう叫ぶと、とたんにぎゅうぎゅうと胸に込み上げるものがあり、私は思わずその場にしゃがみこんだ。
よくわからない感情は、怒りと悲しみと悔しさが入り交じっていて、気持ちをぐちゃぐちゃにする。
“次”は素敵な人と出会えますように、が正解だ。
自分の願いにツッコミを入れて、すぐさま首を振って否定する。
いや、違う。
望むべき事はそれではない。
今大事なことはそこではないのだ。
今大事なことは……。
「はぁ、どうやって帰ろう」
夜空を仰いだ呟きは耳をかすめていき、更に自分の胸を苦しめた。
望月葵、二十一歳。
私は今、よく知らない山の中で迷子になっている。
まさか二十歳を超えて迷子になろうとは、一体誰が想像しただろう。
まあ、迷子というか、ただ単に途方に暮れているというか、とにかくものすごく困っている。
きっかけは彼氏とのケンカだ。
彼氏である玲は中学の同級生で、私が専門学校二年のときに偶然再会した。
近くの大学の学祭に行った時、玲はその大学の学生で、模擬店で売り子をしていた。玲から声を掛けてくれて、それで懐かしいねなんて意気投合してちょこちょこ合うようになって、そのまま勢いで付き合い始めた感じだ。
けれど彼は四年制大学の学生。
私は二年制の専門学校を卒業して就職。
社会人になってすっかり学生気分の抜けた私とまだまだ学生の彼との間には、活動時間も考え方も最近ではすれ違いが生じていた。
それにつけてお互い休みの日が合わず、今日は久しぶりのデートだったのだ。
といっても私は休みではなかったので、仕事終わりに食事だけのデート。それなりに可愛い服を着て久しぶりにスカートなんて履いてみたりして、おしゃれにも気を遣った。食事しかしないけど、やっぱりデートとなると心がウキウキするものだ。
しかも今日は職場まで車で迎えに来てくれると言う。同僚に見られるのは恥ずかしい気がしたけれど、恋人がいますと宣言するみたいで少しばかり優越感に浸った。
たまにはおしゃれなレストランでもと提案したのに、玲はお金がないという理由で結局いつものファミレス。嫌いじゃないけど、久しぶりのデートっぽくない。それでも気を取り直してお互いの近況を話したり、最近見たテレビ番組の話などして終始楽しく過ごした。